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虫めづる姫

[ががんぼ]ガガンボ科に属する昆虫の総称。蚊に似ているが大型で、体長5センチに達するものもある。夏、灯火によく飛来するが吸血しない。幼虫は水中または湿土中にすみ、きのこ、麦、稲などを食害するものもある。キリウジガガンボ、ミカドガガンボなど種類は多く、世界各地に分布する。
ガガンボ科なんかがあるとは知らなかったし、世界各地に分布しているというのにも驚いた。昔からずっと見ている虫だから、日本固有の虫だと誤解していたようだ。こんな虫にもいろんな種類があるのも不思議な気がするし、ミカド=帝ならば見分不相応な名前だと笑えてくる。体長5センチとあるが、写真のものなどもう一回りくらい大きかった。
しかし、この虫ほど、女子生徒に嫌がられる虫はいない。何かの拍子で教室に迷い込んできたりすると、大変だ。キャアーッと悲鳴が上がり、椅子から立ち上がった女子生徒が逃げ惑う。男子生徒は下敷きや、ノートで叩き落そうと暴れだす。ゆらゆら飛んでいる様子から見ると、簡単にヒットできそうに見えるが、なかなかどうして、ひらりと身をかわす。壁か天井に身を落ち着けるまでは、ほかっておいたほうがいい。じっとすれば、簡単に退治できる。一旦壁などに着陸すると、暫くはじっと動かないから、気にしなければいいのだが、それでは女子生徒が納得しない。迷い込んだお前が悪いんだぞ、と心で合掌しながら、やむなく処理する。
『堤中納言物語』に出てくる、「虫めづる姫君」のような女性もいるのだから、一概に女性は虫が嫌いだとは言えないかもしれないが、世間一般では、この姫君の方が異常なのだろう。
「人は、すべてつくろふところあるはわろし」とて、眉さらに抜き給はず、歯ぐろめさらにうるさし、きたなし、とてつけ給はず、いと白らかに笑みつつ、この虫どもを朝夕(あしたゆふべ)に愛し給ふ。
世間の女性のような化粧もせず、虫を愛好するこの姫君を、世間は勿論のこと、両親までも理解してくれない。彼女の行く末がどうなったのか、この物語には書いてないので、私たちには分からない。しかし、平安時代でも現代でも、異端を排除する風潮は大きく変わってはいないだろう。いや、むしろ現代の方が、「人並み」であることを重視しているかもしれない。キャーッと叫ぶ女の子の中には、虫を大して嫌いではないのに、とりあえずみんなに合わせておこう、という子がいるかもしれない。
たまには、ががんぼを手でぱっと捕まえて、「可愛い」などと言う子がいてもいいと思うのだが、無理かな。
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