【京都大学原子炉実験所の渡辺正己教授は「被曝は長靴で簡単に防げた。基本的知識が伝わっていなかったのは管理側の落ち度だ」と指摘する。】(読売)
一方で、
【東電福島第一原発で起きた作業員3人の被曝で、3人が作業に入る6日前の18日、1号機のタービン建屋地下で高い放射線量を確認しながら、東電は作業員らに注意喚起をしていなかったことがわかった。】(朝日)
というとんでもない事実がわかった。
おとといも書いたが、結局下請け作業員や非正規社員を単なる「使い捨てのコマ(兵隊)」としか考えていない、数年来の風潮が、今度の惨事に繋がってしまった訳である。
京大教授が厳しく指摘した「管理の落ち度」以上の「人を人とも思わぬ」国策大企業の体質が明らかになったとも言える。
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作業員被曝「管理の落ち度」服装・装備目配りを
(読売新聞) - 2011年3月26日(土)11:50
高濃度の放射性物質に汚染された水が、復旧が急がれる1~4号機で次々と見つかっている。作業員を危険にさらせば、作業は立ち行かない。専門家からは「作業員のストレスは限界。東電側が最大限配慮すべき」との声が出ている。
被曝した作業員は汚染された水たまりに短靴で入り、足の皮膚に直接放射性物質が触れる結果を招いた。京都大学原子炉実験所の渡辺正己教授は「被曝は長靴で簡単に防げた。基本的知識が伝わっていなかったのは管理側の落ち度だ」と指摘する。
3号機タービン建屋で見つかった水は深さ20センチ~150センチ。正確な水量は把握できていないが、簡単に処理できる量ではないらしい。
作業が大量の放水を受けている原子炉建屋に及べば、飛び散って壁についた水、天井からしたたる水も脅威になる。東電は水に濡れたら退避するよう作業員に伝えたが、現場には建屋の爆発に伴うがれきも散乱している。3号機近くのがれき付近の放射線量は毎時400ミリ・シーベルトに達している。
放射線の防護力が高い陸上自衛隊の戦車による除去も検討され、2台が21日に福島県入りしたが、戦車の重さで、張り巡らされた電気ケーブルや地中の配管が傷む恐れがあるため、作業はまだ行われていない。
東電、1号機の高放射線量を事前把握 作業員らに伝えず
(朝日新聞) - 2011年3月26日12時49分
東京電力福島第一原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)3号機のタービン建屋内で起きた作業員3人の被曝(ひばく)で、3人が作業に入る6日前の18日、1号機のタービン建屋地下で高い放射線量を確認しながら、東電は作業員らに注意喚起をしていなかったことがわかった。東電は「情報共有が早ければ被曝を防げた可能性があった」と認め、謝罪した。
東電福島事務所によると、6日前の18日、1号機のタービン建屋地下1階で作業した際に放射線量を測定、作業員の被曝線量の上限(250ミリシーベルト)に迫る毎時200ミリシーベルトと高いことを確認していた。
一方、3人の作業員が3号機で作業を始めたのは、24日午前10時半ごろ。作業員には1号機の情報は伝わっていなかった。
3号機では前日にはなかった水が深さ15センチになっていたが、3人は前日の作業では線量が低かったこと、「タービン建屋は通常、線量が高い場所でない」と思っていたことなどから、水につかって作業をして、局所被曝した。18日のデータが事前に伝わっていれば、作業員らの思い込みを防げた可能性がある。
東電福島事務所の小山広太副所長は「1号機の現場の状況の情報をしっかり各現場で作業している人たちに注意喚起していれば、今回の被曝は防げたと思っており、反省している」と謝罪した。
東電は建屋内に津波による海水が残っていると考えて排水を検討。その準備として水を分析するため、24日午前9時半に1号機で水を採取、分析した。東電や経済産業省原子力安全・保安院によると、3号機と同様、通常の原子炉内の冷却水より約1万倍強い、1立方センチ当たり380万ベクレル(放射能の単位)の放射能が検出された。
含まれている放射性物質の種類は3号機とほぼ同じだった。セシウム137など燃料に含まれる物質が検出されており、原子炉内から漏れ出した可能性がある。
保安院は3号機の水の発生源について、使用済み核燃料の貯蔵プールよりも原子炉内の可能性の方が高いとの見方を示した。
東電はまた、2号機のタービン建屋地下でも表面付近で毎時200~300ミリシーベルトの高い放射線量の水がたまっていることを明らかにした。これにより、高い放射線量の水がたまっていたのは1、2、3号機となり、今後、配管の損傷などからどういう経路で漏出が広がったのかを調べていくことになる。
水たまりの深さは3号機で最大1.5メートル、2号機は1メートル、1号機は40センチ。4号機でも、放射性物質の状況は不明だが、80センチの水がたまっているという。
高放射線量、作業員に周知せず=東電「3人の被ばく防げた」-2号機に真水注入作業
(時事通信) - 2011年3月26日(土)13:03
東日本大震災で被災し、深刻な状況が続く福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の3号機タービン建屋地下で作業員3人が被ばくした事故で、東電は26日、1号機の同建屋地下で18日の時点で高い放射線を検出しながら、現場の作業員に周知していなかったことを明らかにした。1号機も3号機同様、地下に高濃度の放射性物質を含む水たまりがあり、東電は「しっかりと注意喚起していたら、今回の被ばくは防げた」と認め、謝罪した。
一方、同社は26日、1、3号機に続いて2号機でも、消防ポンプによる原子炉への真水注入を始めた。真水には核分裂反応を抑えるホウ酸を混入、2号機は中央制御室の点灯も同日中に行う。また、1~3号機のタービン建屋地下で高濃度放射能が検出された水を慎重に排出。4号機の水についても、濃度分析を急いでいる。
東電によると、18日に1号機タービン建屋地下の放射線を測定。1時間当たり200ミリシーベルトの高い放射線量を観測した。24日午前9時には、同建屋地下の水たまりの放射能濃度を測るため水を採取したが、測定担当者は高い放射線が出ていることを意識し、短時間で作業を終わらせたという。
しかし、被ばくした作業員3人にはこうした情報は伝わっておらず、3人は同日午前10時から3号機のタービン建屋地下で作業を開始。約2時間後に作業を終えた後、線量計の記録から最大約180ミリシーベルト被ばくしていたことが分かった。同社は「情報の共有に甘いところがあった。反省している」と話している。
地下の水は、原子炉から漏れた可能性もあり、1号機は水の深さが最大40センチ、表面は1時間当たり200ミリシーベルトだった。2号機は深さ最大1メートル、表面は毎時200~300ミリシーベルトだった。東電は、これらの水の排出作業に着手。1号機ではポンプを使用し、同じタービン建屋内の別の場所に移し始めた。
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