◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

3月22日

2014-03-22 07:27:41 | Weblog
3月22日

●小西 宏
春分の雲やわらかに富士の上★★★★
春分を迎え、寒さもやわらいぎ、富士山の上にもやわらかい雲が寄せている。この句のやわらかさは、普段の生活に富士山が見える人の句と言えよう。(高橋正子)

開花待つ心静かに春の雨★★★
池の面に流る彼岸の花芽風★★★

●小口泰與
夕さりを土咥えくる燕かな★★★
噴煙のすくっと伸びてつくつくし★★★★
春の宵水琴窟の音色かな★★★

●古田敬二
確かなる枝先芽ぐむもの丸し★★★★
枝先に芽ぐむものが、冬芽としてとがっていたものが、丸くなって、いよいよ芽をひらく季節がきた。「確かなる枝先」には、枝の強さが読み取れる。(高橋正子)

冴え返る森落日にシルエット★★★
春蘭を見て夕影長き踏む★★★

●多田有花
自転車の少女が増えて春休み★★★★
「少女が増えて」が、にぎやかで楽しそうだ。街のあちこちに、少女たちが思い思いの服装で、自転車を光らせて走っている。また、停めておしゃべりをしている。闊達な少女たちがいい。(高橋正子)

春分の大阪湾を一望す★★★
春分の六甲山頂樹氷かな★★★

●小川和子
枝ごとに雨滴連ねて芽木しずか★★★
夕日斜めに青々とほうれん草★★★
子ら駆ける公園遅日の明るさに★★★★

●桑本栄太郎
稜線の嶺くっきりと余寒風★★★
公園のゲートボールや春日さす★★★
菜園の支柱に低き豆の花★★★★
コメント (4)
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3月20日-21日

2014-03-20 07:29:23 | Weblog
3月21日

●桑本栄太郎
西空の豊かに蒼し春の宵★★★★
春の宵空は暮れ色に蒼い色がたゆたい、「ゆたかに蒼し」となって、たとえようもなく、柔らかく美しい。(高橋正子)

稜線の嶺くつきりと余寒風★★★
桜桃の蘂のかそけく青空に★★★

●小口泰與
あけぼのや日ののびていてつくつくし★★★★
「日ののびていて」が野原の草の萌え出た緑のやわらかさを想像させる。その中に土筆がのびて、あけぼのの冷たさのなかにすっくと立ちみずみずしい。(高橋正子)

上州の風の国原揚ひばり★★★
ばらの芽や赤子の指のやわらかし★★★

●河野啓一
相模より孫来阪す春彼岸★★★★
春分の朝日に躍る狭庭かな★★★
球児らの入場行彼岸かな★★★

●迫田和代
目の前で春駒踊り牧広く★★★★
「春駒踊り」は、白川郷や郡上などで踊られる伝統芸能のようであるが、詳しくは知らない。牧場を背景に、目の前で踊られると、迫力も違うことだろう。(高橋正子)

あと少し桜並木の桜かな★★★
紅梅や青空に向け高く咲く★★★

●高橋秀之
合唱の声高らかに卒業式★★★★
今は、卒業式に「蛍の光」や「仰げば尊し」は歌われなくなったと聞く。胸を張って声高らかに卒業歌を歌う。未来へと夢が膨らんで、あかるい卒業式風景だ。(高橋正子)

卒業式終えて笑顔の人だかり★★★
卒業式夢を語って胸を張り★★★

3月20日

●小口泰與
七十年浅間の雪解仰ぎおり★★★★
雪解の季節が巡って来、また暖かい春を迎えた。思えば幾年この雪解けの時を迎えたことだろう。生まれて七十年ずっと浅間を仰いできた生活。七十年の感懐である。(高橋正子)

つばくらの川くつがえる風の中★★★
かしましき声を降ろせり花見舟★★★

●祝恵子
子ら去りてふらここ軽くなりゆるる★★★★
子らが乗っていた間は、ぶらんこに子らの重さがある。子らが下りるとその重さがなくなり、ぶらんこは軽くゆれる。軽さがうららかで快い。(高橋正子)

路地路地に子の声遊ぶ春休み★★★
濃き色のヒカンサクラに目白鳴く★★★

●桑本栄太郎
地ひびきを立てて紅置く落椿★★★★
川べりを歩めば風の余寒かな★★★
日暮れれば淡き茜や春霞★★★
コメント (10)
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3月19日

2014-03-19 22:50:50 | Weblog
3月19日

●小口泰與
毛鉤追う雪代山女斑のおどる★★★
芽柳の彼方の榛名雪解かな★★★
水温み山風さわに鳥を呼び★★★★

●黒谷光子
重文の堂や広間や馬酔木咲く★★★★
馬酔木の花は山地の乾いた土地に咲くが、小さな壺状の白い花房は、古いものに似合う花だ。重要文化財の堂や広間も古都奈良の雰囲気を思い起こさせて床しい。(高橋正子)

名園は伊吹を借景春霞む★★★
春日射す境内に鳩たむろする★★★

●桑本栄太郎
はじらいを見せて白れんついに咲く★★★
咲き初めのうすきみどりや白木蓮★★★★
夕暮れの淡き茜や春霞★★★

●多田有花
校舎からゆるゆる昇る朧月★★★
芽立ちの香たち初む山を歩きけり★★★★
芽立ちは、そのさまざまな色がよく詠まれるが、この句は匂いを詠ユニーク。今山を歩くと、落葉が腐葉土となってゆく匂いが立ち上っている。これを含めて「芽立ちの香」と言うのだろう。春の山を歩いて一番に感じることである。(高橋正子)

春の山歩く上着を脱ぎ捨てて★★★

●佃 康水
粒餡を炊く香の満ちて彼岸入り★★★★
彼岸にはおはぎ(ぼたもち)を作って仏前に供えるが、そのために粒餡を炊く。この餡を炊く匂いが台所に立ちこめると、「彼岸に入る」ことを体感することになる。

刺身盛る尖る細魚の口添えて★★★
初花や川青々と止めどなく★★★

●河野啓一
霞立つ朝の空ゆく鳥の群れ★★★★
主送る門辺に咲くや八重椿★★★
塩むすび提げて出掛ける春の野辺★★★

●小西 宏
春寒も股引おいて家を出る★★★
伐られたる枝に突き立つ梅の花★★★

陽に近き枝の黒きや花芽ぐむ★★★★
太陽に近い桜の枝は、逆光で黒さが強調されるのだろう。枝の黒さが花芽と対比されて、たのもしく咲く桜の花が想像される。(高橋正子)

●古田敬二
青空へ開花宣言桜花★★★
ざわめいて開花宣言青空へ★★★★
春光へ青鷺ゆっくり首伸ばす★★★
コメント (6)
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3月18日

2014-03-18 06:57:52 | Weblog
3月18日

●小口泰與
夕づくと来鳴くうぐいす縁の先★★★
黄水仙風にならいて向きむきに★★★★
揺るる梢(うれ)捕まえがたき春の鳥★★★

●黒谷光子
外に出でば春満月の真正面★★★★
何かちょっとした用事で外に出られたのだろう。真正面に満月を見たときの嬉しさは、格別。満月と対面し、話し、話しかけれるような気持ちになる。やわらかな春の満月にうっとりとするとき。
(高橋正子)

春の月遮るものの何もなく★★★
お茶湯に茶柱の立つ春の朝★★★

●多田有花
春風にセーラー服の少女たち★★★
里芋をやわらかく煮て彼岸入り★★★★
鶯の囀り山路のあちこちに★★★

●桑本栄太郎
あおぞらの梢艶めき春日さす★★★

菜の花のひと畝残し耕さる★★★★
ひと畝の菜の花は種を取るために残されたか。それも含めてきれいな菜の花をまだ楽しもうとういうのか。ひと畝の菜の花にすすむ季節が惜しまれる。(高橋正子)

うす淡く容ゆるびて山笑う★★★

●小西 宏
陽の庭に白木蓮の花浮かぶ★★★★
さんさんと太陽が降り注ぐ庭に、白木蓮が鮮やかに咲いている。庭の陽のあまりの明るさに、花は「浮かぶ」感じだ。白木蓮の花の姿をよく表している。(高橋正子)

さざ波立て陽を輝かせ春の風★★★
ふと風の止み香の中に入る梅の園★★★

●古田敬二
藪椿森の夕べに高く咲く★★★★
木五倍子咲く藪へ夕べの偲び来る★★★
さ緑に垂れて木五倍子の夕べかな★★★
コメント (3)
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3月16日-17日

2014-03-17 08:13:17 | Weblog
3月17日

●小口泰與
薄氷やごうごうと吹く木々の風★★★★
今生を浅間仰ぎて畑打★★★
赤城より雨雲出づる揚ひばり★★★

●祝恵子
池の面を見つめて抹茶椿寺★★★
交番の地図を広げて古都の春★★★

雪残る寺にご朱印頂きぬ★★★★
雪が残る寺の寒さ、雪の白さのなかにご朱印の色が鮮やかで、一層ありがたく思える。(高橋正子)

●桑本栄太郎
春泥を避けて川べり歩みけり★★★
ゆすら咲き花に取りつくカメラマン★★★

青空も入れて撮り居り花ゆすら★★★★
ゆすらは小さく、梅にも、桜にも似た花を開く。こまごまとしているので、一つの花の印象は薄いかもしれないが、空を入れて花を生かした写真は魅力があるだろう。(高橋正子)

●黒谷光子
青空の色を零して犬ふぐり★★★
指先に香りを残し蕗の薹★★★
香と苦み楽しむ夕餉の蕗の薹★★★★

●小西 宏
紅膨れる椿蕾のつぎつぎと
【添削】紅膨れる椿の蕾つぎつぎと★★★★
「椿蕾」は言葉として不自然な感じがしますので、添削しました。椿の蕾に赤い色が見え始め、それがつぎつぎ膨らんで、今にも咲くかというところまで来た。とてもうれしい気持ちだ。(高橋正子)

梅園に入れば風凪ぎ色朧★★★
飯に焚く小さな香り桜えび★★★

3月16日

●古田敬二
馬鈴薯の種植え畝を高くする★★★

昼の陽に種芋眠る畝高し★★★★
植えつけた種芋が、高々とした畝に眠っている。春の陽が温める畝である。(高橋正子)

新築の槌音高し春の風★★★

●小口泰與
たらの芽に浮子の絡まる夕まずめ★★★
嬬恋の色なき里にいぬふぐり★★★★
嬬恋村の春は遅い。枯れ色の里にまずいぬふぐりの青い花が目を覚ます。色なき里もこれからいろんな花がさきだすであろう。(高橋正子)

春の草芝に萌え出で耘れり★★★

●多田有花
低山の春の稜線を歩く★★★

目の覚めるような菜の花畑かな★★★★
菜の花畑に行きあうと、そのまっ黄色な菜の花の色に目が覚める。一面の強烈な菜の花の色である。花のいい匂いもしてきそうだ。(高橋正子)

窓を開け春の風入れ走りけり★★★

●桑本栄太郎
夕暮れの西空蒼く春の闇★★★
菜の花のお浸し添える夕餉かな★★★★
蛸足の白きも入りぬ若布和え★★★

●河野啓一
早春賦歌声流るデイの朝★★★

花杏淡く高くと咲き初める★★★★
杏は桃の花よりも淡い。桜よりも濃いかもしれない。その杏の花が淡く高く咲きはじめるといよいよ春も本格的になり始める。(高橋正子)

雪解かな箕面の谷に水の音★★★

●川名ますみ
あたたかやアイロン台に白きもの★★★★
あたたかい日差しのなかにアイロン台の白いものは、シャツだろうか、シーツだろうか。白い色がうれしい季節が来ている。(高橋正子)

アイロンとミシンを広げ春の居間★★★
三月の母がミシンを踏むリズム★★★
コメント (9)
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