ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

風呂吹

2018年01月27日 | 俳句

 今日は一日中曇空で、温度は相変わらず低く、心までうそ寒い日でした。だからブログも気が乗りませんし、書くことも無さそうですが…。でもパソコンに向ってキーを打っています。バカみたいですね。こんな私…

 写真は工場の煙突の煙、今日は全く風はありませんでした。川に映った建物…何とも寒そうでしょう。

    風呂吹や嘗て(かつて)練馬に雪の不二

 『秋櫻子俳句365日』(1990刊・梅里書房)の一月二十七日の句です。以下はこの句についての岡田貞峰氏の鑑賞文。

 「風呂吹」は、大切りにした大根や蕪を茹でたものに温めた胡麻味噌や柚味噌をかけて食べる料理である。風呂吹大根から練馬を連想することは比較的容易だが、雪の不二へ連想を更に飛躍させた点に達人の直感を思わせられる。風呂吹から立ち昇る湯気は、一瞬のうちに、昭和初めの練馬の緑豊かな田園とその彼方に雪白の不二を作者に想起させたのである。風呂吹やの「や」の切字によって、思いがけぬ角度から照明を当てられた雪の不二は、若い頃の回想裡の幻影だからこそ、いよいよ麗しさに溢れまなうらに浮かびあがってくる。一読して過去と現在が溶けあうような不思議な詩的陶酔に誘われる句で、現世的な仕切りを取り払い自在さを加えた晩年の円熟を示す作品である。おいしいものが大好きで、食べること自体を愉しんだ秋櫻子食味俳句の優れたものの一つ。(昭和48年作・句集『餘生』所収)

 岡田貞峰氏は、現在馬醉木の筆頭同人です。大正15年生まれ。昭和25年、水原秋櫻子門に入り、昭和31年度馬醉木新人賞を受賞して、翌32年同人となる。句集に『雲表の道』自注句集『岡田貞峰集』があります。

 

 

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