◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

今日の秀句/2月1日~2月10日

2025-02-01 22:12:00 | Weblog
2月10日(1句)

★戸を開けて見れば西山はだれ雪/桑本栄太郎
京の西山は高雄や清滝、嵐山など、美しい自然や文学で知られるところ。朝、戸を開けてみれば、「西山」に「はだれ雪」。この景色に驚いて、そのままを詠んだ句。(髙橋正子)

2月9日(2句)

★満開の梅の一枝売られおり/廣田洋一
売られている梅の枝の、そのなかの満開の枝に目が留まった。満開の梅の枝に、明るい春の兆しを見た喜びが素直に詠まれているのがいい。(髙橋正子)

★春雪のきらめき光る金閣寺/桑本栄太郎
春の雪にきらめき光る金閣寺はそのまま美しい。季節が冬から春へと移り変わるときに見られる金閣寺のしずかな情趣がいい。(髙橋正子)

2月8日(2句)

★落葉轢く音を体に車椅子/川名ますみ
車椅子で公園などを進むと、車椅子の車輪が落葉を轢くことになる。そのとき落葉が砕けるおとが身にじかに、体に響いて感じられたということ。音が体で感じ取れたということは素敵なこと。(髙橋正子)

★春の雪枝しなるまで積もりたり/桑本栄太郎
京都にも「枝しなるまで」の春の雪が降ったという驚き。春の雪とは思えぬ降り方が、枝に積もった雪を観察することで驚きとなっている。(髙橋正子)

2月7日(1句)

★西天に雲を浮かべて春の空/廣田洋一
天気は西から変わると言われるが、私は無意識に西空をよく見る。西空がのどかだと、いい天気が続きそうな気がする。西空にぽっかり浮かんだ雲に春らしさを感じる。(髙橋正子)

2月6日(1句)

★剪定のリフト高きや青空に/桑本栄太郎
剪定は、果樹や庭木、街路樹などで春先に行われる。夏は「刈り込み」とよばれている。街路樹などの高い木はリフトに乗って剪定しているが、現代的な剪定風景と言える。剪定が済んだ木はさっぱりとして青空を背景に、見た目にも気持ちがよい。(髙橋正子)

2月5日(2句)

★節分をしてひとり豆つまみおり/弓削和人
節分には魔物や邪気を払うために豆まきをする。ひとりなのだが、節分の行事の豆まきをした。撒いたあとは豆を年の数だけ、あるいは年の数より一つ多く食べる。ひとり豆をつまんでいるわびしさもあるが、鬼を払った安心もある。(髙橋正子)

★梅のどの蕾も珠となりし朝 /川名ますみ
朝、梅の枝を見ると、どの蕾も「珠」となっている。梅の蕾が膨らんできたのだ。「朝」と「珠」は、梅の蕾のみずみずしい輝きを表していて、生き生きとした心境がうかがえる。(髙橋正子)

2月4日(2句)

★春立つ朝野鳥の声に目覚めおり/多田有花
「春立つ」という言葉を聞くだけで、人の心は春を意識して明るく楽しい思いになる。おりしも野鳥が鳴いてくれて、心地良い朝の目覚めだ。(髙橋正子)

★立春の対馬海峡風強し/廣田洋一
対馬へ旅行されたのだろう。暦の上にしろ、立春の明るい春が来たというのに、対馬海峡は自然の厳しさを見せている。これを旅で実感された。(髙橋正子)

2月3日(2句)

★水仙花淡路の友より便り来る/多田有花
水仙を活けている部屋で淡路の友からの、嬉しくなる便りを読んでいるのだろう。海を想像させる「淡路」と「水仙花」の取り合わせが芳しい。(髙橋正子)

★寒空に来たりし友と多々良沼へ/土橋みよ
多々良沼は、四季折々に美しい景色が見られるが、冬は白鳥の飛来で有名な沼。寒空をいとわず来た友と多々良沼へ行った。それを素直に詠んで、言外に楽しさが伝わってくる。(髙橋正子)

2月2日(2句)

★枯木の枝伸び伸びとして鳥支え/小口泰與
枯木の枝は、作者の目からは、「伸び伸びとして」見えた。このことは春が近いことを思わせてくれる。軽い小鳥の体を「支えて」いる。やさしい枯木の枝はであり、とりもなおさず作者の気持ちである。(髙橋正子)

★冬萌や石垣つなぐうすみどり/桑本栄太郎
冬萌はまだ「うすみどり」。石垣の間にうすく萌えでて、石垣の石と石をつないでいるように見える。それぞれの石の形もはっきりして、少し楽しい景色に見える。(髙橋正子)

2月1日(1句)

★春隣る山下刈りの町内放送/多田有花
山の下刈りはいろんな理由で行われる。春が近くなると、下草の芽生えを促したり、火災が起こらないよう、また山林の保護や景観のために、枯草を刈り取る。町内の人達によって、山林が保護されていることは明るい人間の暮らしと言える。春隣となればこそ。(髙橋正子)
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11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お礼 (多田有花)
2025-02-03 11:23:28
正子先生
「春隣る山下刈りの町内放送」を2月1日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
節分の前日の土曜日の朝、この町内放送がありました。
住居周辺は寒中はほとんど雨がなく下草はからからに乾燥しています。
十分注意して消防の方の協力を得ておこないますとの声が聞こえました。
返信する
御礼 (桑本栄太郎)
2025-02-03 18:16:43
高橋正子先生
2月2日の今日の秀句に「冬萌や石垣つなぐうすみどり」の句をお選び頂き、嬉しいご句評も頂戴しまして大変有難う御座います!!。
近在の色いろなところの石垣に冬萌の草が生えて居ります。春も近い様相です。
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お礼 (多田有花)
2025-02-04 10:56:47
正子先生
「水仙花淡路の友より便り来る」を2月3日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
春に淡路島で同窓会をやろうという計画があります。
淡路島はいくつか水仙の群生地があります。山登りの途中に尋ねたこともありました。
姿も香りも清楚でいいですね。
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お礼 (土橋みよ)
2025-02-04 12:08:05
「寒空に」の句を選んでいただき有難うございます。少しずつ勉強していきますので今後もよろしくご指導お願いいたします。
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御礼 (廣田洋一)
2025-02-06 07:55:02
高橋正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
2月4日の「立春の対馬海峡風強し」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、真に有難うございます。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
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御礼 (桑本栄太郎)
2025-02-07 18:11:52
高橋正子先生
2月6日の今日の秀句に「剪定のリフト高きや青空に」の句をお選び頂き、嬉しいその場そのもののご句評も頂戴しまして大変有難う御座います!!。
近在には公団の団地が多く、街路樹も沢山あります。
この所、リフトに乗っての剪定がすすみ、丸裸のようであり切り口も初春の空に寒々として居ります。
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御礼 (廣田洋一)
2025-02-08 13:02:12
高橋正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
2月7日の「西天に雲を浮かべて春の空」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、真に有難うございます。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
返信する
お礼 (多田有花)
2025-02-08 14:48:59
正子先生
「春立つ朝野鳥の声に目覚めおり」を2月4日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
目覚めたとき、窓の外から朝の活動を始めた野鳥たちの声が聞こえ、ああ、立春だったな、と思いました。
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御礼 (桑本栄太郎)
2025-02-10 10:08:24
高橋正子先生
2月8日の今日の秀句に「春の雪枝しなるまで積もりたり」の句をご添削の上お選び頂き、嬉しい過分なるご句評も頂戴しまして大変有難う御座います!!。
今年は雪も降らないのかな?と思っていたところ、急激な春の寒波到来に大雪となり、10センチほど積り木々の枝が大きく撓りました。
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御礼 (廣田洋一)
2025-02-10 17:50:41
高橋正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
2月9日の「満開の梅の一枝売られおり」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、真に有難うございます。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
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