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各専門分野の統計技術、方法、テクニックなどを気ままに分かり易く例題をもとに解説します。

医学と統計(38)

2010-01-02 12:29:44 | 日記・エッセイ・コラム

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前回に続き効果量と検出力について考えて見ましょう。
母平均の差の検定には、常に、2つの過誤(α-error と β-error)が付きものです。

図:2つの過誤
Photo

検出力は、検出力=1-β であり、本当に差がある場合に正しく検出できる確率です。
参照先(やさしい医学統計手法「3.1.3」)
URL:
  http://kstat.sakura.ne.jp/medical/med_001.htm

前回の例題における標本検出力は、検出力=f(Na , Nb , e.s. , α)から、適切な検出力があったか、どうかを知る事が出来ます。適切な検出力かどうかは、
「A Power Primer by Tacob. Cohen ( 1992 )」の「Table1; ES Indexes and Their values of Small , Medium and Large Effects」を参考にして下さい。t-test での e.s. のは、
      Small=0.20 , Medium=0.50 , Large=0.80

となっていますので、0.80を目安にすれば良いと思います。前回の例題から、
有意差のあったA年代間の有意水準(α=0.05)の検出力は次の通りです。

                                t-value(p-value)   e.s.   power
      A年代とB年代  3.297(0.0018)   0.952   0.898
      A年代とC年代  2.445(0.0325)   0.893   0.664

ここで、A年代とC年代間のPower を上げるには、C年代のデータ数(N)を増やす必要が有りそうです。C年代のデータ数を N=21 にしたとき、
       Welth t-value=3.278、p=0.002 となり、e.s.=0.933、Power=0.895

となりました。この様に、2つの平均値の差の検定結果に、e.s. と Power を併記するようになれば、検定結果の信頼性を高めるかも知れません。