父の十三回忌の法要を命日に執り行って、亡くなってからもうそんなにたったかと思った。
父が入院していた病院は、不便な所にあった。
仕事の休日に交通機関を乗り継いで、お見舞いに行くと、父は眠っていることがよくあった。
眠っている間は、辛さから解放されて気持ちいいのだろうと思って、気づくまで声を掛けないようにしていた。
病院の中をあちらこちらに行って時間をつぶして、またベッドに見に行くなどして、そのうち父が目覚めて話しかけることもあった。
父は、家族に頻繁にお見舞いに来てほしかった。
「この部屋の人には、家族がま・い・ん・ち、来るんだよ!」
私がお見舞いに行ったときは、そうであるなら、眠っていたとしても、声を掛けて、起こしたほうが良かったのではないかと思ったことがあった。
夫に聞いたことがある。
「もし、入院しているときに、私がお見舞いに来て、〇〇ちゃんが、眠っていたら、起こしたほうがいい? それとも、眠っているのをそのままにしておいてほしい?」
夫は、
「起こしてほしい」
と言った。
私も、来てくれたら、起こしてほしいかもしれない。
もう父は亡くなってしまったから、取り返しはつかないが、どうだったのか聞いてあげたらよかったとも思うのだ。