不安で落ち着かない息子。
ある程度の不安は、慎重さを促したり不安をなくすためにしっかり準備を整えたりと、プラスの要素もあると思います。
けれど、不安に心を覆われ、生活の質を損なうようであれば、なんとかして息子の不安を取り除いてあげたいと思っていました。
「不安な〇〇君に対して、お母さんはどのように接してらっしゃいますか?
不安が強くなってきているということですが、何か接し方を変えられたとかはありますか?」
「最近、変えたということはありません。
一番大事なのは〇〇の心や体なので、無理せず、〇〇が今出来ることを精一杯やればいいと思っています。
『今、出来ないことも、努力を続ければ出来るようになったり、他のいいやり方が見つかったりするから、だいじょうぶ、不安に思わなくていい』ということを伝えてきました。
登校に関しては、小学生の頃から学校に行けば楽しく過ごせているということもあり、『学校に行ったら多分だいじょうぶやで! もし、学校でしんどくなったら、いつでも迎えに行くからな。』って、声かけて送り出しています。
私の接し方が悪くて、不安がなくならないのでしょうか?」
「まだ2回目のカウンセリングなので、これから不安の原因を探っていこうというところですが、お話を聞かせていただいた限りでは、〇〇君は、自分で不安を作っているのではないかという気がしました。」
「自分で不安を作っているんですか 」
「もちろん、〇〇君は無意識だと思うのですが、もし、〇〇君が感じている不安を全部なくしたとして、何か困ることがあるのかもしれない、そういう気がしました。」
「不安がなくなると困るんですか!?」
「〇〇君は全く意識していないと思うのですが、これに対して不安というよりは、あらゆることに不安を感じているようですし、不安を感じていないとより困ることがあるのかもしれません。」
「・・・?
自分を守るために不安でいるっていうことですか?」
「そうかもしれないし、そうでないかもしれません。
あくまで見立ての一つで、そうかな?と思われることを一つずつ潰していくしかありません。」
「不安はなくした方がいいんですよね・・・?」
「〇〇君から不安がなくなることは難しいかと感じます。
WISC-Ⅳの結果を見させていただいたのですが、周りの状況を把握したり見通し立てたりすることが難しいので、不安が強くなるのも仕方がないのかなと思うところがあります。」
「不安はあるものとして、不安に共感した方がいいということでしょうか?」
「もちろん、これまで通り前向きな励ましも必要だとは思いますが、『不安やね』とか『こんなことが心配やったんやね』と、不安な状態を受け入れる言葉かけをされるのもいいのかな、と思います。」
そうやったんや・・・
23分を過ぎてしまったので、急いで息子と交代しました。
そして、息子がカウンセリングを受けている間中、色々考えていました。
私は、「だいじょうぶ」「心配ない」と励まして、息子から不安を取り除こうとしているつもりだったけれど、だいじょうぶじゃない息子の心は、「だいじょうぶ」とは思えなくて、余計に不安になっていたのかもしれません。
息子を不安から解き放ちたくて、その大きな枷を外して目の前のことに精一杯取り組めるようにと願って、環境を整えたり、前向きな言葉かけをして不安を取り除く努力をしてきました。
だけど、「だいじょうぶ」「心配ない」じゃなくて、「不安やね」だったのか。
息子の不安を肯定的に受け止めるようにしたら、もしかすると何かが変わっていくのかな・・・。
カウンセリング後の診察では、
「学校は楽しいけれど、学校でも調子が悪くなることがある。」
と、息子は答えていました。
なるべく薬を増やしたくはなくて、もう少し様子を見ようということになり、今回も「リスパダールOD錠0.5mg(1錠)と、レクサプロ錠7.5mg(3/4錠)、ツムラ抑肝散加陳皮半夏エキス顆粒5g(2包)」の処方になりました。
次の診察は4週間後です。