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各専門分野の統計技術、方法、テクニックなどを気ままに分かり易く例題をもとに解説します。

医学と統計(58)

2010-12-09 13:35:01 | 日記・エッセイ・コラム

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Woolf test ( ウールフ 検定 ) と Mantel-Haenszel test について。
前回のクロス表において、変数間の関連が各 Stage において同じであることを Woolf-test で確認する必要があると言いました。
例題(表2)での Woolf-test は次のようになりました。
「R」での Woolf-test の出力結果
Woolf-test on Hamogeneity of Odds ratios
          X-chisqured = 0.8448 , df = 2 , p-value = 0.655

よって、
ウールフ検定で有意と言えないので、表2の各 Stage ( 病期など ) に交差作用はなく Mantel-Haenzel の適用となります。
「R」による Mantel-Haenzel の出力結果
Mantel-Haenszel
           X-squared = 3.4244 , df = 1 , p-value = 0.0642

よって、
各 Stage の偏りを補正した2群間 ( A groupとB group ) の比率に有意差はないと言えます。
この様な問題は医学においてしばしば経験するところです。しかし、例数 ( 症例数など ) を増やすにも制限が多いとは言え、適正な例数がどのくらいかは把握しておくべきでしょう。それは、検出力を見て判断することが出来ます。
検出力については、下記URLの医学と統計(37)(38)を参考にしてください。

   http://blog.goo.ne.jp/k-stat/d/20091222
   http://blog.goo.ne.jp/k-stat/d/20100102

今回の例題(表1)では次のようになりました。
「R」によるPower test の結果
Power test difference of proportion power calculation for binomial distribution .
      h = 0.345 , n1 = 80 , n2 = 90 , sig.level = 0.05 , power = 0.726 (one side)

以上の結果から、
検出力はやや低いものの許容できる範囲かも知れません。検出力 80%以上 (両側検定) を得るための Sample size は A goroup = 113例、B group = 155例 でしたので、例題の例数は十分と言えませんが、例数が多ければ良いというものでもありません。少しばかり例数が少なくても検定結果が統計学的に有意であれば、一応、その結果を受け入れられると思います。しかし、有意でなければ考え直す必要が有りそうです。すなわち、
「 実際には差があるのに例数が少ないために有意でない 」かも知れないからです。

「参考」
2×2 の分割表の各セルの度数を円グラフのように視覚化ディスプレイしたものを「fourfold display」と呼んでいます。本例では次の様に図示(一例)できます。
Mantel_fig1

「 Creates a fourfold display of a 2 by 2 by k contingency table on the current graphics device, allowing for the visual inspection of the association  between two dichotomous variables in one or several populations 」
http://stat.ethz.ch/R-manual/R-devel/library/graphics/html/fourfoldplot.html

次回は、
対応のある出現率の検定方法である「 Cochran 、Mantel-Haenszel 」について述べたいと思います。


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