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医学と統計(90)
統計ソフト「gretl」を使ってみよう(3)!
本来、”gretl”は計量経済分野の統計分析に使われることが多いようです。
いわゆる、経済変動を時系列的に分析するのに有用なソフトと言えます。
ここでは、
医学分野の例題を取り上げていますので、多少、勝手が違う感が無きにし非ずってとこでしょうか。
今回は、その様な事にお構いなく、時差相関を試してみたいと思います。
これらは、すでにOCNブログ人の医学と統計(48)で紹介しています。
http://blog.goo.ne.jp/k-stat/d/20100704
血中の好塩基球数(Ba)と IgE値の時系列変動をみたもので、要するに、血中のBaの増加から遅れて血中のIgEが増加するかどうかです。
このデータは「gretl」から、ファイル名「gretlTimeLag.xls」をダウンロードしておきます。
gretl→ File→ Open data→ Import→ Excel→ gretlTimeLag.xls→ Open→
Start inport at, →column[1], row[1], Sheet to import [Sheet1]→ OK→ Yes→
→ Structure of dataset→ ◎Time series→ Forward
Time series frequency→ ◎Annual→ Forward→ Forward→ Apply
gretl に取り込んだデータは下記により保存しておきましょう。
File→ Save data→ [gretlTimeLag.gdt]
データの変数名(Ba)の単位は 個/μL、変数名(IgE)の単位は IU/L であり単位が異なりますので、時差相関には標準化した変数名(NorBa)と変数名(NorIgE)を使用します。
それでは、
View→ Cross correlogram→ Analiable vars の[Nor_Ba, Nor_IgE]を選択し→ Selected vars に移動→ Lag order[5]→ OK
時差相関は表1と図1の通りです。
表1 血中Ba と IgE の時差相関係数
時差相関係数は時差2(LAG=-2)で最大(r[2]=0.5522)になっており、血中Baの出現から遅れて血中IgEの増加がみられることを示唆しているかも知れません。この様な現象は医学で良くあることですので、現象の解析に時差相関が役立つかも知れませんね。
MS-Excel や統計解析環境「R」による方法は「医学と統計(48)」を参考にして下さい。
次回は、gretl による自己相関分析の予定です。