3年生の引退試合が終わり、2日間のオフの後、息子達サッカー部は新体制で出発することになりました。
その初日の28日には、全員、全ての夏休みの宿題を学校に持ってくるようにとの連絡メールが届きました。
息子は、勉強を始めると落ち着かなくなり、どんどん調子が悪くなるので、夏休みの宿題はまだ5%も終わっていません。
サッカー部の顧問の先生に、もし、息子が宿題が出来ていないことを部員みんなに知られる状況など負荷が強すぎると、調子が悪くなって部活にまで行けなくなるのではないかと心配していることをお伝えしました。
宿題は二人一組で確認し合い、まだ宿題が終わっていない生徒は1時間程勉強してから部活をするそうです。
「宿題をしていないことを責めるようなことはしません。
ただ、最高学年ともなったので、クラブの中心となってみんなを引っ張ってほしいと思っていることや、そのためには、サッカーだけでなく勉強や他のことにも取り組んでいかないと、今の状況では試合に起用することも出来ないことなど話をしようと思っています。」
とのことでした。
顧問の先生が、部活からクラスや学年へと繋げてあげたいと、息子のことを思ってくださっていることはよく分かります。
ただ、それが良くなるきっかけとなるのか、ますます悪くなるきっかけとなるのかは分かりません。
とにかく、息子の状態を見ながら指導していただけるようお願いしました。
この日は、勉強と部活をやり切った後、息子から「調子が悪いから迎えに来てほしい。」と連絡がありました。
頭が痛くて、気持ちも悪くてたまらないそうです。
それでも、学校ではそれをどう言葉にしたらいいのか分からなくて、勉強も部活も最後まで続けたそうです。
家に帰ってからは、「わ~っ!」と叫んだり、「怖い、怖い!」と泣きわめいたり、ぎゅ~っと私にしがみついたりしていて、そうして8時には疲れて寝てしまいました。
翌日の29日は、メンタルクリニックの日でした。
この日のカウンセリングは、息子が最終だったこともあり、息子に1時間半、私にも10分程の時間をとってくださいました。
前日の部活のことは、息子のカウンセリングのときにだいたい話を聞いてくださっていたようです。
「学校では、調子が悪くなっても全くそれを出さずに最後まで頑張っていたようですが、家ではものすごく調子が悪いです。
無理をさせ過ぎなのではと思ったりする半面、家では全く勉強出来ないのに、みんなと1時間も勉強出来たということは、良かったのかなと思ったり、正直私にもよく分からないんです。
ただ、部活が無理して頑張らないといけないところになってしまうと、あの子の居場所でなくなってしまうんじゃないかと心配なんです。」
「3年生が引退して、環境ががらっと変わる中で、先生に期待されているということはプレッシャーも大きいと思いますが、先生に声をかけてもらうことで、クラブが自分の居場所だと感じているところもあると思うのです。
キャプテンは決まっているけれど、副キャプテンはまだ決まっていなくて、これからの姿を見て決めるそうですね。
彼への期待というか、彼がサッカーを通じて前に進めるようにとの顧問の先生の配慮も感じます。
それが彼の後押しとなるか、大きな負荷となり過ぎてまうのか、本当の所紙一重なんです。
負荷が大きすぎると、行けなくなるとか、本人が何らかのアクションを起こすと思います。
そうなると、負荷を減らしてもらうことになるかもしれません。
しばらくは不安で調子が悪い日が続くと思いますが、彼がゆらぎながらどうなっていくのか見守っていてください。」
「本当に調子が悪い日が続いています。
この頃は、赤ちゃん返りというか、『お腹の音を聞かせて』って、私のお腹に耳を当てて聞いているんです。
『お腹の音を聞いて』って、自分のお腹の音を聞いてほしがることもあります。」
「だいぶん退行してますね。
お腹の音を聞いてどうなりますか?」
「すぐ飽きるというか、やめます。
やめて、離れていきます。」
「それは、いつ頃からですか?
しょっちゅう、聞きたがりますか?」
「ここ最近、1週間ぐらいだと思います。
しょっちゅう、多い日は10回ぐらい聞きにくると思います。」
「ちょっと距離が近すぎるのが心配ですね。
かといって、すぐにやめさせると不安が強くなってしまうので、徐々に減らす方向に持って行くように・・・。」
「どうやってですか?」
「『もう飽きたやろ?』って、代わりに他のことをするように持っていくとか。
何でもいいのですが・・・。」
「最近、じゃんけんもよくしたがるんですが・・・。」
「じゃんけんはいいと思います。
お腹の音を聞く代わりに、じゃんけんするのでもいいと思います。
しばらくは不安が強くて無理かもしれませんが、徐々に変えていった方がいいと思います。」
その後の診察では、息子は、
「3年生が引退してクラブががらっと変わったし、宿題は出来ていないし、もうすぐ学校が始まるし・・・、すごく不安で調子が悪いです。」
と、答えていました。
「ご飯は食べれてる?」
「はい。」
「眠れてる?」
「はい。」
「お母さんから見てどうでしょうか?」
「不安が強いですね。
3年生が部活を引退して、『自分が頑張らんな』っていう気持ちがものすごくあって、トレーニングで走りに行こうとするのですが、すぐにしんどくなって戻って来て、また走りに行って、すぐに戻って来て、と。
頑張りたいのに、エネルギーが足りないというか、気力が続かないというか、そんな風に見えます。」
「ドグマチールを飲んでみませんか?
胃薬なんですが、落ち込みを改善して、やる気をアップさせるお薬です。」
「薬をプラスするってことでしょうか?」
「どれか減らしたいところですが、減らせる薬が無いんですよ。
ドグマチールの効果が出れば、リスパダールを減らしていこうと思っています。
もし、副作用が出るようでしたら、すぐにやめていただいて、診察にきてください。」
「副作用って、頭が痛くなったり、お腹が痛くなったりする可能性があるのでしょうか?」
「それはないと思います。
元々が胃薬なので副作用も少ないのですが、気持ちがしんどくなる人が中にはいます。」
「イライラとかですか?」
「そうです。
落ち着かない気持ちがもし酷くなるようであれば、すぐにやめてください。」
「リスパダールOD錠1mg(0.5mgを2錠)と、レクサプロ錠10mg(1錠)、ツムラ抑肝散加陳皮半夏エキス顆粒5g(2包)、ビオフェルミン錠3錠、ドグマチール(後発薬はスルピリド錠)50mg(1錠)、頓服としてエチゾラム錠を一日4錠まで」を処方され、次の診察は12日後となりました。