つくば市の酒「霧筑波」
侘輔 今日のお酒は一度蔵元を囲んで楽しんだお酒なんだ。覚えているかな。今は無くなってしまった商工会議所の一室を借りて楽しんでいたころのことなんだけれど。
呑助 えっ、そんなこと、ありましたっけ。
侘助 そう、最近は昨日のことも思い出せないほど、記憶力が無くなってきているからね。五年以上前のことになると思い出せないないよね。昔はいろいろイベントがあった。
呑助 そうでしたね。ただ楽しかった。記憶にあるのはそれだけでそれ以上
のことはありませんね。
侘助 楽しさとは、そのようなものなのかもしれないな。心に残るものは良くないとタモリが言っていた。笑い、楽しさとは、そのようなものなのかもしれない。
呑助 それで今日楽しむお酒は何ですか。
侘助 筑波のお酒、「霧筑波・純米大吟醸・雄町」。つくば市の浦里酒造さんが醸したお酒だ。
呑助 「霧筑波」と聞いて思い出しました。ラグビー選手のような蔵元でしたね。お土産に美味しいお酒を一本持ってきてく
れたような記憶がありますね。
侘助 そうでしたね。今日楽しむ浦里酒造さんのお酒も十号酵母にこだわって醸している。
呑助 いい香りのするお酒は九号酵母で醸したお酒が多いんですよね。十号酵母で醸したお酒の特徴はどんなところにあるんですかね。
侘助 十号酵母は七月例会で楽しんだ水戸の明利酒類のお酒「副将軍」、金子さんが差し入れてくれたお酒、覚えているかな、あの「副将軍」を醸す蔵から採取された酵母として醸造協会に認められ、十号酵母として教会が頒布している。特に酸が少なく、高い吟醸香が出ると言われている。
呑助 「霧筑波」のお酒は繊細な柔らかさがあるお酒だったような印象があるな。
侘助 ほのかな吟醸香と柔らかな繊細さというのが「副将軍」と「霧筑波」の共通性かもしれないな。
呑助 九号酵母のお酒と十号酵母のお酒の違いと言うとどんなところにあるんでしようね。
侘助 九号酵母のお酒はちょっと専門的になるけれどもカプロン酸系のフルーティーな香り、華やかな香りが特徴かな。それに対して十号酵母のお酒は落ち着いた香りのように思っている。山形に十号酵母にこだわった酒造りをしている蔵がある。醸している酒の銘柄は「くどき上手」。このお酒を女性に勧めると女性の心が開いてくるのかもしれない。
呑助 へぇー、そんな銘柄のお酒があるんですか。 十号酵母のお酒は女性向きのお酒なのかぁー。
侘助 今度、楽しんでみようよ。十号酵母で醸した酒「くどく上手」。
呑助 女の人は口説かれ上手になるんですかね。
侘助 最近酒造米「雄町」の人気が高まってきてるようだ。しかし浦里酒造さんはもう二十年以上前から「雄町」で酒を醸している。売れるからといって生産石数を増やすようなことはしていない蔵だ。地酒屋は地元で売るのが原則という信念を貫いている蔵のようだ。
呑助 世の中の浮き沈みに拘泥しない。
侘助 自信がある。流行に惑わされないようだ。