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「コクリコ坂から」

 「コクリコ坂から」を見た。7月に公開した当初から「見に行こう」と妻を誘っていたのだが、なかなかOKがもらえず、1ヶ月も経ってやっと見に行くことができた。
 あらすじはこんな感じ。

 「翌年に東京オリンピックを控えた、1963年の横浜。古いものを壊し、どんどん新しいものを作っていこうとする気運のなかで、横浜のとある高校でも老朽化した文化部部室の建物「カルチェラタン」の取り壊し計画が持ち上がる。そんな騒動の中、学生たちを率い、部室棟を守ろうとする少年・俊と、高校に通いながら下宿宿を切り盛りする働き者の少女・海が出会う。二人は順調に距離を縮めていくが、ある日を境に、急に俊がよそよそしくなって…?」

 取り立てて言うほどの筋立てでもなく、昭和30年代後半に高校生だった若者の生活の一断面を切り取った物語、くらいに思えばいいのかもしれない。私よりも10才ちょっと年上の世代、いわゆる「団塊の世代」と称される人たちの青春を描いた物語といえるのかもしれない・・。
 そう考えると、「カルチェラタン」の存続を求める生徒たちと学校側の交渉にまるで学生運動の影が見えないのは不思議だ、いくら何でも生徒の学校に対する姿勢が温和すぎる、などと思ったりもしたが、まあ、そんなことを描いたところで今のジブリファンには全く受けないだろうし、誰もそんな闘争を期待してもいないだろうから、割愛したのは賢明だろう。高校生が自分たちの願いを実現するために懸命になれた時代の出来事、というくらいの時代背景で見てみると、純粋にスクリーンに没頭できるように思った。
 

 見終わったとき、心が浄化されたように思った。クラブ活動などとは全く無縁で、一人好きなことをやっていただけの高校生活を送っていた私なのに、なぜか懐かしく、心の奥底に溜まった澱みを少しばかり洗い流してくれたように思った。どうってことない話なのに、どうして?・・・そんなことを照れずに妻に言ってみたら、
「私は元々心が綺麗だからそこまでは思わなかったけど、良い映画だと思うよ」
と答えた。前日に宮崎駿と宮崎吾朗の対談のような番組をNHKで見ていて、この映画の出来上がった過程を知ることができたから、余計気持ちを入れて見ることができたのだそうだ。
「でも、私たちよりも下の世代だと感情移入するのはちょっと難しいかもね・・」
「そうだね。子どもには無理だよなあ・・。何人も子どもが見ていたけど、つまらなかっただろうな・・。ジブリも、たまにはこの映画みたいに、大人のためのアニメを作っていってもいいと思うけどなあ」

   
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