だるまちゃんの加古里子氏逝去する
ニュースで加古里子氏の訃報を知る。90歳の高齢にも関わらず新作本に命を注いだ生きざまに琴線が震えた。人生の終えんを自覚した作家がこだわった題材は、沖縄・福島・宮城?だった。早速私は近所の本屋に出かけ、福島県の「だるまちゃんとはやたちゃん」を購入する。はやたちゃんは、900年前に実在する人物で福島県の郷土玩具モデルにもなっているそうだ。だるまちゃんは、東西南北夢幻の化物に点数をつけるが、「みんな満点」の言葉に夜が明け、はやたちゃんの家も消えた。作家が願った消えた家は、廃炉のプロセスに苦慮している原発と推測する。
久しぶりに出会った絵本だるまちゃんは、加古さんの顔になっていた。緑内障のため目の視野が狭く見えない状況で、筆を走らせたり色を置いているテレビ画面の姿が現れ、涙がでた。作家さんの執念と情熱・使命感に家族一同感謝です。
我が家に絵本「だるまちゃんとてんぐちゃん」が来たのは、34年前だと思う。子供が大変喜んだ一冊で、読み聞かせた思い出がある。まだその本は本箱の隅にあり、開いてみると落ち着かない我が子に苦慮している日々のメモが残っていた。大人になった子供と、久しぶりに「だるまちゃん」の話題で談笑する。加古里子氏の未来に繋ぐ思いを「だるまちゃんとはやたちゃん」の表紙絵に見ました。互いに手を合わせています。だるまちゃんからこんなに「大きな楽しい考える時間」を家族と一緒に語れるなんて・・・・。良かった。