大学生時代はいわゆる「ノンポリ」であったが、なんとなく反体制的な考えに共感することもあった。とはいえ全共闘グループ等の話すことや書いてある立て看を見てもほとんど理解できなかった。ベトナム戦争中でもあり、当時の社会党の掲げる「非武装中立」などにもシンパシーがあった。今や、左翼という言葉はめったにお目にかかれなくなった。どちらかというと日本全体が右寄りになってしまったと識者は言っている。先進国という過去の栄光を失い、心に余裕がなくなってしまった。そして、日本は急速に左右の多様な考えに寛容でなくなっている。
細谷雄一著「自主独立とは何かー冷戦開始から講和条約まで」を読んだ。ニューディール系の理想に満ちた政策を占領する中で実施しようとしたGHQ。それが冷戦開始からパワーバランス論(ジョージ・ケナンー彼の考えが方向転換に大きな影響を及ぼしたことを認識した)に変わり、戦災からの急速な再建が目指されるようになった(急速な民主化により日本が不安定化し、ソ連側につくことをアメリカは恐れた。)その中には、日本の再軍備もあった。これにかなり抵抗したのが吉田茂である。
吉田茂といえば後の池田、佐藤、宮沢につながる保守本流の人物であるというのが我々の認識である。しかし、戦前彼はリベラルであるということで、軍部から忌避された人物である。戦後には、経済の復興を最優先にし、アメリカに依存する形で軽武装にとどめた。旧日米安全保障条約を後から問題になるといけないからと彼単独で調印した(その旧条約を改正したのが安部さんのお爺さんの岸信介さん)。
吉田が「対米隷属」と批判された時に言った言葉が印象的だ。回顧録から「私は独立以後の在職数年の経験を顧みて、日本政府が自己の打算と判断とによって行動する自由をいささかでも制限された記憶を持たない。殊に米軍駐留の事実が、日本政府に何らかの政治的圧力になった経験は全くない。」
最近保守に関する本を読んでいても若い頃のような違和感を感じなくなり、むしろ親しみさえ感じるようになってきた(昔から年をとれば保守的になると言われた。しかし、今の若者は本来何も失うものはないはずなのに、随分保守的になっているらしい。)。18世紀のイギリスの政治思想家のエドモント・パークによれば「保守とは、人間の理性には決定的な誤謬が存在し、能力にも限界が存在する。だから、裸の理性に依拠するのではなく、歴史に耐えてきた経験的集合知や常識、伝統に依拠しながら、漸進的に改革する」で復古主義とか保守反動というものではない。こういう考えならなんとなく支持できると思うのである。
細谷氏の本では、昭和天皇の役割について触れていない。天皇は共産主義が広がることを極度に恐れた。アメリカ軍の駐留を強く望んだのは天皇だし、そのために沖縄を差し出しても良いと言っているのを別の本で読んだ。いずれにしても、今を考えるうえでこの時期の歴史を学ぶことは大いに意義のあることだと思う。
細谷雄一著「自主独立とは何かー冷戦開始から講和条約まで」を読んだ。ニューディール系の理想に満ちた政策を占領する中で実施しようとしたGHQ。それが冷戦開始からパワーバランス論(ジョージ・ケナンー彼の考えが方向転換に大きな影響を及ぼしたことを認識した)に変わり、戦災からの急速な再建が目指されるようになった(急速な民主化により日本が不安定化し、ソ連側につくことをアメリカは恐れた。)その中には、日本の再軍備もあった。これにかなり抵抗したのが吉田茂である。
吉田茂といえば後の池田、佐藤、宮沢につながる保守本流の人物であるというのが我々の認識である。しかし、戦前彼はリベラルであるということで、軍部から忌避された人物である。戦後には、経済の復興を最優先にし、アメリカに依存する形で軽武装にとどめた。旧日米安全保障条約を後から問題になるといけないからと彼単独で調印した(その旧条約を改正したのが安部さんのお爺さんの岸信介さん)。
吉田が「対米隷属」と批判された時に言った言葉が印象的だ。回顧録から「私は独立以後の在職数年の経験を顧みて、日本政府が自己の打算と判断とによって行動する自由をいささかでも制限された記憶を持たない。殊に米軍駐留の事実が、日本政府に何らかの政治的圧力になった経験は全くない。」
最近保守に関する本を読んでいても若い頃のような違和感を感じなくなり、むしろ親しみさえ感じるようになってきた(昔から年をとれば保守的になると言われた。しかし、今の若者は本来何も失うものはないはずなのに、随分保守的になっているらしい。)。18世紀のイギリスの政治思想家のエドモント・パークによれば「保守とは、人間の理性には決定的な誤謬が存在し、能力にも限界が存在する。だから、裸の理性に依拠するのではなく、歴史に耐えてきた経験的集合知や常識、伝統に依拠しながら、漸進的に改革する」で復古主義とか保守反動というものではない。こういう考えならなんとなく支持できると思うのである。
細谷氏の本では、昭和天皇の役割について触れていない。天皇は共産主義が広がることを極度に恐れた。アメリカ軍の駐留を強く望んだのは天皇だし、そのために沖縄を差し出しても良いと言っているのを別の本で読んだ。いずれにしても、今を考えるうえでこの時期の歴史を学ぶことは大いに意義のあることだと思う。