◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

3月19日

2014-03-19 22:50:50 | Weblog
3月19日

●小口泰與
毛鉤追う雪代山女斑のおどる★★★
芽柳の彼方の榛名雪解かな★★★
水温み山風さわに鳥を呼び★★★★

●黒谷光子
重文の堂や広間や馬酔木咲く★★★★
馬酔木の花は山地の乾いた土地に咲くが、小さな壺状の白い花房は、古いものに似合う花だ。重要文化財の堂や広間も古都奈良の雰囲気を思い起こさせて床しい。(高橋正子)

名園は伊吹を借景春霞む★★★
春日射す境内に鳩たむろする★★★

●桑本栄太郎
はじらいを見せて白れんついに咲く★★★
咲き初めのうすきみどりや白木蓮★★★★
夕暮れの淡き茜や春霞★★★

●多田有花
校舎からゆるゆる昇る朧月★★★
芽立ちの香たち初む山を歩きけり★★★★
芽立ちは、そのさまざまな色がよく詠まれるが、この句は匂いを詠ユニーク。今山を歩くと、落葉が腐葉土となってゆく匂いが立ち上っている。これを含めて「芽立ちの香」と言うのだろう。春の山を歩いて一番に感じることである。(高橋正子)

春の山歩く上着を脱ぎ捨てて★★★

●佃 康水
粒餡を炊く香の満ちて彼岸入り★★★★
彼岸にはおはぎ(ぼたもち)を作って仏前に供えるが、そのために粒餡を炊く。この餡を炊く匂いが台所に立ちこめると、「彼岸に入る」ことを体感することになる。

刺身盛る尖る細魚の口添えて★★★
初花や川青々と止めどなく★★★

●河野啓一
霞立つ朝の空ゆく鳥の群れ★★★★
主送る門辺に咲くや八重椿★★★
塩むすび提げて出掛ける春の野辺★★★

●小西 宏
春寒も股引おいて家を出る★★★
伐られたる枝に突き立つ梅の花★★★

陽に近き枝の黒きや花芽ぐむ★★★★
太陽に近い桜の枝は、逆光で黒さが強調されるのだろう。枝の黒さが花芽と対比されて、たのもしく咲く桜の花が想像される。(高橋正子)

●古田敬二
青空へ開花宣言桜花★★★
ざわめいて開花宣言青空へ★★★★
春光へ青鷺ゆっくり首伸ばす★★★
コメント (6)
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