1分で読める小さなお寺の法話集

子育て、人材育成に関する法話を実話と歴史から紐解いて書いております。

2023/04/12

2023-04-12 11:55:26 | 法話
【 様々な弱い立場の人達に対し、世の中は寛容でありたいもの】

読者女性が「新幹線の車内でわが子(生後1ヶ月の男子、里から東京へ)がギャン泣きを。すると『煩い。母親なら、黙らせろ』と初老男性が。車内には、その初老男性を諌める人もおらず。3時間程トイレの前で赤子を抱いて。仕方がないけど、なんか、悲しかったですね、住職」と。「よく聞く話だよね。大人は皆、自分達も乳飲児の時には、ギャン泣きしていたのにね。自分達の育児期間が終わったら、幼稚園や小学校に『子供の声が煩い』と文句三昧を。新生児が年間に数百万人(昨年の出生数は、初の80万人割れ)くらい出来れば、あっちこっちでギャン泣きが。それが普通の情景になれば、文句を言う人間も、多少は減るかもしれないですけどね。育てられた経験しかない人が減れば、育てる経験をしてない人が減れば、つまり、結婚して親となり、子育ての大変さを知る人が増えれば、赤子のギャン泣きにも、幼児、小学生の声にも、寛容になれるかもしれませんけどね」と。

更に、この読者女性に「実は拙僧のところも昨日、娘が旦那と一緒に、ちび豆(孫、生後1ヶ月男子。投稿写真)を連れて、北九州から東京に戻って行きました。ギャン泣きしたかどうかは、報告はありませんでしたが、拙僧も多少、大丈夫だったかな、と心配を。さて、これからが夫婦協力して、本格的な子育てのスタートです。『4万年前から親になった人達は全員、この苦労をして人間づくりを。自分だけが苦労している訳ではないよ』と娘にはその様に言いました。思えば、家内(夫)も、子供も、孫も、天が私に与えくださった、最高のプレゼント。大切に、大切に、この縁を育みたいものですよね」と。

【 乳幼児ギャン泣き法話、の続き】

読者女性の問い掛けに対し「拙僧も新幹線を度々利用しますが、車両と車両の間に立って、乳飲児を抱えている若い母親と、遭遇する機会が偶にあります。時折『何か、嫌ごとを言われたんかい』と聞くと『そうですね』と、沈んだ顔を。拙僧も育児中の若い時期に、嫌味を言われた経験が。赤子が泣くは様々理由が。お乳もそう、寝くじもそう、新幹線だと、耳キーンもそう。もしかしたら、他にも」と。

この読者女性が「住職の乳飲児ギャン泣き法話に『私も、煩い、黙らせろ、と思う』のメールが、やはり来ましたね。そんな文句言いも、記憶にはないでしょうが、自分も乳幼児の時期、間違いなくギャン泣きを。順送りなのにね」「そうだね。宅急便の配達員さんに、遅れたからと土下座をさせたり。制限速度で走ってる車を『俺のペースを邪魔するな』と言わんばかりに煽ったり。今、この国は、何でもがある程度、時間通り正確に。よって『待つこと、我慢をすること』が出来ない人達が。自分にとって、都合が良いか、悪いかで、キレる人達は、一定数はいるよね。また、他国に比べ、至れり尽くせりの国。檀家にも外国勤務経験者が結構いるが『外国で生活をすると、日本がどれだけ恵まれているかが、わかる』と異口同音に。してもらって当たり前が『当たり前』になったら、感謝はなくなり、少しでも不備が出たら、口から出てくるは、文句だもんね。残念だが」と。

続けて、この読者女性が「乳幼児のギャン泣きに文句を言う人達って、やはり、子育ての経験がない人達でしょうか」「そうとは限らんと思うよ。例えば以前、報道で、中学校の運動会で『保護者は、大声出して応援するな。競技の応援合戦はさせるな。煩い』と、地域の老人達が文句を言ってきた、とのニュースがあったでしょ。自分達も子育ての時期は、大声出して応援してただろうに、と思ったけどね」「ということは、やはり、今、自分にとって都合が良いか、都合が悪いか、が是非の判断ってことですか」「もしかしたら、そうかもね」と。

【この読者女性との会話に別の読者女性が】

拙僧に「住職。子どもが泣くのは理由があります。また、私は子供も孫もいますが、レストランや電車など公共の場でギャン泣きする子はウルサイ、躾が悪いなどとやはり思います。勿論、子供が体調が悪いという気の毒な場合もありますが、多くは準備不足。おむつが汚れている、暑い、寒いなどちょっとしたことで、赤ん坊は思い通りにならないと騒ぎます。以前、泣き叫ぶ赤ん坊を、横にいたおばさんが『ちょっと貸してごらんなさい』と代わりに抱いてあやして泣き止ませたことを目撃しました。 私は若いころ客室乗務員で、飛行機では必ず赤ん坊が泣くのに対応しました。気圧を感じるからです。それで必ず哺乳瓶を用意して気を紛らせます。ミルクは時間通りに規則正しくなどと言う考えは、この場合忘れることです。周囲に迷惑をかけないのも子育てで学ぶことでしょう。 私が若いお母さんに薦めるのは、子供を公共交通機関に乗せるには、練習が必要。口に何かくわえさせると泣き止むなど、泣き止ませる方法を学習。順送りと言うのは理解しますが、親たちは子供を泣かせないように努力したのも順送りです。 

対し、拙僧「この世の中、『これ、正解』はないですもんね。自分にとっての正解を時間を掛けて、じっくりと探し出すことだけ。特に、第1子は、育てられた経験しかない人が、子育てを。つまり、親としてのど素人。赤子の誕生と共に、親もまた誕生を。失敗を許してくれる社会を自由な社会。失敗を許してくれない社会は、自由な社会とは言えないですもんね。拙僧の娘も数日前に北九州から東京へ、夫婦で赤子(生後1ヶ月)を連れて。『新幹線にするか、飛行機にするか、レンタカー借りて1200キロ走るか』と若夫婦で熟考を。結局、新幹線の5時間より、飛行機の1時間半を選択。3人の子供を育てた拙僧家内から、状況に応じた対応を伝授され、飛行機に。向こうについて『1度も泣かなかったよ』と連絡が。すると家内が『それは、お利口さんだったね。だけど、偶々だよ。赤ちゃんが気持ちを訴える手段は、泣くことだけ。その事は頭に入れておきなさい。予想が出来ないのが、赤ちゃんだよ』と娘に」とこの読者女性に。

このギャン泣き法話の論議は、様々参考になりそうですね。大半の意見メールは「大人は寛容であれ」でしたが「母親がなんとかしろ」の不満メールの中にも参考になる意見が、全くない訳では。中には「日本人はいつからこんなに自分勝手に成ったのでしょう。変な個人主義に陥っている様に思われます。自分の行動に責任を持つことと、お互いを思いやる心は、何処へいってしまったのか。戦後教育の悪い面が出てしまっている様に思われます。今の時代‥余りにも目先に拘り、自分に拘る風潮が強すぎると思う。余裕が無い‥と言えば確かにねぇ」なる意見も。まあ、何にせよ、情報は様々必要ですもんね。人間は、知っている事よりも、知らない事の方が、圧倒的に多いですもんね。何にせよ、聞く耳を持つ事は大事かな。が、弱者への優しさは、欲しいものですね。