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城台山日記

 城台山の麓で生まれ、毎日この山に登り、野菜・花づくり、読書、山登りをこよなく愛する年寄りの感動と失敗の生活日記です。

コモンズの悲劇 20.8.2

2020-08-02 13:04:46 | 地域のこと他
 今年の4月から三輪財産区管理委員会の一員となった。4月はたまたま当番が当たっていて、委員会の持ち物であるお墓の清掃を2回行った。そして昨日土曜日2回目の草刈りを行った。

この墓地は財産区が所有

このお墓の一角にかつて火葬場があった。この火葬場も財産区の所有であった。おじさんの若かった頃はこのあたりでは葬儀を民間の葬儀社ではなく、地元自治会で行うところが大半であった。おじさんの地区でも会館には棺桶と祭壇が備え付けられていた。自治会の中に班というのがあり、葬儀もこの班が中心となって行った。当時若かったおじさんは同級生たちとともにオンボ()の役割が回ってくることが多かった。要するに火葬場で火葬を行う役割(土葬のところでは穴掘りの役割)を果たした。今となってはかすかな思い出だが、火葬の際の臭いだけは忘れられない。古い火葬場を壊して、新しい葬儀場を作る時は、色々な場所が候補に出たのだが、そのたびに地元から反対(これをNIMBYとか言う、すなわちnot in my backyard、日本語にすれば「私の裏庭には作らないで」。常にやっかいな施設を作る時にはこの議論が出てくる。最近は保育園でも出てくるらしい。いわく子どもの声がやかましいとか。)が出て新設されるまでに随分年数を要した。火葬場は取り壊され、そこは旧の墓所とともに新しい墓所となった。

 財産区の持ち物として、墓所の他に城台山の三輪区側を所有している。この中には城台山公園そして一心寺、町の給水タンクがある。

 これは古い方の給水タンク 新しいのは少し下った斜面に新設された(といっても随分前の話)
公園について残念ながらあまり使われていない。若者の音楽イベントが行われているが、昨年は台風、今年はコロナで中止となった。しかし、草は伸びてくるので、年に2回ほど草刈りをする。7月22日に一回目の草刈りをした。

 自走式の草刈り機

なぜこの財産が町に引き継がれなかったのであろうか。(こうした引き継がれない共同所有地や財産を管理するため特別地方公共団体というのが法律である)行政が引き継ぐと当然管理をしなければならないので、そのための経費が必要となる。中には、引き渡すと失われる利権・メリットがある場合があったのかもしれない。財産区はまだ法律で認められた存在だが、これ以外に地区所有の様々な利権があると聞いている。(中には地区所有の水道施設なんていうのもあり、これは利権とは関係ない。たまたま町がその引継を拒否しただけかもしれない。)

 かつて、入会地というのが各地にあった。この場所は、今で言うと地区の共同地であり、その使用については一定のルールがあった。したがって、そのルールに従って、焚き物、水田・畑への敷もの(若葉を肥料代わりに田んぼに敷き込む、もちろん落葉した葉っぱも活用)等に使用していた。この使用に従わない者もいて、その者が限度を超えて使用する結果資源が尽きてしまうことを経済学では「コモンズの悲劇」(日本では羊の放し飼いはほとんどないがヨーロッパでは多く、コモンズに放し飼いにされたら草はすぐになくなってしまう)と呼んでいる。私有地ではなく公有地や共同地の利用は難しい。旧ソ連のソホーズ・コルホーズや中国の人民公社がうまくいかなかったのは、人間は自分の土地であれば頑張るが共同地では怠けるか・ルールを守らないからだと思われる。個人所有を重視するのが資本主義だが、今ではその弊害はほとんどの経済学者が認めるが、それにかわるのがないのが実情である。

 もう一つ興味深い話。徳山ダムは水没するところは個人の所有であれば補償金が支払われた。一方で、水没を免れた森林の所有者たちは、管理のための林道を要求した。ところが、この林道の建設には莫大な費用がかかることがわかった。そこで岐阜県ではこの森林を買収し、すべて県有地として管理することにした。そうすれば林道の建設は不必要となる。普通、土地には登記簿謄本というのがあって、その所有者が明記されている。そして相続が行われた場合には新しい所有者が登記されることになっている。ところが、森林は相続(何人も相続者がいることが多い)があってもその所有者が変わっていないことが多い。二代前あるいは三代前の所有者の土地を買収しようとするのはいかに大変か想像できるであろう。まして、そこが共同地でその所有者が何人もいることになったら、買収の苦労がさらに大きくなる。私に言わせれば、これこそコモンズの悲劇(買収者にとって)になる???。水源地等を中国が買収しているという話を良く聞く。しかし、日本の土地特に山林の所有の管理はおそまつであることを知る人は少ない。

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