30代の前半、まだ結婚して数か月のころ、夫が病気で休職していたので、狭いアパートに二人きりで一日中いるのも良くないかなと、パートに出ていた時期があった。
印刷屋さんの店舗に求人の貼り紙を見つけて、雇ってもらえるかお聞きしてみた。
常務と面接が後日あって、印刷屋さんの勤務の前に、その駅からは3駅ほどの住宅街に、文房具店を開店したので、まずそこでパート店員をしてほしいと言われた。
パートが始まってしばらくしたころ、お客さんでご年配の女性が、画仙紙はないか、と尋ねられた。
店の奥に倉庫があり、そこから、毎朝発注伝票にしたがって、品出しをしていたので、「画仙紙」の名前は憶えていた。
画仙紙
それを取りに行ってお客さんに見せると、
「そう、それだけど、大きさはハガキのサイズのがあるんですよ」
と言われた。
こういうものらしい。見たことはなかった。
絵手紙か、書を書くためにか、使うものなのだろう。
「ハガキサイズのをお店に置いてください」
とその老婦人はおっしゃった。
「ご注文でしょうか」
「注文じゃなくて、お店に置いてほしいの」
とおっしゃるのだ。
でも、考えてみていただきたい。
そのように、一般的によく売れるものでもなく、マニアックなものを店に並べるということは、在庫がだぶついて、普通置かないとは思えないだろうか。
紙の専門店へ行けばたやすく手に入りそうだし、住宅街の文房具店に常時置くようなものとも思えない。
「伝えておきます」
と言ったと思うが、店長に伝えたかどうか、30年も前のことで憶えてない。
それにしても、そういうことを店に頼むというのは、常識的ではないのでは?
私自身は、2007年のこと、資生堂のアイブロウ(眉墨)の替え芯をデパートの化粧品コーナーで、買いたい旨 話したことがある。
古いブランド(当時より20年以上前に販売していた商品)だったけれど、取り寄せができるということで、2ケース以上からの発注となりますが、いいですか、というので、お願いした。
珍しいものは、そのようにして、お店に頼むものじゃないだろうか。
読者のみなさんは、その老婦人のことをどう思われるだろうか。
本日も、慢性腎臓病の夫のある日の食事記録表を1枚、掲載します。