夕映えに

陽が落ちるまで輝きたい、くさぐさの記録(日々の出来事、読書、スポーツ、友だち)

 画集 「無言館」  一枚に込められた無言の語りかけ

2006-11-20 19:56:59 | Weblog
   先日読んだ森村 誠一氏の小説「魂の切影」の本の中で戦没画学生
   絵画を 集めた「無言館」にまつわる話がかなりのページで書かれていました。

   著者は 描かれた絵の一人の実家を訪ね、モデルとなった女性のことも調
   べたそうです。   

   「無言館」のことはわたしも聞いており、行ってってみたい美術館の一つで
   すがまだ実現せずです。
                   
    長野県上田市の山の上に建つ「無言館」館長の窪島誠一郎氏が、画家
  野見山暁治氏(罹病のため生還)の戦死した仲間たちへの鎮魂の思いから
   出発し、平成9年に戦没画学生の遺作を集めて建てられた「祈りの美術館」
   です。
            

   たまたま森先生が何年か前に行かれ、画集を買ってこられたというので
    お借りしました。   
             画集
                 

   画集の冒頭に書かれた館主窪島氏の言葉に涙しました。
               
            あなたを知らない     

         遠い見知らぬ異国(くに)で死んだ 画学生よ   
          私はあなたを知らない    
         知っているのはあなたが遺したたった一枚の絵だ
   
          あなたの絵は 朱い血の色にそまっているが    
            それは人の身体を流れる血ではなく    
           あなたが別れた祖国の あのふるさとの夕やけ色   
           あなたの胸をそめている 父や母の愛の色だ
    

        どうか恨まないでほしい    
            どうか咽かないでほしい    
            愚かな私たちが あなたがあれほど私たちに告げたかった言葉に
        今ようやく 50年も経ってたどりついたことを      

         どうか許してほしい  
             50年を生きた私のだれもが   
            これまで一度として    
             あなたの絵のせつない叫びに耳を傾けなかったことを  
   
        遠い見知らぬ異国で死んだ 画学生よ    
            私はあなたを知らない    
        知っているのは あなたが遺したたった一枚の絵だ    
         その絵に刻まれた かけがえのないあなたの生命の時間だけだ