◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

今日の秀句/8月1日~8月10日

2024-08-01 18:13:20 | Weblog
8月10日(2句)

★山の日や雲に隠され富士の山/廣田洋一
「山」と言えば日本一の高さと優美な姿を誇る富士山が誰にも思い浮かぶ山だろう。洋一さんは、富士山の見えるところにお住まいだ。山の日の今日は雲に隠された富士の山で、残念に思うだろうが、目裏には、くっきりと富士山の姿が見えている。(髙橋正子)

★新涼の風乾きおり野に街に/桑本栄太郎
新涼の風のさわやかさを、「風乾き」と感じた感覚が新しい。湿潤な空気から乾いた空気に変わったことで新涼の空気となったのだ。野に街に新涼の気が満ちている。(髙橋正子)

8月9日(1句)

★窓を拭きおれば秋燕近く飛び/多田有花
「秋燕」(しゅうえん)という音がきれいで、拭かれてきれいな窓に添えられて、さわやかな透明感のある句になっている。(髙橋正子)

8月8日(2句)

★赤とんぼ甍の上を群れて飛ぶ/多田有花
「赤とんぼ」と「甍」に日本の原風景が詠まれて、だれにも郷愁をさそう句になっている。(髙橋正子)

★新涼の雲育て居り峰の上/桑本栄太郎
「新涼の雲」がすっきり、さわやかでいい。峰の上の空に新涼の雲が「育て」られている。「育て」に読み手は雲の姿をいろいろ想像できる。(髙橋正子)

8月7日(1句)

★窓開けて立秋の風存分に/多田有花
暦の上の秋と言われる立秋だが、よく観察すれば、猛暑と言われながらも、太陽の高度は確実に変わり、日差しも違う色に見えて来る。窓を大きく開けて風を存分に入れると、爽やかな気持ちになる。(髙橋正子)

8月6日

該当句無し

8月5日(1句)

★駅前に雲水の立つ夏の果/廣田洋一
「雲水」は禅宗の修行僧の事さすが、修行のひとつとしての托鉢がある。托鉢は寺を出て市街地に出向き、経文を唱えながら食べ物や金銭を鉢で受け取る修行である。この雲水は、こういった托鉢僧のことだろう。「夏の果」は、いよいよ夏も終わり、朝夕は涼しさを覚え、心が秋へ傾くとき。そういうとき、托鉢の雲水を駅前で見かけたときの心に動くものがある。(髙橋正子)

8月4日(2句)

★水馬寄せ来る波に抗えり/廣田洋一
水馬と言えば、水面をすいすい移動している姿をよく見かける。この句ではそうではなく、風が水面を波立たせているのか、その波に必死で抗っているようだ。そんな水馬への驚きとまた、親しみが感じられる句。(髙橋正子)

★白壁を朝顔の紺のぼりきる/川名ますみ
白壁と朝顔の紺色の対比が目にくっきりとして、涼しそうだ。「のぼりきる」でずいぶん高いところまで咲いているのだろう。目を楽しませてくれている。(髙橋正子)

8月3日(1句)

★鉢植えの胡麻の背丈や秋近し/桑本栄太郎
胡麻は普通畑で栽培されるが、それを鉢植えで育てて、胡麻を収穫しようとしているのが面白い。胡麻の丈は意外と高く、ずいぶんと伸びていることだろう。(髙橋正子)

8月2日(1句)

★未明より威し銃鳴る山の里/桑本栄太郎
「未明」が山の里の露けさを感じさせている。人もいないところで、突然に鳴る威し銃が、空気だけでなく、稲穂までも揺らすようで、豊作を思わせる。(髙橋正子)


8月1日(1句)

★夜の海見に行く浴衣白々と/廣田洋一
「夕涼み」と言う言葉も、クーラーがどの家庭にも取り付けられて、聞かなくなったが、いまも涼しい夜の海へ浴衣姿で出かけるのもいい。夜の暗がりに白地の浴衣が浮かび上がるのが印象的。(髙橋正子)



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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
御礼 (廣田洋一)
2024-08-02 11:55:38
高橋正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
8月1日の「夜の海見に行く浴衣白々と」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、真に有難うございます。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
返信する
御礼 (桑本栄太郎)
2024-08-03 17:00:05
高橋正子先生
毎日酷暑が続いて居ります。ご自愛のほどを願います!!。
8月2日の今日の秀句に「未明より威し銃鳴る山の里」の句をお選び頂き、嬉しいご句評も頂戴しまして大変有難う御座います!!。
住まいの京都郊外の洛西には近くに京西山があり、柿農家や田畑も多くあります。今の時季は、早稲の稲穂を狙って猪やお猿さんが出没します。その為早くも早朝より威し銃が鳴り響いております。
返信する
御礼 (廣田洋一)
2024-08-05 07:43:07
高橋正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
8月4日の「水馬寄せ来る波に抗えり」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、真に有難うございます。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
返信する
御礼 (桑本栄太郎)
2024-08-05 18:03:37
高橋正子先生
8月3日の今日の秀句に「鉢植えの胡麻の背丈や秋近し」の句をお選び頂き、嬉しいご句評も頂戴しまして大変有難う御座います!!。
ベランダに家内が鉢に胡麻を植えております。背丈がかなり伸び、秋も近い事を想わせて居ります。
返信する
御礼 (廣田洋一)
2024-08-06 13:44:30
高橋正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
8月5日の「駅前に雲水の立つ夏の果」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、真に有難うございます。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
返信する
お礼 (多田有花)
2024-08-08 11:52:54
正子先生
「窓開けて立秋の風存分に」を
8月7日の秀句にお選びいただきありがとうございます。

立秋の2日前、雷が鳴って結局雨が降らなかった日があったのですが、
その日から確実に風が変わったと感じました。
立秋の朝はまさに今日から秋だという雰囲気で、秋は早朝からやってくるものだと
感じつつ窓を全開にしてその風を楽しみました。
返信する
御礼 (桑本栄太郎)
2024-08-10 17:44:06
高橋正子先生
8月8日の今日の秀句に「新涼の雲育て居り峰の上」の句をお選び頂き、嬉しい「新涼の雲」がすっきり
さわやかで良いとの嬉しいご句評を頂戴しまして、大変有難う御座います!!。
ここ数日、朝方はかなり涼しく西山を見ますと峰の上に秋めいた白雲が育ちつつあります。
これからは、日中は暑い日があっても日毎に秋めいた
景色となるようです。
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御礼 (廣田洋一)
2024-08-11 11:46:13
高橋正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
8月10日の「山の日や雲に隠され富士の山」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、真に有難うございます。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
返信する
御礼 (桑本栄太郎)
2024-08-11 18:44:28
高橋正子先生
8月10日の今日の秀句に「新涼の風乾きおり野に街に」の句をお選び頂き、嬉しいコメントも頂戴しまして大変有難う御座います!!。
ここ数日、当地京都の日中は残暑が厳しいものの朝方はかなり涼しくなって参りました。又、日毎に風が乾いた感じがあり秋の到来を感じさせます。
返信する
お礼 (多田有花)
2024-08-11 20:01:32
正子先生
「赤とんぼ甍の上を群れて飛ぶ」を8月8日の
「窓を拭きおれば秋燕近く飛び」を8月9日の
それぞれ秀句にお選びいただきありがとうございます。

立秋の日、窓から外を見ると、赤トンボが群れて飛んでいました。
秋を連れてきてくれてきてくれたようで、うれしくなりました。

ベランダのそばの壁にコシアカツバメが巣を作っています。
サッシの窓掃除をしているとすぐ目の前をすーっと反転しつつ飛びます。
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