落葉松亭日記

ニュース・評論スクラップ、凡夫の日々雑感、山歩記など

復興・増税より国債

2011年04月17日 | 原発
【主張】復興税 まず「増税ありき」は疑問 2011.4.16 02:48
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110416/plc11041603020006-n1.htm

 東日本大震災からの復興ビジョンを提言する政府の復興構想会議の初会合で、五百旗頭(いおきべ)真議長が復興財源を確保するために震災復興税の創設を提唱した。「まず増税ありき」の財源論議には、大いに疑問がある。
 復興には巨額の費用が必要となる。財源確保の順序として、政府はまず民主党の進めてきた子ども手当などばらまき政策を撤回することから始めねばならない。さらには景気に与える影響も考慮し、復興国債の導入などを含めた幅広い視点で議論すべきだ。

 今回の大震災の被害額は、インフラや建物など直接的なものだけで最大25兆円にのぼる。東北地方を支えてきた農業や漁業などの産業基盤も大きく毀損(きそん)した。復興会議は議論の基本方針に「全国民的な支援と負担が不可欠」と盛り込んだ。「国難」の乗り切りに国民が力を結集するのは当然だ。
 しかし、五百旗頭議長の主張する復興税にはやはり唐突感が否めない。民主党の衆院選マニフェスト(政権公約)を盛り込んだ予算を組み替えて、復興費用に充当するのが最初だろう。
 それでもなお、財源不足に陥るのは間違いない。新たな財源を探る必要があるが、安易に増税へ走るのでは復興を阻害することにもつながりかねない。
 復興税をめぐっては、与党内にも創設を求める声がある。消費税や所得税などに時限的に上乗せし、増収分を復興費用に充てる案だ。ただ、消費税は今後の社会保障と税制の一体改革での増税が検討課題にあがっている。所得税増税の場合は、国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費を冷え込ませる懸念が大きい。
 日本経済は大震災と電力不足で先行き不透明感が強まっている。3月の関東の大手百貨店の売り上げは2割以上落ち込んだ。自動車や電機などの業界は、首都圏の夏の節電対策で輪番操業なども検討している。こうした中での増税論議は、景気に決定的な悪影響を及ぼしてしまうだろう。
 復興財源としては、これまでの政府債務と切り離して管理する復興国債が有効だ。通常の国債よりも償還期限を短くして集中返済するなどの対策もある。
 今の日本には財源論で立ち止まっている猶予はない。震災からの早期復興に何が必要かを議論し、決断しなければならない。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 平成23年(2011)3月28日(月曜日)
通巻第3285号
http://melma.com/backnumber_45206_5142296/
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米国議会に拡がる懸念は福島原発パニックより「日本は米国債を売るのでは?」
復興資金確保に米債売却も選択肢だが、海外債権を切り売りできる「債権大国」

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 米国議会に拡がる不安は日本が復興資金調達のため保有する8860億ドルの米国債を市場で売却し始めるのではないか」という懸念に立脚する。
米国は福祉予算拡大など、現時点で14兆2000億ドルの連邦政府の赤字を抱えながらも、なお借金をつづけるために新規に赤字国債を発行せざるを得ない。ただし利息を支払っている。利払いだけで予算の15%を占める。
 中国は世界最大の米国債保有国。外貨準備高2兆6000億ドルのうち、米国債は9000億ドルを突破しており、しばしば米国に対して売却をほのめかし、ワシントンを恐喝するかのように政治圧力の武器として活用している。
日本は一度も、この政治的武器を行使したことがない。橋本政権のときに橋本首相が「売りたくなる衝動に駆られることがある」と発言しただけで、米国は周章狼狽した。
 「いま日本が米国債を売ることは考えにくいし、95年神戸震災のときですら売却はなかった。日本はそれでも豊かな国であり、心配なのは利上げである」とティモシー・ガイトナー財務長官は議会証言(3月24日)しているが、連邦議会に拡がる不安は「売らないにせよ、確実なことがある。日本はもう買わない、ということである」
 そうだ。日本がもうこれ以上、米国債を買わないことだけは確実だろう。

 さて、空気はすっかり変わった。
 東日本大地震により、日本には再建のための資金が必要だが、いまのところ10兆円の復興債発行だけ。論壇では産経新聞の田村秀男・編集委員が100兆円国債発行を主張しているのが、現時点での最高額(ついでに言えば小生と西村真悟氏が200兆円)。

 別な視点からこの問題を考えてみよう。
 日本の対外債権は266兆2230億円。ちなみに二位は中国で167兆7333億円。ドイツが118兆8596億円。
 ところが米国は対外債務(借金)が314兆8299億円(いずれも09年統計)。

 第一に日本は対外援助を中断、もしくは縮小できるレジティマシーを得た。国内復興のために海外援助を控えると世界に宣言するべきであろう。

 第二に裕福となった中国には、有利子借款を早期に返却するように求めるべきである。チャイナスクールはこの期に及んでも中国への援助を続行すると言っているが、日本よりGDPが多くなった国に、なぜ援助が必要か?

 第三に国連への分担金は、日本は相対比較でも高額すぎる。国連ほか国際機関への分担金を減額してもらう口実もできた。

 第四に対外債権を切り売り、転売して資金を確保し、日本へ環流させよ。国内需要は復興のための建設、道路整備ほかに必要となり、同時に戦後最悪の失業率5・1%、334万人の失業者の雇用創出に繋がるからである。

 これまでの日本は資金がだぶつき、使うあてがなく(需要が20兆円不足)、国民はひたすら貯金に励んできた。国民金融資産は1400兆円強である。

 ▼赤字国債200兆円増刷はメリットだらけ

  個人消費、設備投資、政府支出、貿易黒字という四つのGDP構成要素のうち、消費と設備投資が縮小気味で、しかもデフレ、政府は緊縮財政という愚かな政策に陥没し、かろうじて貿易黒字がGDP拡大に貢献してきた。 経済理論に照らしても、こうした状況からはい上がるには政府支出の劇的な拡大しか手段はないのである。
 こうなると貯金は投資にまわらず銀行は貸付先がないから国債を買うしかない。生保、農協バンクなどはわが国債ばかりか、米国債を買い増しするしかない。だから筆者らは政府支出を拡大せよ、そのために200兆円の赤字国債をおそれることはない、と主張するのである。

 200兆円の国債発行は次のメリットがある。

 第一に東日本大地震復興資金(およそ20兆円から25兆円)のみならず、これは日本全体の経済復興のために使える。

 ▼円安こそ、日本経済を救う

 第二に資金のメドが経てば、復興五カ年計画が立案できる。長期的ビジョンのもと、既存の高速道路、トンネル補強工事など、日本全体を再度普請の槌音を響かせるための構想はある。防衛力の拡充、全国の周波数統一による電力供給網の整備も可能となり、総合的な国力拡充がみこめる。

 第三に国際的反応である。200兆ともなれば、円は間違いなく円安にぶれる。一ドル=100円から120円前後に円安となれば、輸出競争力をふたたび回復でき、日本企業がいたずらに工場を海外移転して、国内雇用へ減らすという自暴自棄の姿勢を改めることができる絶好の機会にもなりうる。
「円安」こそは国を救う(筆者は為替レートも固定相場制復帰論だが、この論考は別の機会に譲る)。

  第四に、国債増発は自動的に、日本が意図するか否かに拘わらず世界が争っている通貨安戦争に打って出ることができる。G7はすでに日本の円安介入を認めている。このチャンスを120%活用するには、通貨を安くすることが前提条件である。

 第五に利上げ傾向が確実となり、不健全な金融システムが是正される。金融業が逆ざやでは、産業の血脈はいずれ動脈硬化、心不全と起こす状況から抜け出せるのである。


原発耐震 想定外の生まれた瞬間

2011年04月16日 | 原発
原発は安全なエネルギーか、少資源国日本では悩ましい問題だ。
日本の原発は今回のような大地震には、耐えられないのがはっきりした。
どこでそういうふうになったのか、武田教授が「安全委員会速記録」を公表された。
そこには「大きい地震は想定外」という驚愕の指針があった。
武田教授は厳しい質問で食い下がったにもかかわらず、安全委員会は再考しなかったと慚愧の念をまじえて仰っている。

武田教授のHPより
http://takedanet.com/2011/04/1_d08f.html
原発深層流002 危険な原発? 安全委員会速記録(1)

(原発を抱えている日本の親の責任として知っておかなければならないことでもあります。)
日本には、原発の「安全」を守るために「原子力安全委員会」という組織があります。
その安全委員会が数年前(平成18年の9月ですが)に、いかめしい書類「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」というのを出しています。
簡単に言うと「原発は地震でどうなるのか、どうしたら良いのか」を解説しているのです.
そこに、驚くべきことが書かれています.

1) 大きい地震が起こったら「想定外」として良い。

2) 想定外の地震が起こると「大量の放射性物質」が放散される。

3) 公衆に対して放射線被ばくが起こる。

4) 地震で極めてまれに津波が発生する.


・・・・・・・・・
私もこの説明を専門委員会で受けて、ひっくり返るほど驚いたものです。そして冒頭に次のように質問しています(第2回専門部会速記録から).
「この地震指針は、
1. 原子炉を守るためですか?
2. 運転を継続するためですか?
3. 付近住民を守るためですか?
なにが目的ですか」
バカらしい質問と言えば、バカらしいとも言えます.地震や津波から原子炉を守るのですから、原子炉や運転を守ることができれば同時に付近住民を守ることにもなるからです。
しかし、私の目の前にある書類には、「原子炉は守るけれど、原発全体は守らないし、付近住民など視野に入っていない」という内容だったのです。
たとえば、「原子炉の耐震性はよくよく考えるけれど、冷却するために必要な電源などどうでもよい」という感じでした。
今回の大震災の余震の時に、「震度4」で東通原発の電源がすべて(通常、予備、非常ディーゼル)壊滅してしまいました。また2007年の中越沖地震では東電の柏崎刈葉原発で変電所が高い黒煙をあげて燃えました。
原発が「震度4」で全部の電源を失うということは到底、日本人の常識に反するのですが、「原子炉だけは守るけれど、後は知らない」という内容だったのです.

この私の質問に対して、内閣府の課長はピントの外れた答え(わざとですが)を延々としました。
そこで、仕方なく、
(クリックで拡大)
と聞きました(ダブルクリックすると大きくなると思います)。つまり、理屈は通っていても、地震が来ると付近住民が1万人死んでも関係がないということではないか?との質問でした。

これに対しても、ノラリクラリとやられたので、
(クリックで拡大)
と3回目の質問をしました。会議では多くの委員が均等に発言するために、一人が3回も連続して発言するのはややルール違反ですが、このままでは「地震で倒れる原発ができる」と思った私は食い下がったのです.
全ての質問は交わされ、議長は他の委員を指名しました。
ここで「電力会社が間違えて原発を作ると、その結果、何が起こるか判らない」という「地震指針」が通ってしまったのです.

悔やんでも悔やみきれない瞬間でした。


今になってみると、その時に机の上に駆け上がって「反対だっ!」と叫んだら良かったのか、そんなことをしたら守衛につまみ出されるだけだったか、そうはいってもあのときに追求の手をゆるめたのが今度の事故になったと思うと残念でたまりません。
(平成23年4月16日 午前9時 執筆)武田邦彦


放射線と放射性物質の区別

2011年04月16日 | 原発
私のような素人には原発用語が難しい。
生半可な知識によって、福島県人差別が起きているらしい。

武田教授のHPより
http://takedanet.com/2011/04/post_173f.html
「福島県人差別」の原因を作っている人たち

福島県人の「差別」が進んでいます。福島県人が避難してくるのをいやがったり、酷い例では福島県人の診療を拒否する病院すらあります。
言うまでもありませんが、福島県の人は他の都道府県の日本人とまったく同じで、クリーンです.
でも、これほどバカらしいことが「科学技術立国」の日本で起こるのは、それを仕掛けている人がいるからです.


・・・・・・・・・
1) 日本政府が「福島県人から放射線がでている」と言ったから
 ある時、テレビを見ていましたら、福島原発の近くの人たちが「被ばくしているかどうか」ということで、「体の外側から放射線の測定器をあてて」、「被ばくを測定する」という映像が何回か流れました。
そして、「体から放射線が出ていない人は、被ばくしていません」と言っていました。
これを見た素直は人なら、次のように受け取るでしょう.
「へえー! 被ばくしているかどうか外から判るの!?
 なら、その人から放射線がでているのね! 福島県の人は被ばくしているから、近づくとこっちが被ばくするのね!」
福島県人が「被ばくしていない」ということを宣伝するために、このようなトリックを日本政府がやったのですが、それは「福島県人から放射線がでている」と言ったも同然であることに気がついていません.

それに対して私は、
「体の外から測っても、その人の被曝量は測ることができません。あれは「洋服についているチリ」を測っているだけです。被ばくはDNAを観測しなければ判りません.」
と言いましたが、なにせ個人の力なので、多くの人は政府の言ったことを信用しています。
また、精神的にも打撃を受けている福島のお役所に悪いのですが、もっと積極的にこのような非科学的な報道について是正を求めるべきです。


2) 日本政府が放射線と放射性物質の区別をごまかしたから、
原発事故で大切なのは、「被ばくは「原発からの放射線」ではなく、「放射性物質からの被ばく」である」ことを理解する事です.
これが間違っていると、誤解が生じるので、そのうちに「福島県の人は・・・」という事になります。すべてが正しくないと差別が生まれます.
まず、距離の2乗に反比例する「放射線」が問題ではないので、「原発からの距離」で規制するのを止めることです.
それなのに、日本政府も福島県も「原発からの距離」を言っているので、他県の人は「距離が近い福島県の人は危ない」と思ってしまうのです.
「距離」ではなく「風向き」ですから、それも福島県自体がハッキリしないと誤解は解けないと思います.
また、「放射性物質」からの被ばくですから、福島県人は「放射性物質」ではないので、被ばくの原因にはならないと科学的に説明しなければなりません。


3) 福島県知事や川崎市長が原因を作る
福島県知事は「福島産の野菜は安全だ」と言いましたが、「福島産の野菜」となると放射性物質が含まれているものがあることは間違いなく、正しくは「福島産の野菜で放射性物質を含んでいないものもあるので、区別して欲しい」というのは科学的です.
福島産の野菜がすべてOKということではないので、「放射性物質が含まれていない野菜だけを出荷します」と知事が言えば、科学的に合理的なので、他県の人は納得します。
また、川崎市長が「福島の瓦礫を川崎に受け入れる」と表明しました。「福島の瓦礫」でも「放射性物質がついているもの」と「いないもの」がありますので、これも不信感を増大させました。
福島の方は東電の「被害者」ですが、当然、郷土に対する強い愛情がありますから、時として「福島は汚染されていない」というような発信があるのですが、哀しいことに「福島の一部は汚染されている」のは確かです.
それを福島県の人が認めることも、これから子供達も含めて差別が起こらないもっとも肝心なことと思います. つまり、「福島県人が差別される」というのは「非科学的なこと」であってはいけないのですが、もし「政府や福島県の人が非科学的なことを言う」と、どうしても非科学的な差別が生まれるでしょう.
福島県の人が、勇気を持って事実を見つめ、郷土を守る強い決意を持っていただければと希望します.
(平成23年4月15日 午後2時 いそいで執筆)武田邦彦

放射線測定バッジ「個人配布を」=福島県と国に提言-国立がんセンター
http://203.183.152.33/jc/c?g=soc_30&rel=j7&k=2011041400725&j4
国立がん研究センター(東京都中央区)の嘉山孝正理事長らは14日、同センターで記者会見し、医療従事者が放射線を取り扱う業務の際に使う放射線測定器具「フィルムバッジ」を、福島県の住民に配布することを県と国に提言すると発表した。
 嘉山理事長によると、測定器具は外部被ばく線量を測定するため、国内で約44万人の医療従事者が胸などに着けて使用。1カ月間といった一定期間ごとに線量を測定する機関に送る。費用は1人1回3000円程度で、送付後約2週間で結果が返ってくるという。
 同センターは約2万人分のフィルムバッジが入手可能といい、嘉山理事長は「福島県の方々が安心して生活できるように最大限の協力をしたい」と話した。(時事 2011/04/14-18:50)


原発事故 嘘が生み出す「風評」

2011年04月15日 | 原発
昔あった「大本営発表」というのが・・・
政府は嘘を言って、国民を守らない、誰のための政府なのか。
単なる無能政府か、日本を亡国にしたい某国傀儡政府か。

武田教授のHPより
http://takedanet.com/2011/04/post_0a1f.html
原発深層流001 信用できる人、できない人 その1

福島原発の事故から1ヶ月が経ちました.
放射性物質は「半減期」というのがありますから、原発の西北や南の近い場所を除いて、これまでなら普通の生活に戻れるところですが、事故後の処理に手間取っているので、連休明けに向けて準備をする期間です.
とりあえず、汚染された身の回りのものや部屋を綺麗にしておくことで、念のため洋服なども外でブラシをかけておくなどの後始末をすることが有効です.
また、連休明けからの水や食材の選択などは来週ぐらいから書きはじめますが、これからの準備の一環として、少し深く理解をしておきたいと思います。
その参考にしていただくために「原発事故の深層」を覗いてみます.

・・・・・・・・・
原発について「日本政府」はまったく信用できません.
福島の教育委員会は「政府が安全と言っているから、児童生徒を被曝させても良い」などと言っていますが、困ったものです。
政府が信用できないのは、主として次の2つの事実です.

第一・・・・・・・・・
3月20日には判っていたのに、4月10日頃になって「福島原発の事故はレベル7」と発表したこと、

第二・・・・・・・・・
原発の傍の海から規制値の3355倍の放射性ヨウ素が検出されたのに「健康に影響が無い」と言ったこと、 の2つです。


福島原発のことについて、政府、原子力安全委員会、保安院の言ったことはすべて信用できません.もっとも良いのはテレビなどでの彼らの会見を聞かないことです。
人間は、ウソと判っていても繰り返し聞くと、ついつい信用してしまいます.また、ウソの中でも「自分が納得するもの」を「本当のこと」と思ってしまうことがあります。

・・・・・・・・・
原発事故にはレベルをつけることで、直感的な整理や判断をするようになっています。一つ一つの事故をよくよく考えることができれば、レベルなどを設定しなくても良いかも知れないのですが、多くの人が関係する世界的なことはレベルを決めて分類したり、整理したりすることが大切だからです。

そして、人はそのレベルを見て、「どのぐらいの事故だ」と判断し、自らの行動に活かすのです。
仮に政府が国民のことを考えていれば、3月20日に「レベル7」を宣言したでしょう.そうしたら、多くの人がより早く遠くに移動して被曝を避けられたかも知れません。
また近くの小学校などでも開校を遅らせたりする根拠が得られますから、子供達の健康を守ることができたかも知れないのです。
しかし、現実的には日本政府は20日も隠していました。その理由として官房長官は「(日本人が被曝することより、)パニックが怖かった」という趣旨の事を会見で言っていました。
もし、自分の子供が原発の近くにいて、自分の手元に「大量の放射線がでた」という報告が来たら、奥さんに電話するでしょう。つまり、日本政府は日本人を守ろうとはしていないのです。

・・・・・・・・・
原発の近くの海から基準値の3355倍の放射性ヨウ素が検出されたとき、保安院は記者会見で「健康に影響がない」と言いました。
このような「真っ赤なウソ」が白昼堂々とテレビで放映され、ニュースで流れるという現状を「信用しろ」と言っても無理です.


規制値や基準値と言われるものは若干の安全性を含んでいます.
それは、社会には赤ちゃんや妊婦、それも病気で治療や検査のために放射線をあびたばかりという方もおられます.だから、「やや安全サイド」で数値が決まっていますが、極端に安全側ではありません。
たとえば、一般の人の被曝線量の限界は1年間に1ミリシーベルトになっていますが、その3355倍というと、3シーベルトを越え、50%の人が即死(急性疾患で死亡)するような放射線量になります。
基準値の10倍ぐらいまでなら、短期間に被曝しても回復することができますが、さすが3355倍ではどうにもなりません。会見で「健康に影響ない」と発言した人は、まず自分のお孫さんをその海に入れてください。
私は普通はこのようなことを言いません。どこの親でも自分の子供や孫は大切で、万が一のことを考えるからです.でも、今回ばかりはどうしても言いたいのです.

怒りがこみ上げてきます.

保安院の審議官は、日本国民を人間と思っていないのです。ただ、自らの保身のために「自分の言ったこと(3355倍は安全だ)を信じて、赤ちゃんを海水浴させて死んでも良いです」と言っているのです.
保安院が解散されないのが実に不思議ですし、あのときの会見は「表現の自由」に基づくものではなく、「国家権力を使った騙し」ですから、検察は直ちに逮捕しなければならないでしょう。


・・・・・・・・・
政府の発表は空間線量も含めてまったく信用できません。
空間線量はできるだけ計測器を持っている人がネットで発表し、それを使いたいと思います.1時間で0.6マイクロシーベルトより高いところには近づかず、1時間で0.11マイクロシーベルト以下のところは安心して生活するという「ケジメ」をハッキリつけたいと思います.
若い女性も放射線の感度が高いのですが、それでも「スーパーに行けば自分で安全なものを選ぶことができる」のですが、子供は一切、できません。
教育委員会のように「政府を信じたのだから、子供が病気になっても責任はない」などという無責任なことにならないように、「信用できない政府」を「信用しないこと」が大切でしょう.

・・・・・・・・・
政府の小さなウソの一例・・政府の発表を信じていると、奇妙なことになって困っている人が多いから)
1)自然放射線は年間1.4ミリシーベルトなのに、2.4ミリシーベルトと言った(多く見せるウソ)。

2)東京―ニューヨーク間の航空機の被曝は普通は100マイクロシーベルトなのに、特殊例で200マイクロシーベルトと言った(多く見せるウソ)。

3)1年間100ミリシーベルトは職業人の被曝限界なのに、一般人(赤ちゃんを含め)に「健康に影響がない」と言った(法律違反).

4)CTスキャンなどは医療行為でやむを得ず被曝する(それだけの危険を冒す必要性を医師が判断した場合に限る)のに、一般人が被曝する量をCTスキャンと比較した(違うものを比較).

5)炉心が破壊されていないとでない核種が検出されているのに、「炉心は破壊されていない」と言い続けた。

6)魚に蓄積するもっとも危険なストロンチウムを測定せずに、「魚は安全だ」と言った。

7)放射性物質で汚染された土地の作物は汚染されているのに、官庁の食堂で出したり、販売を促進したりした。

8)福島第一の1号機、3号機、4号機の爆発の映像の発表を、(おそらく)NHKはじめマスコミが報道しないように圧力をかけた(国民が原発の状態を知るもっとも大切な映像をメディアは流さなかった。ネットで見ることができるが)

9)その他、数え切れない.


(平成23年4月15日 午前11時 執筆)武田邦彦


福島を廃墟にしない

2011年04月14日 | 原発
チェルノブイリのその後は石棺で覆われ、今なお放射線を放っており、ゴーストタウンと化し、被爆した住民に多くの癌が発生したというイメージだ。
福島原発事故は最悪「レベル7」と政府は「自己」評価した。チェルノブイリ原発事故に相当するが、海外の評価はそこまでいかないとするのが多い。レベル7とした政府の意図はよくわからない。

武田教授のサイトより
http://takedanet.com/2011/04/post_074a.html
原発と生活 08 「クリーン福島」・大作戦

放射性物質がついた福島の瓦れきを川崎に運搬することは、放射性物質をさらに飛散させるという意味で良くない方向であることをブログに書きました。
福島の人は原子炉の事故で大きな打撃を受けましたが、それは福島だけではありません。程度は違いますが東京も川崎も同じように放射線で汚染されたのです。
その責任は主に保安院にありますが、それはまた別の問題で、わたくしたちはわたくしたちの範囲で汚染を拡大することを防がなければならないと思います。

・・・・・・・・・
福島原発からの放射性物質の漏れも次第におさまっているので、特別な爆発でもない限り連休開けにはかなり安全な状態になると思います。
次にわたくしたちがしなければならない事は、「放射性物質で汚染された福島の地域をできるだけ早くクリーンにする」ことです。

放射性ヨウ素は半減期が8日ですから、しばらくするとほとんどなくなりますが、それに続くセシウムとストロンチウムは半減期が30年ですから、そのままにしておくと30年間、福島は汚染したままになります。
放射性物質の半減期は物理的に決まっていますから、それは変える事ができませんが、人間の手でクリーンな福島を取り戻すことはできます。
できるだけ早く手をつけてもらいたいとわたくしは希望しています。今、福島の人はとても気持ちが追い込まれて「放射線は健康に影響がない」と信じたい気持ちでしょうが、被曝はできるだけ少ない方がいいのです。

・・・・・・・・・
わたくしは川崎の瓦れきの処理で書きましたように、早く福島に放射性物質をとることができる焼却炉とプールと蒸留設備を作ることと考えています。
今度の原発事故というのは、放射性物質という意味で言えば、「福島原発の中に閉じ込められていた放射性物質」が「福島県の東部や茨城県の北部、さらに東京、仙台まで広く拡散した」ことを意味しています。
今度はそれを「人間の手で再び福島県発の敷地内に戻す」ことによって、「クリーンな福島」を取り戻すことです。

そのためには、福島原発の敷地もしくは近郊に「焼却炉とプール、蒸留設備」を作り、そこに汚染されたものを集めます。
まず、燃えるものはどんどん焼却炉で燃やして、煙の中の放射性物質をフィルターでとります。また燃えないものは、プールの横で水で洗浄し、その水をいったんプールにためます。
プールにたまった水は蒸留装置で蒸発させ、放射性物質を集めます。政府と福島県が決意をして今からすぐやれば、放射性物質で汚染された福島はどんどんクリーンになっていくでしょう.
技術はすでにありますし、設備については全ての費用を合計しても200億円から400億円ぐらいで済むでしょう。だから国と福島県がやる気になれば直ちに取り掛かれると思います。


・・・・・・・・・
福島の人はまた別の考えがあるでしょうが、わたくしは、今の福島の人の考え方・・・放射線の被曝は健康に影響がない。そして我慢しよう・・・というよりも、むしろ積極的に放射性物質を除いてしまった方がいいと思います。福島の人、子供の被曝量は少ない方が良いからです。
また、今回の原発事故は、日本の国内ばかりでなく世界の国から日本の大地が汚れているという印象を植えつけました。
その点では、まず福島が日本の先頭に立って放射性物質を除いてクリーンになることです。学校の校庭も、校舎もどんどん「除洗」していけば、子供の被曝量も減り、田畑も再び使えるようになります。
菅首相は「福島の土地は数10年使えない」と言ったそうですが、そのように後ろ向きになることなく、前向きに放射性物質を直ちに取る作業を開始することを勧めます。

(平成23年4月14日 午前8時 執筆)武田邦彦


■【主張】福島レベル7 「最悪」評価はおかしい チェルノブイリとは全く違う 2011.4.13 03:14
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110413/dst11041303140003-n1.htm


福島原発事故、長期化の様相

2011年04月13日 | 原発
福島原発事故は、国際基準では最悪のレベル7になった。
原発から半径20K圏外にも「計画的避難区域」なるものも指定することとなった。
今後原発事故はどのように変わっていくのか。

武田教授のHPより
http://takedanet.com/2011/04/post_9695.html
原発  原発事故はどのように変わっていくか?

浅草で「空間の放射線」は0.1マイクロ(シーベルト)ぐらいなのに、地面は2マイクロと20倍も高い値がでて、不安に感じている人がおられます.
そこで、「原発が破壊すると、その影響はどのように進むか」について整理をします.進み方は単純なので、「ああ、そうか!(粒の飛び方が目に見えるようになる)」と判ると一つ一つのことが、やや予想しやすくなります。

・・・・・・・・・
原発から激しく放射性物質がでると(水素爆発など)、風に乗って「小さな粒」が飛んでいきます.目には見えませんが、ちょうど「黄砂」のようなものと思ってください。

1.まず、「粒」は空間を飛んできますので、空間の放射線が上がります。

2.次に、その粒が地面に落ちます。雨で落ちることもあります。「雨に濡れない方が良い」というのは、原発から放射性物質がでている間(まだ少しでている)が大切です.

3.次第に、空間の放射線の粒が減って、地面の粒が増えます、私が「余り高いところの放射線だけを測っていると、子供の被曝量を間違える」と書いていたのはこのことがあるからです。

4.放射線の粒は、畑に降り、川に落ちるので、ホウレンソウなどの葉物野菜や水道に最初の汚染がでます。

5.少し経つと、家の中の方が外より放射線が高いこともでてきます。つまり、黄砂の激しいときには窓を閉めると良いのですが、しばらくすると家の中に入り込んだ黄砂が床にたまっているというように考えてください。

6.この時期(今)は、窓を閉めるより床や壁を拭くのが、放射線量を減らすのに有効です。

7.次第に海や遠くの方に少しずつ放射性物質が拡散します(今回の場合は、海に直接、流れた放射性物質がありますが)。

8.海に流れた放射性物質は、海流に流れ、おそらく千葉沖まで南下、そこで拡散すると考えられます.

9.プランクトンが放射性物質を取り込み、それがすぐ小魚に移ります。特に、小魚の骨にたまるストロンチウムが問題ですので.汚染の可能性のある魚は、骨ごと食べないようにします。

10.放射性物質は小魚から中型の魚、そして大型の魚に移りますが、大型の魚に移るまで6ヶ月かかるので、今年の秋には大型の魚で放射性物質が検出されるでしょう。

11.土壌は、ジワジワとしみこんで徐々に深くなります.しかし、根菜類への移動は少ないと思います。

12.汚染された場所から、もの、ゴミなどについて少しずつ他の場所に移動していきます.その点では、できるだけ少ないようにする必要があります。川崎に移動するゴミはできれば(申し訳ないけれど)福島の東海岸、原発の近くで処理したいものです。

13.原発から危険な量の放射線の漏れが止まるのは、普通に考えると連休明けです。漏れるのが止まると放射性ヨウ素の危険性が下がるので、子供は安全になります(今回の原発事故の特徴です)。

14.原発の放射線が下がり、作業がやりやすくなるのは、9月頃でしょう。

15.それから原発に処置をして10年ぐらい、寝せておくことになります。半減期は30年ですが、防護服をきて少しずつ作業することができるので、少し短いと思います.

今のところ、原発が不意に爆発しなければ、このような順序で進みますので、警戒し、恐れず、生活とのバランスを考えていくのが良いと思います.
(平成23年4月12日 午前7時 執筆)武田邦彦

武田教授 BS朝日の「ニュースの深層」に出演、福島原発の状態について解説
http://g2o.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/post-9a5a.html

【正論】現代史家・秦郁彦 原発処理、もう米国に頼みたい 2011.4.12 03:04
≪ノモンハンに似る福島の戦い≫ ≪頑張る一線、無能な司令塔≫ ≪プロの知見生かす指揮系統を≫

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110412/dst11041203040004-n1.htm


福島原発事故、最悪「レベル7」に引き上げ

2011年04月12日 | 原発
「直ちに健康に影響するものでない」「安全だ」などと政府は云ってきたが・・・

【放射能漏れ】福島原発事故、最悪「レベル7」に引き上げ チェルノブイリ並み 2011.4.12 09:20
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110412/dst11041208550011-n1.htm

 東京電力の福島第1原子力発電所の事故で、政府は12日、広い範囲で人の健康や環境に影響を及ぼす大量の放射性物質が放出されているとして、国際的な基準に基づく事故の評価を、最悪の「レベル7」に引き上げることを決めた。「レベル7」は、旧ソビエトで25年前の1986年に起きたチェルノブイリ原発事故と同じ評価。原子力安全・保安院が同日、原子力安全委員会とともに記者会見し、評価の内容を公表する。
 原子力施設で起きた事故は、原子力安全・保安院が、原発事故の深刻度を示す「国際評価尺度(INES)」に基づいて、レベル0から7までの8段階で評価している。
 原子力安全委員会はこれまでに、福島第1原発からは最大で1時間当たり1万テラベクレル(1テラベクレル=1兆ベクレル)の放射性物質が、数時間にわたり放出されたと試算していた。安全委では、現在は同1テラベクレル以下になったとしているが、INESの評価では、放射性のヨウ素131換算で、外部への放射性物質の放出量が数万テラベクレル以上である場合はレベル7に当たるとしている。
 原子力安全・保安院は、福島第一原発の1号機から3号機について、先月18日、32年前の1979年にアメリカで起きた、スリーマイル島原発での事故と同じレベル5になると暫定的に評価していた。ただ、これまでに放出された放射性物質の量がレベル7の基準に至ったため、評価を見直すことにした。

【放射能漏れ】「レベル7」となった福島原発 国際評価尺度とは… 2011.4.12 09:28
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110412/trd11041209290006-n1.htm

 【国際評価尺度(INES)】 原発などで発生した原子力トラブルの規模や深刻度を示す世界共通の物差し。国際原子力機関(IAEA)などが設定した。レベル0(尺度以下)からレベル7(深刻な事故)まで8段階に分類され、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(1986年)は最悪のレベル7。政府は3月18日に福島第1原発1~3号機について、米スリーマイルアイランド事故(79年)と同じレベル5(所外へのリスクを伴う事故)と暫定評価していた。


放射能汚染 農地も海も汚れた

2011年04月09日 | 原発
原発事故から早一月。事故修復は一進一退を続け、長引くと思われる。
残念ながら、放射能汚染物質の飛散は続き、気象庁HPにも状況が表示されるようになった。
「大したことはない」と許容値をいじくってみたところで、刻々と汚染が続いている現実が好転するわけでない。
一刻も早い事故の終息と、農水畜産業者のこれからの生活再建と補償を充分に行い、消費者には安全な食品を提供されることが最重要だ。

武田教授のHPより
http://takedanet.com/
原発 小さい疑問 なぜ、原発近くの野菜は買ってはいけないのか?
http://takedanet.com/2011/04/post_b463.html

農業の人には悪いのですが、農業の人も「消費者に安心して食べてもらう食材」の生産に励んでおられたと思います.それが前提です.

・・・・・・
ホウレンソウが汚染されていたとします.普段なら「ホウレンソウだけが放射線で汚染されている」という事なので、「そのホウレンソウが基準値を超えていなければ食べて良い」のです。
しかし、現在のように空気(外部線量)、それを吸い込んでの内部被曝、野菜、魚、水、土壌など全てが汚れていると、ホウレンソウも他の被曝に足さなければなりません.
たとえば、次のようなことです。
【普通の時】
空気      0
水       0
内部      0
ホウレンソウ 10
小松菜     0
大根      0
牛乳      0
こうなご    0
合計     10
となりますから、ホウレンソウは規制値以下なら大丈夫です.

ところが、「環境が汚染されているとき」(時期は1年ぐらい)は、状態が違います.
【汚染時】
空気      10
水       2
内部      10
ホウレンソウ  10
小松菜     3
大根      1
牛乳      5
こうなご    10
合計      51
となります。つまり一つ一つは「規制値内」でも「足し算」をしなければなりません。

少し前に「かけ算のできない東大教授」と書きましたが、先日の東電の魚汚染の発表は「足し算のできない東電」ということです。
むやみに怖がる必要はありませんが、ここ半年ぐらいは、「基準値以下でも、できるだけ被曝を避ける生活」が大切です.
個人の事情、体力などに合わせて、できる範囲で被曝を減らすこと、これが放射線防御の基本です.

(農業、漁業の方の考え方はまた別の機会にします)
(平成23年4月9日 午前9時 執筆)武田邦彦


原発  大地は泣いている・・・
http://takedanet.com/2011/04/post_7445.html

大気と大地と海・・・言うまでもなく人間の母である。
そこからの恵みによって、私たちは命を授かり、愛する人と出会い、苦楽を共にし、そしてやがて終わりを迎える.
これまで数万年、私たちの祖先は日本列島の大気と大地、そして海を頼りにしてきたが、それは汚れてしまった。
今、そこに働く人たち、大地と海の恵みを私たちに代わってもたらしてくれる人たち・・・農業と漁業・・・は汚れを前にして呆然としている。
でも、それは現実なのだ。かつて、B29の爆撃を受けて焦土と化したように、大地は焦土になった。

・・・・・・・・・
今、私たちは何をするべきだろう?
そこから何も採ってはいけない。昨日まで凍えるてで藁を綯え、朝の暗闇に出帆していたとしても、今日は何もしてはいけない。明日もしてはいけない。
そこからとれるものは、たとえ「規制値以下」であっても、もはやそれは「自然の恵み」ではない。
流通はキャンペーンなどやってはいけない、自治体は地産地消を唱えてはいけない、知事は規制値を上げてはいけない・・・すでに大気と大地と海は汚れてしまったのだ。


・・・・・・・・・
「俺たちの生活を判っているのか!」と怒鳴られるのは判っている。でも、大地と海から採れるものは神聖である.でも、汚れたものは神聖ではなく、災厄をもたらすものだ.
振り返ってみれば、これまで日本の農業も漁業も「食べる人に喜ばれるものを」と頑張ってきた。日本の流通も「消費者を裏切らない」ことを第一にしてきた。
それを、今、数ヶ月のことで無にするのはいかにも残念だ。放射性物質の量を明示しないで「放射性物質を食べても大丈夫」などと言って売る人がいる。
大地と海に恵みを受ける人の誇りを取り戻して欲しい.
(平成23年4月9日 12時 執筆)武田邦彦


放射能汚染 窒素投入のワケ

2011年04月08日 | 原発
武田教授のHPより
http://takedanet.com/2011/04/51_93ed.html
原発 緊急情報(51) 窒素を入れた理由と影響

4月7日に、東電が福島原発の格納容器に「窒素を入れる」と発表され、事実、窒素を入れ始めたようです。この意味は、

1) 格納容器に水素と酸素があって、爆発する可能性がある、

2) 窒素を入れた分だけ、強い放射線をもつガスが放出される、

ということです。そして私たち「被曝側」としては、

1) 窒素が入れば爆発はしない、

2) まだ不安定なので、貯金通帳など身につけておいた方がよい(福島、茨城北部など)、

ということです。

・・・・・・・・・
原子炉の爆発には、核爆発、水素爆発、水蒸気爆発があります。そして爆発する場所としては、建屋、格納容器、圧力容器の3つがあります。
もっとも危険なのは、「圧力容器内の核爆発」で、これを止めるには「ホウ素の投入」が必要です。ですから、「ホウ素」という文字が出てきたら、逃げる準備が必要です.

次に、今回の格納容器の水素爆発などの大量の放射性物質がでる場合で、政府やメディアは「大量の」とか「きわめて憂慮すべき」とは言いますが、具体的にどのぐらい「大量なのか」は言いません。
もし、格納容器が水素爆発したら、現在の10倍から100倍の放射性物質がでますから、福島県東部、茨城県北部は直ちに避難してください。
放射線のレベルは1時間に100マイクロ(シーベルト、省略)ぐらいになるでしょう。つまり、10時間で1ミリ、4日で10ミリになりますので、直ちに避難が必要です.
しかし、爆発の可能性は低いと思います.
しばらくテレビはつけておいて、窒素投入が成功するか、何気なく監視しておくというのが良いでしょう.

・・・・・・・・・
ただ、東電発表にやや矛盾があります。
水素が発生するのは、破損した燃料棒のジルコニウムと水の反応、高い放射線による水の分解ですが、

1) ジルコニウムと水の反応では水素しかでない、

2) 放射線による水の分解では、水素が2モルで酸素が1モルの比率ででる、

3) 水素の爆発下限は水素4%、酸素5%だから、上記の反応では爆発限界に入るのにはなにか別のことがあるのではないか、

4) 格納容器の水素濃度は測定してないと考えられるので、なぜこのような推定をしたか、

などです。
情報が断片的なので、判断が難しく、現在では危険側で考えなければならないのが現状です。

・・・・・・・・・
ところで、先日、放射性物質を含んだ汚染水を海に流した時、漁業組合が「俺たちの海を汚すのに、断りがない」と言い、それに対して東電が謝りました。
今回は、私たちの番です.「私たちが呼吸する空気を汚す窒素投入に対して、自治体に了解を取ったか?」と聞かなければなりません。
東電は私企業ですから、勝手に(能動的行為で)空気を汚すことはできないからです。

(平成23年4月7日 午前10時 執筆)武田邦彦


放射能汚染 学校が管理区域内にある

2011年04月07日 | 原発
福島では学校が放射能管理区域に入っているところが多いそうだ。
新学期を迎え、安全かどうか悩ましいことだ。
ことは、将来ある児童の健康に関わる。
日本ではかつてなかった事故だ。
まさか教育関係者が「赤信号みんなで渡れば怖くない」式になるとは思えないが、武田先生は危惧されている。

武田教授のHPより
http://takedanet.com/2011/04/49_1754.html
原発 緊急情報(49) 新学期・・・人間ができる限度

全国各地で新学期が始まろうとしています。そして放射線の強いところも新学期に入る学校がほとんどのようです。それは、教育委員会が国の判断をそのまま取り入れて「安全だ」としているからです。
でもこの問題は「安全かどうか」ではないのです。
これについてのわたくしの見解をぜひ述べたいと思っています。

・・・・・・・・・
日本の法律では、1時間に0.6マイクロシーベルト(外部被曝と内部被曝の合計)を越えたら、そこを「管理区域」に設定して、掲示をし、一般の場所と違う取り扱いをします。
つまり、幼稚園、小学校、中学校で1時間の放射線が0.6マイクロシーベルトを超えている場合は、次の標識を学校の門に張ってください。


驚くべきことに学校が管理区域に入っているところが多いのです。
この場合、「安全かどうか」ということは議論するべきではないのです。
 法律的にある放射線を越えたら、管理区域にする必要があり、「学校に立ち入るには、本人の同意はもちろん必要ですし、みだりに人を立ち入らせてはいけない」のです。
学者の中には、放射線は害にならないとか、放射線を浴びた方がむしろ健康になるとか、プルトニウムを食べても食塩より完全だという先生がおられるのは事実ですが、それは学説です.学問の自由ですから、何を言ってもかまいません。

しかし、次のことはハッキリしています.

1) 安全かどうかは別にして、1時間に外部被曝と内部被曝の合計が0.6マイクロシーベルトを越えたら、標識をつける、

2) 学校にみだりに児童、生徒を立ち入らせてはいけない(もちろん、幼稚園、保育園、高等学校、大学も)、

3) 教育委員会は政府と独立であり、それでこそ児童生徒を守ることができる。


・・・・・・・・・
もう一つの問題を指摘します.
人間は「自分で選択できるもの」はある程度危険なことも許されます。しかし「強制的に全員が行うもの」については、一人残らず、全員が危険を冒すことについて同意する必要があります。

学校では、児童、生徒は先生の命令のままに行動しなければなりません。従って、教育委員会も先生も、管理区域に入るところでは、児童、生徒を強制的に校舎に入れることはできないのです.権限はないのです.

保護者の方も、ご自分でご判断できることではありません。お子さんの健康はお子さんのものであり、お子さんを勝手に管理区域に入れることは保護者でもできないと私は思います。

一体、誰のための教育なのでしょうか。教育は児童、生徒のためであって、教育委員会のためではありません。 人間には、命令できることの限度があります。児童、生徒は「物」でしょうか?


(平成23年4月6日 午後6時 執筆)武田邦彦