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双子(3)

 昨日と今日は、私の住む市が、全市を挙げてのお祭りで、私も少なからず祭り気分に浸っているが、今年は万博の影響か、規模が縮小された感が否めない。たかが万博ごときで、伝統あるお祭りをないがしろにされてはたまらないと、この市を離れたことのない私は憤っている。まあ、もともと大したお祭りじゃないだろうと言われれば、頷くしかないが。それでも、当地の数少ない名物行事として、生粋の地元民は誇りを持っているだけに寂しい気持ちは隠せない。確かに、交通渋滞など、万博優先にすれば面倒な行事なのだろうが、効率優先ばかりではなく、もう少し血の通った市政を行わないと市長を辞めさせるよなどと、なんの力もない私がここでうなったところで、全く影響がないけれど・・

 それでも、お祭りとなれば、我が家にもお客がやって来る。弟夫婦と双子達だ。3週間ぶり会った子供達は、意外に早く慣れてくれて、ヨタヨタ家中を歩き回る。どこに行くのか分からないので、必ず子供1人に大人が1人、後ろから付いていく。傍から見ていると鬼ごっこをしているようだが、後ろに付く者は油断できない。なにしろ、目に付いたものは拾ってすぐに口の中に入れてしまう。2ヶ月ほど前に贈った『ネコバス積み木』を持ってきていたが、見ると赤や緑がかじられたようにはげている。目で見て確認する前に口の中に入れて確かめる、という動物の原初的な物の識別法を教えてくれているようで、笑えて来る。
 食べるといえば、昨夜は『メジャー松井サブレ』を奮発して開封してやった。妻の友人が、松井秀喜の館へ行ったお土産に私のために買ってきてくれたものだ。箱に松井の絵が描いてあり、サブレにも同じ絵が焼き付けてあるが、似ているようで似ていないその絵が、何ともいえぬ安っぽさを醸し出していて可笑しい。子供達は小さく割ってもらったものを食べていたが、テーブルの上に置いてあった『うなぎパイ』を見つけて、母親にせがんで食べ始めた。どうやらそちらの方がおいしいようで、いつしか『松井サブレ』は放擲されてしまった。子供は正直であるから、『松井サブレ』にはもっと味の研究をするよう、投書かメールでもしたいくらいだ。
 食事の後、祭りの夜の恒例となっている花火大会を見るために、外に出た。『大花火大会』と銘うってあるが、花火など単発的にしか上がらない。真夏の頃に各地で行われる本当の『大花火大会』を見慣れた人たちには全く物足りないだろうが、夜空にポーン・ポーンと間をおいて上がる花火は、かえって哀愁を誘って私は好きだ。だが、子供達には何の興味も引かなかったようで、最後まで見ずに途中で帰って来た。音だけが寂しく響く中、夜道を歩く私は、これで本格的に秋が来るんだなと妙にしんみりした気持ちになった。
 家に帰って、ソファーに座ったまでは覚えているが、はっと目覚めたときには、子供達は帰った後だった。酔っ払って、所構わず寝ちゃうのだけは何とかして直さなけりゃいけない。おかげで子供達にバイバイできなかったじゃないか。まったく残念なことをしてしまった、反省!
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