◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

今日の秀句/12月11日~12月20日

2024-12-12 00:49:32 | Weblog
12月20日(1句)

★湧水の音絶え間なく年迫る/廣田洋一
本格的な句。年が迫りあわただしい世間に対し、湧水はこんこんと湧き出し、水音も絶えない清浄な世界がある。(髙橋正子)

12月19日

※該当句無し

12月18日(1句)

★柚子の黄の日向占め居り庭の隅/桑本栄太郎(正子添削)
庭の隅の柚子の実が冬の日が受けて、冬の日を一人占めするかのように明るく照っている。(髙橋正子)

12月17日(1句)

★冬の駅汽笛は線路を走りけり/弓削和人
とくにローカル線の冬の駅は、寒々としてホームに立てば線路が遠く続くの見える。汽笛は「線路を走りけり」の印象で、汽笛の音は線路づたいに抜けていく。空気の緊張感も感じさせて、言い得ている。(髙橋正子)

12月16日(1句)

★短日の入日が窓を輝かす/多田有花
「短日の入日」だけで、詩になっている。「窓を輝かす」は作為がないのがいい。(髙橋正子)

★吹かれきし木の葉も共に掃きにけり /廣田洋一
枝についている枯葉も、落葉のも「木の葉」と言う。吹かれてきた木の葉を今掃いている木の葉と一緒に掃く。せっかく掃いたところへ、また飛んでくる。誰のものでもない木の葉の掃除はこの季節の仕事。(髙橋正子)

12月15日(1句)
友と居て言葉飛び去る空っ風(原句)
「友と居て」の部分は、「友」を意識すれば当然そこに「友が居る」ことになるので、「居る」が必要かどうか考えないといけないです。(髙橋正子)

★空っ風友の言葉を奪い去る(正子添削)
「空っ風」は、晴れた日に吹く北西の乾燥した季節風で、北陸に雪を降らせ山を越えて上州や関東に吹き下ろす。
空っ風が吹いてきて友の言葉がよく聞き取れなかったのだろう。空っ風が友の言葉を奪い去った。空っ風には非情な部分もあるのだ。(髙橋正子)

12月14日(1句)

★外套のまま召し上がれ中華そば/小口泰與(原句)
外套のままに食うなり中華そば/小口泰與(正子添削例)
原句は、面白い視点で詠んでいる。外套のままに着ぶくれて、湯気に顔を埋めて食べる姿に、庶民の哀歓が見える。(髙橋正子)

12月13日(1句)

★古釘を少し磨きて注連飾る/廣田洋一
古釘は注連飾りを取り付けるために、取り外さないで打ち付けたままなのだろう。それが古釘になって錆が付いている。新年を迎える気持ちが、錆を少し落として注連を飾らせるのだ。「少し」が自然体で好もしい。(髙橋正子)

12月12日(2句)

★ジャングルジムの中より見上げ冬の空/多田有花
ジャングルジムの内側に入って空を見ると、空に交錯する線が引かれているように見える。線描画のような、都会的な景色が見える。冬空が一番似合う。(髙橋正子)

★山眠る湖底のウグイもこんこんと/弓削和人
魚類は水温が5度C以下になると仮眠状態になるという。これを魚の冬眠とも言っている。湖水の水温が下がり、あるい氷が張っているのかもしれないが、湖の山が眠るそばで、湖底ではウグイも眠っている。冬の寝息の聞こえるようなひそやかな世界。(髙橋正子)

12月11日(1句)

★溝川のこぼこぼ落つる冬田べり/桑本栄太郎
「ごぼごぼ」落ちる溝川の水が、冬田のへりで力強く聞こえる。ものが枯れるなかの、水のいきいきとした力強さである。(髙橋正子)
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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
御礼 (桑本栄太郎)
2024-12-12 16:12:36
高橋正子先生
12月11日の今日の秀句に「溝川のこぼこぼ落つる冬田べり」の句をお選び頂き、嬉しい過分なるご句評も頂戴しまして大変有難う御座います!!。
この日は朝は冷え込んだものの、次第に気温が上がり近在の田園を散歩ウオーキングを行いました。
田んぼは冬田の光景ながら、溝川のこぼこぼと流れ落ちる音がとても心地良い光景でありました。
返信する
お礼 (多田有花)
2024-12-13 10:30:10
正子先生
「ジャングルジムの中より見上げ冬の空」を12月12日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
先日、近所の小学校のジャングルジムの中へ入ってみました。
見上げるとからっと晴れた空に黄色とブルーの格子が重なって、抽象絵画のような不思議な光景でした。
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御礼 (廣田洋一)
2024-12-15 09:01:39
高橋正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
12月13日の「古釘を少し磨きて注連飾る」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、真に有難うございます。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
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御礼 (小口泰與)
2024-12-15 12:33:45
高橋正子先生
いつもご親切にご指導を賜わり厚く御礼申し上げます。今回も素晴らしい添削をしていただき、その上(外套)の句を今日の秀句にお選びいただき感謝申し上げます。
今後ともよろしくご指導のほどお願い申し上げます。
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御礼 (小口泰與)
2024-12-16 08:57:23
高橋正子先生
「空っ風」の句を添削していただき、その上今日の秀句におとりあげいたた大変うれしく有難う御座います。今後ともよろしくご指導のほどお願い申し上げます。
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お礼 (多田有花)
2024-12-18 16:17:42
正子先生
「短日の入日が窓を輝かす」を12月16日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
現在、日没の位置は最南端にきています。南西側の部屋の窓から入日が望め、北東の山裾の小高い位置にある家々の窓を照らしながら沈んでいきます。
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御礼 (廣田洋一)
2024-12-19 08:39:13
高橋正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
12月16日の「吹かれきし木の葉も共に掃きにけり」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、真に有難うございます。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
返信する
御礼 (桑本栄太郎)
2024-12-19 16:48:05
高橋正子先生
18日の今日の秀句に「柚子の黄の日向占め居り庭の隅」の句を、添削の上お取り上げ頂き、嬉しいご句評も頂戴しまして大変有難う御座います!!。
何時も散策のコースの途中にありますお宅の庭の光景であります。柚子も橙も金柑もみな色づました。。
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御礼 (廣田洋一)
2024-12-21 18:24:26
高橋正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
12月20日の「湧水の音絶え間なく年迫る」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、真に有難うございます。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
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