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各専門分野の統計技術、方法、テクニックなどを気ままに分かり易く例題をもとに解説します。

医学と統計(89)

2012-09-29 11:01:09 | 日記・エッセイ・コラム

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統計ソフト「gretl」を使ってみよう(2)!

前回では「gretl」サイトから、

ダウンロードしたExcelファイル「MetaboData.xls」を Import し、「MetaboData.gdt」の名前で保存しました。
このgretl ファイルを用いてチョッとばかり医学に関連した統計メニューを試してみましょう。

File→Open data→User fiile→Open data→MetaboData.gdt

ファイルが呼び込まれました。各変数をダブルクリックすればデータを見ることが出来ます。
ここで、
「BM I」をクリックし、
Variable→ Box plot→ ◎Factorrized→ OK→ [ Metabo ]→ Factor(discrete)→ OK

とすれば、図1のBoxPlot(箱ひげ図)が出力されます。
図1 BM I のBoxPlot

Boxplot_bmi

同じ様に、変数「Abdom」をクリックし、
Variable→ Box plot→ ◎Factorrized→ OK→ [ Metabo ]→ Factor(discrete)→ OK

とすれば、図2のBoxPlot(箱ひげ図)が出力されます。
図2 Abdom のBoxPlot
Boxplot_abdom

図1と図2は「Metabo」(0=メタボなし、1=メタボあり)におけるBM I とAbdom(腹囲)の違いを示しています。
統計学的な検定(student's t-test、Wilcoxon sum rank test)は次により行うことが出来ます。
まず、
2群の既知の平均値と標準偏差によるBM I の 「Student's t-test」は、
Tools→ Test statistic calculator→ [ 2 means ]→
  [ mean of sample 1=21.5 ], [ std. deviation, sample 1=2.215], [ size of sample 1=50]
  [ mean of sample 2=21.5 ], [ std. deviation, sample 2=2.215], [ size of sample 2=50]

?Assume common population stadard deviation→OK

変数 Abdom の 「Student's t-test」は、
Tools→ Test statistic calculator→ [ 2 means ]→
  [ mean of sample 1=77.48 ], [ std. deviation, sample 1=6.339], [ size of sample 1=50]
  [ mean of sample 2=95.52 ], [ std. deviation, sample 2=8.338], [ size of sample 2=50]

?Assume common population stadard deviation→OK

平均差の検定結果は表1と表2に示す通りです(但し、Weioch t-test は出来ません)。

表1 BoxPlot(図1)の平均値差の検定結果
Ttest_bmi

表2 BoxPlot(図2)の平均値差の検定結果
Ttestabdom

上記の方法は、2群(Metabo)の既知の平均値と標準偏差から計算したものですが、次の方法でも平均差の検定を行うことが出来ます。
変数[ Metabo]をクリックし、
Model→ Ordinary Least Squares→ [ BM I] 又は[ Abdom ]→ Dependent variable→OK

Ordinary Least Squares(最小2乗法)の結果は次の通りです。

表3 OLSによるBM I の結果
Ols_bmi

 

表4 OLSによる Abdom の結果
Ols_abdom

表3と表4の「Log-likelihood」、「Akaike criterion」、「Schwarx criterion」、「Hannan-Quinn」は当てはめの良さを表す情報基準量です。
以上の結果から、
「Metabo」の有無による「BM I」と「Abdom」の平均値差が統計学的に高度に有意であることが分かりました。

ノンパラメトリック法でのWilcoxon の順位和検定 は、「Metabo」の「なし、あり」で2群に分けた2変数(BM I、Abdom)について、
「Tools→ Nonparametric tests」

を行えば良いでしょう。
gretl でこの様なことも簡単に出来ます~ってことの一例です。

次回に続く!