IOWN

皆さんは IOWN（Innovative Optical and Wireless Network）を知っているだろうか？
NTT社を中心に2030年頃の実用化に向けて推進している次世代コミュニケーション基盤の構想。
光を中心として革新的技術を活用し、これまでのインフラの限界を超えた高速大容量通信ならびに膨大な計算リソース等を提供可能な端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想 である。
このIOWNの構想を実現するための重要な技術要素が APN：オールフォトニクス・ネットワークだ。ネットワークから端末まで、すべてにフォトニクス（光）ベースの技術を導入し、現在の電子ベースの技術では困難な低消費電力、高品質・大容量そして低遅延の伝送を実現しようとしている。

IOWNが実現しようとしている世界で特に注目しているのが低消費電力の部分。5Gが登場し様々なIoTデバイスがネットワークにつながる世界を想像していたが、コロナ禍でデジタル化が一気に進展し、生活や経済活動における情報通信の様相はガラッと変わってしまった。5年前に日常生活で電力が逼迫し、電力逼迫注意報や節電要請をでることになると想像していただろうか？電力逼迫の原因に火力発電所の老朽化や災害による発電施設の破損などがあげられているが、ICT分野における技術やサービスの向上に伴い 増え続ける通信トラフィックが消費電力を大幅に増加させているのも一つの要因だろう。
中国における実証実験のデータとなるが、5Gの基地局は 4Gのものより3～4倍の電力を要するそうだ。更に同じエリアをカバーするのに5Gの基地局数は 4Gより3～4倍必要になる。つまり4Gから5Gに変えることで少なくとも9倍の電力が必要となる。
総務省が発表したBeyond 5G推進戦略では、省エネ対策が講じられないと仮定した場合、2030年のICT分野の電力消費量は、2016年の36倍に達すると試算されている。
現時点でも電力が逼迫している状況なのに、36倍の電力をどうまかなうのか、更にカーボンニュートラルの問題もあり火力発電に頼ることもいずれ止めなければならなくなる。
期待したくなるのは オールフォトニクス・ネットワーク。ネットワークだけでなくサーバや端末の部品に至るまで光ベースの技術を導入することで 100分の1の低消費電力を目指している。これから先、ICT分野における技術革新で生み出される多くのサービスの恩恵を皆が受けるためにもIOWN構想の実現は全力で取り組むべき課題だと考える。（ほ）

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