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医学と統計(80)

2012-03-20 17:38:20 | 日記・エッセイ・コラム

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薬の効果と非劣性検証(1)

2種類の薬剤について降血糖効果をHbA1c を指標に調べました.
投与前後の HbA1c の差(Pre-Post)について独立2群の平均値差検定( Student's t-test) で行い表1の結果を得ました.

表1 2つの薬剤の統計量
A剤 ( 対照 ) n=20 、mean±sd = 0.4±0.2   
B剤 ( 治験 ) n=30 、mean±sd = 0.5±0.3
t-value = 1.307 
p-value = 0.1973 (Non-sigificant)

以上の結果から、
A 剤 と B 剤 の HbA1c の平均値に有意差はないと判断されました.
しかし、
有意差のないことをもって A 剤 と B 剤 の効果は同じであると結論付け出来ません.
「有意差なし」とは同等を意味しているのではありません.
同等を証明するには、一つの方法として非劣性検証を行う必要があります.
表1 について言うなら、A剤(対照) の 投与前 と 投与後 の HbA1c の差(⊿)は
平均で ⊿=0.031 の低下がみられましたので、
meanB-(meanA-⊿)

について、t 検定 をおこなう必要があります.
非劣性検証では、
meanB-(meanA-⊿)=0.5-(0.4-0.031)=0.131

となります。すなわち、⊿の差をつけている分けです.

既平均値と既標準偏差からの t 検定は下記の Web オンラインソフト を利用すると便利でしょう.
STATISTICA APPLETS
t test:Independent Group
http://www1.assumption.edu/users/avadum/applets/applets.html

では、
早速データを入力してみましょう.次のように入力します.
M1=0.5、SD1=0.3、n1=30
M2=0.4-0.031=0.369、SD2=0.2,n2=20

出力結果は次の通りです.
t(48)=1.713、p=0.0466(片側)

95%信頼区間は次により計算すれば良いでしょう.
STATISTICA APPLETS の出力結果から、
SE=MD/t(48)=0.131/1.713=0.076
(M1-M2)-t(0.1,48)*SE=0.1-1.6772*0.076=-0.0275

以上の計算から、
p=0.0466(片側)、
⊿=0.031<95%CI(Low)=-0.0275

よって、
HbA1c の投与前後の差は 0.031 以上劣ることはない、同等性が認められた.

次回は、有効率の場合を取り上げたいと思います.


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