鴨着く島

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ご祝儀支持率頼み解散(2021)

2021-10-16 22:55:22 | 日本の時事風景
10月14日衆議院が解散された。

岸田新内閣は10月4日に成立し、お披露目されたのだが、10日後には雲散霧消したことになる。

新内閣は「老・壮・青」を万遍なく起用するという前触れ通り、確かにその通りになっている。

特に注目すべきはデジタル担当大臣、経済安全保障担当大臣など新しく打ち出した政策を担う大臣に、当選3回生を3人も起用したことだろう。

老の方は最高齢だった麻生財務大臣の代わりに麻生氏の妹の配偶者である鈴木俊一氏(68歳)を採用しているので、かなり若返ったと言える。

その一方で党役員の要である幹事長は72歳の甘利明氏が就任した。前の二階氏が82歳だったのに比べれば、これも若返ってはいる。

今度の選挙の争点は、まずは新型コロナ対策がトップだろう。これからのウイズ・コロナの時代にどう向き合うかが最大の関心事には違いない。

それから岸田氏が真っ先に掲げた「新自由主義路線の転換」だが、氏の目指す「新しい資本主義」とは具体的に何をどうするのか、が次の大きな争点だ。

前々代の小泉改革の柱は「郵政改革」で、国有の郵便事業を株式会社化したことが最大の成果だった。株式では政府が最大の株主だが、それ以外の株はおおむね種々のファンドの持ち分となった。アメリカ等外国の名立たるファンドによる取得も多い。

2008年のリーマンショック後には世界同時不況が発生したが、日本も直撃を受け、政権が野党民主党に移るきっかけとなった。

2012年には再び自民党が多数を占め、安倍内閣が発足した。

安倍内閣がやったもっとも大きな政策は、「金融の異次元の緩和」と「安全保障法の成立」であった。

前者は大きな金を握るファンドや富有層を利し、彼らをまず富ませ、その「おこぼれ」が中間層や低所得者に行き渡ればよい—―というコンセプトで、おこぼれの結果物価が2パーセント上昇し、国内消費に好循環をもたらすと言われた。

しかし何年たっても「2パーセントの物価上昇」は達成されなかった。提唱者の黒田日銀総裁は何ら責任を取っていない。「2パーセントの物価上昇」とはいったい何のためだったのか、いまだに首をひねる。株の取引で儲かった富裕層がジャンジャン金を使うことが前提だったのだろうか。

岸田首相はこのようなミリオネアたちへの税金を高率にして国庫収入を増やそうとしたが、首相になった途端、触れようとしなくなった。

首相になる前から、岸田氏の「変わり身」(ブレ)はいくつか指摘されている。

森友学園に関する文書改ざん問題についても、再調査と言っていたのだが、不問に付してしまった。広島選挙区で行われた買収事件も、党からの資金1億5千万円は買収には使われていなかったと線引きしてしまった。

岸田氏の話術は、前首相の菅さんよりはるかに聞こえが良く、弁舌も滑らかなのだが、逆に弱点なり争点なりを糊塗してしまう向きが感じられてならない。

これでは安倍・菅路線の「隠ぺい体質」と選ぶところはない。そのため世論調査での支持率は60パーセントを切っている。菅さんの総理就任直後の支持率を下回った。

それでも過半数はあるので、支持率の高いうちに総選挙をしようということらしい。

10月19日に総選挙の公示があり、12日間の選挙運動ののち、31日に投票が行われ、その日に当落が判明する。

今度の解散と選挙のキャッチフレーズは与党側は「未来選択選挙」だが、野党は「逃げ切り解散」「ぼろ隠し解散」と厳しい。

私は政権発足時の「ご祝儀高支持率」に因んで「ご祝儀支持率頼み解散」としたい。

それにしても慌ただしい解散・総選挙だ。第100代内閣総理大臣の就任期間はわずか4週間しかなかった。