落葉松亭日記

ニュース・評論スクラップ、凡夫の日々雑感、山歩記など

ドローン鳩

2018年06月26日 | 世相
ついこの間登場した玩具のドローンが、監視社会の中国で「ドローン鳩」として実用化され、スパイ・監視ツールになっている。
まだまだ発展し、ドローン鷲、AI 組み込みのスパイ・バードになるだろうと云われる。
「鳥」にしか見えないドローンで中国全土を空から監視する計画 2018年06月25日 10時59分 ハードウェア
https://gigazine.net/news/20180625-chinese-dove/

中国が鳥の構造を真似ることで、効率的に飛行できるドローンを開発中です。このドローンは一見、鳥にしか見えず、国土の広い中国全土を空から監視するためのツールとして活用することが計画されています。



中国では5つの行政区にまたがって30以上の軍や行政機関による「鳥型ドローン」の開発が行われていると、South China Morning Postが報じています。・・・

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成30年(2018年)6月26日(火曜日) 通巻第5737号  特大号
http://melma.com/backnumber_45206/

まるで本物のハトではないか。中国の「ドローン鳩」はスパイ・偵察用   ウィグル、内蒙古で国境監視と活動家の捕捉に活用

 ロボットを邪な考え方で開発を進めると、本物そっくりの鳩ができた。この人工鳩はドローン。つまり「スパイ鳩」であり、本物の鳩が間違えて暫し周囲を群体飛翔することもあるという。  開発したのは「殲21」ステルス戦闘機をつくった軍事技術センターの一人、孫?鋒(音訳=西北工業大学教授)といわれる。

 もともと飛翔物体を鳥に擬してのロボット開発は欧米で進められてきた。日本はせいぜい愛玩犬ロボットで「お花畑」の発想しか出来ないが、軍事優先の列強はままごと遊びより、防衛技術に直結させている。

 中国の鳩ドローンは新彊ウィグル自治区と内蒙古を主舞台にチベット、青海省、陝西省など30の軍事基地に既に実戦配備されており、国境警備の補足と活動家の行動範囲を見張る役目を果たす。ただしまだ開発途上でバッテリー駆動の上限があり飛行時間は最大30分。時速40キロだ。

 ウィグルはロシア、カザフスタン、キルギスと国境を接する宏大な土地ゆえに、広範囲をカバーするレーダーだけでは限界があり、隙間を観察するためには好都合の武器がドローンを鳥に擬して、カムフラージュすることだった。

 実際に中国軍が活用しはじめた鳩スパイは、GPSで衛星とリンクし、高画質カメラを内蔵、データと繋がるアンテナが尾翼部分に取り付けられ、羽根を動かす装置は動作が自然にみられるようなメカニズムが植え込まれている。
 だから本物の鳩と見間違えることが多いことが実験で判明した。

 この鳩ドローンに次いで、中国軍は曠野、砂漠を観察するために鷲ドローンを開発する手筈という。AI開発が進めば、いずれ自主判断で敵地を飛ぶ鳥(スパイバード)も登場するだろう。  また軍事分野に限定せず、災害救助、環境保護監視など、民生分野への転用も可能であり将来の市場規模を15億ドルと想定している。

 しかし渡り鳥の典型は290グラムの鳥が11000キロを飛ぶ。アラスカからニュージーランドの距離である。人工鳩は200グラムの重量と軽いが、30分の飛翔が限度、飛翔距離を伸ばす技術は、今後の大きな課題であろう。
   米陸軍は、はやり鳥に似せたスパイドローンを2013年に実験しているが、データなど詳細は公表されていない。


こういうのは楽しいけれど・・・
■ドローン+カメラ 動画「軍艦島」(YouTube)

https://www.youtube.com/watch?v=QpVil_7fnRA



クチナシ

2018年06月18日 | 日常・身辺
まもなく午前八時というとき、ガタガタと揺れました。
5,6秒、もう少し長かったかな。久しぶりの地震でした。
震度4、大阪北部が震源とか。

サツキも終わって、今は八重のクチナシが次々に開いています。
一鉢だけですが、梅雨空にあまやかな芳香を放っています。











米朝会談

2018年06月13日 | 政治・外交
米朝会談は予定通りシンガポールで行われた。
合意された「シンガポール共同声明」については、懸案事項解決の第一歩ととらえる評価が多い。
拉致問題については、金氏は「聞き置く」にとどまった。
【米朝首脳会談】「あいまい」「ショーは終わり」「不可欠な一歩」 独仏、EUなどの反応は… 2018.6.12 23:34
http://www.sankei.com/world/print/180612/wor1806120159-c.html

写真:会談場所のホテルで笑顔で手を振る北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(左)とドナルド・トランプ米大統領=12日、シンガポール(ロイター)

 ドイツやフランス、インド、パキスタン、欧州連合(EU)、国際原子力機関(IAEA)の米朝首脳会談に対する反応をまとめた。
■フランス「あいまいな内容」
 米朝首脳会談の共同声明について、仏紙ルモンド(電子版)は12日、「朝鮮半島の非核化」の日程が示されず、「あいまいな内容」だと指摘した。トランプ米大統領はこの日の記者会見で、金正恩朝鮮労働党委員長がミサイルのエンジン実験場を近く破壊すると約束したと発表したが、同紙は北朝鮮が5月に核実験場の坑道の爆破を発表した際、「まったく証拠が示されなかった」として実現性に疑念を示した。(パリ三井美奈)

■ドイツ「一歩に過ぎない」
 米朝会談を受け、ドイツ紙フランクフルター・アルゲマイネ(電子版)は12日、「会談の雰囲気をみれば成功」との見方を示す一方、「ショーは終わりだ」とし、「朝鮮半島の平和的な将来への道」への「一歩に過ぎない」と伝えた。
 同紙は非核化や朝鮮半島の将来をめぐっては米朝だけでなく、中国など関係国がそれぞれの思惑が絡むことを踏まえ、「これからの交渉が非常に緊張するのは確実」と指摘。悪化する米欧関係も念頭にトランプ米大統領が功績のため、「同盟国を損なう合意に手を出す」可能性も警戒した。
 DPA通信は金正恩労働党委員長のホワイトハウスへの招待について「孤立した共産主義国家の指導者にとり大きな国際的地位の向上」とし、会談談果は「北朝鮮が超大国の米国と同じ目線に立つことを示している」と伝えた。(ベルリン 宮下日出男)

■インド「前向き」、パキスタン「期待」
 シンガポールでの米朝首脳会談について、インド政府は12日午後にコメントを発表し、「前向きな展開だ。朝鮮半島における平和と安定が永続するため、首脳会談の成果が実現することを願っている」として歓迎する意向を示した。
 また、北朝鮮と関係が深いパキスタンを念頭に、朝鮮半島の非核化が「隣国に(核技術が)拡散するのではないか、という懸念を解消するものになると期待する」とも言及した。
 パキスタンも「地域の平和と安定につながることを期待する」とのコメントを出した。(ニューデリー 森浩)

■EU「重大で不可欠な一歩」
 EUのモゲリーニ外交安全保障上級代表は12日、米朝首脳会談の結果について「重大で不可欠な一歩」と評する声明を発表した。「外交が朝鮮半島の永続的平和への唯一の方法という、われわれの強い信念を再確認した」ともし、米朝首脳会談の実現に尽力してきた韓国の文在寅大統領の「指導力」をたたえた。
 米朝両首脳の共同声明には「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)という文言はなかったが、モゲリーニ氏は「最終目標はCVID」であり、共同声明は「それが達成しうるとの明確なシグナル」と表明。今後の交渉を支援していく用意も示した。(ベルリン 宮下日出男)

■IAEA「いかなる検証活動も引き受ける用意」
 IAEA(本部ウィーン)の天野之弥事務局長は12日、米朝首脳会談を受け、「朝鮮半島の完全な非核化に向けた約束」を含む両首脳の共同声明を「歓迎する」との声明を発表した。
 天野氏は声明で首脳会談の結果の実行に向けた米朝両国の交渉を注視するとした上で、IAEAとしては関係国からの要請に備え、「北朝鮮でのいかなる検証活動も引き受ける用意をしている」と強調した。(ベルリン 宮下日出男)
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【米朝首脳会談】元自衛艦隊司令官・香田洋二氏「壮大な無駄遣いの政治ショー」2018.6.13 07:06
http://www.sankei.com/politics/news/180613/plt1806130003-n1.html

 壮大な無駄遣いの政治ショーだ。共同声明は肝心なところに重しも押さえもない。トランプ米大統領の記者会見も全く得心できる内容ではなかった。トランプ氏は「過去の失敗を繰り返さない」と言ってきたが、同じ線路の上を走っているように見える。5月に訪米した際、多くの安全保障関係者が「大統領の功名心が危険だ」と指摘していた。まさにそうなった印象だ。

 非核化には実施の担保が全くない。拉致問題や人権問題も具体的なものが何もない。一方で北朝鮮は文書で体制保証を取り付け、義務を課せられないまま、米国からの軍事攻撃を相当な期間にわたり回避できることになった。何も失わないで時間稼ぎに成功した。

 北朝鮮はミサイルのエンジン試験場の解体を表明したというが、大陸間弾道ミサイル「火星15」など、配備済みのミサイルはそのままだ。火星15のエンジンテストは終わっており、実験場の解体に意味はない。あれを成果だというのは、正確に現状を理解していないのではないか。核実験場の廃棄も掘っ立て小屋をつぶしただけの子供だましだった。その延長にすぎない。

 トランプ氏は記者会見で将来的な在韓米軍の撤退にも言及した。わが耳と目を疑った。最大の失敗であり、大統領が決して言ってはいけないことだ。東アジアで今後、対中国の戦略を考えないといけないときに、自ら飛車・角を捨てるようなもの。日本にとっても在韓米軍の撤退は絶対に避けなければならない。もう一度、日米でしっかり戦略を整合する必要がある。

 今回の会談で、米国が北朝鮮に軍事力を行使する可能性は遠のいたとはいえる。ただ、北朝鮮の対応がトランプ氏の期待を裏切った場合、また軍事オプションが浮上する可能性はある。トランプ氏は軍事力を使う大統領だ。北朝鮮も高をくくったような対応はできないかもしれない。

 あえて言えば、両首脳に個人的パイプができたのは成果かもしれない。北朝鮮の今後の行動を見極め、必要なら直ちに厳しい態度に出ることが必要だ。事ここに至っては、そう言うしかない。
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ひっかけメール Appleユーザー注意!

2018年06月12日 | 世相
Appleを騙る何者からメールが来た。
「あなたのアカウント情報の一部が誤っている事をお知らせします・・・」という書き出しだ。
「マイアカウント確認」をクリックして確認してください。

クリックするとwebのAppleIDサポートの画面が開く。
実はこれが詐欺画面であった。
住所氏名の他にクレジットカード情報を入力するようになっている。
クレカ情報は、任意の筈ではなかったか・・・
不審に思ってURLをみるとAppleの文字は入っているが妙に長ったらしい。

改めてwebのAppleIDサポートの画面を開いて自分のID情報を見ると、ちゃんと住所氏名の他クレカ情報も入っている。
つまり、先ほどのはクレカ情報を盗む画面だった。
危ない危ない、AppleID は漏れていることは確かだ。
apple製品は当分購入する予定はないので、AppleID を削除した。
クレカ情報は支払の都度入力するのが安全だ。

そう云えば、中国アップルで顧客情報を売りさばく事件があった。
この中に、当方のIDが入っていたのかも・・・
中国アップル従業員、顧客情報売るネットワーク運営か 22人拘束 2017年06月08日 16:16 発信地:北京/中国
http://www.afpbb.com/articles/-/3131322?cx_part=txt_topics (c)AFP/WANG ZHAO

【6月8日 AFP】中国の警察当局は7日、米アップル(Apple)の従業員が運営し、同社のパソコン・携帯電話ユーザーの個人情報を売りさばいていた巨大な闇ネットワークを摘発して、22人の身柄を拘束したと発表した。
 南部浙江(Zhejiang)省の警察当局の声明によると、個人のプライバシー侵害と電子化された個人情報の違法取得の容疑で拘束された22人のうち、20人がアップルの従業員だという。

 容疑者らは、社内コンピューターシステムを使ってユーザーの名前、電話番号、アップルIDなどのデータを収集していたとみられ、これらの個人情報の販売などの詐欺行為から5000万元(約8億円)以上を売り上げていたとされる。
 警察発表では、売却された個人情報が中国人顧客のものなのか、外国人顧客のものなのかには言及していない。

 警察によれば、浙江省のほか広東(Guangdong)省、江蘇(Jiangsu)省、福建(Fujian)省などの警察が数か月かけて合同捜査を行い、先週末に容疑者らを逮捕した。容疑者らが利用していた「犯罪ツール」も押収され、詐欺ネットワークは解体されたという。
 容疑者らはアップルの中国法人でダイレクトマーケティング(直接販売)やアウトソーシングを担当していた。違法に抽出したデータを1件当たり10〜180元(約160〜2900円)で売りさばいていたとされる。

 中国では個人情報の売買は広く行われているが、当局は今月1日、国のネットワークと個人情報の保護を掲げて新しいサイバーセキュリティー法を施行したばかりだった。(c)AFP

おりしも、こんなニュースがあった。
「マイナンバーが漏れた」
マイナンバー漏えい大幅増=17年度374件―個人情報委 09:18時事通信
https://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-180612X713.html

 政府は12日午前の閣議で、個人情報の適正な取り扱いを監視・監督する政府の第三者機関「個人情報保護委員会」の国会への2017年度の報告を決定した。社会保障と税の共通番号(マイナンバー)の漏えいや誤廃棄が計374件あり、前年度(165件)から209件増加した。

 同委員会によると、17年度から住民税特別徴収税額の決定通知書にマイナンバーが記載されるようになり、この通知書の誤送付が増加の主因と考えられるという。374件の内訳は、地方自治体270件、国の行政機関や法人11件、民間事業者93件だった。
番号を記載して誤配送したら、そら漏れますわな・・・



米朝会談 やはり12日開催

2018年06月03日 | 政治・外交
トランプ氏、米朝首脳会談を12日開催と表明 2018.06.02 Sat posted at 10:34 JST
https://www.cnn.co.jp/world/35120159.html?tag=top;mainStory

写真:会談後に米朝首脳会談の12日開催を伝えるトランプ大統領

ワシントン(CNN) トランプ米大統領は1日、ホワイトハウスで、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との首脳会談を当初の予定通り6月12日にシンガポールで行うと表明した。トランプ氏は先週、首脳会談の中止を突如発表していた。
トランプ氏は今回の表明に先立ち、北朝鮮の金英哲(キムヨンチョル)党副委員長から正恩氏の親書を受け取った。最初は記者団に、親書は「非常に興味深い」と述べたものの、後にまだ読んでいないことを認めた。

トランプ氏は合意の成立に向け楽観的な姿勢を示し、ペンス副大統領を批判したり核戦争を示唆したりした北朝鮮の一連の声明については、もう過去のものだと強調。「あの件は完全に終わったと思う。今後は合意に向け、本当にプロセスを始めていく」とした。
さらに「金委員長と6月12日に会談する。非常に成功するプロセスになるのではないか」と明言した。

ホワイトハウスではこの日、トランプ氏と英哲氏の会談が1時間以上行われた。米大統領と北朝鮮当局者の会談としては2000年以降で最高位級のものとなった。
英哲氏は米東部時間午後1時過ぎにホワイトハウスに到着。外国要人は通常、大統領が出迎えるが、今回この役はケリー首席補佐官と中央情報局(CIA)高官に委ねられた。
トランプ氏は英哲氏と大統領執務室で会談し、人権問題は提起しなかったという。両者が再び姿を現すと、トランプ氏は英哲氏と握手を交わし、英哲氏が米政府の黒い車両でホワイトハウスを後にするのを見送った。

北朝鮮の金正恩は、留守中のクーデターが心配。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)6月3日(日曜日) 通巻第5713号
http://melma.com/backnumber_45206/

二転三転、そして四転五転の米朝首脳会談だが・・・・
シンガポールに行っている間に、中国がクーデターを予防する?


 5月10日にトランプ大統領は「6月12日、場所はシンガポールだ」と発言し、米朝首脳会談の日程が固まった、かに見えた。
 しかし、予想通りに二転三転し、また四転五転となって、先行きは依然不透明の米朝首脳会談だ。

 初の遠距離外交となる金正恩にとって、自らが言い出したにせよ、もっとも懸念するべきは、じつは不在中のクーデターである。金正恩が軍をおさえていないことは、コリアウォッチャーでない筆者でもわかる。
 第一に金正恩は先軍路線を取りやめ、党に主導権を戻したが、これに対する軍の反撥は想像した以上に強烈であり、辛うじて朝鮮戦争に従軍した86歳の呉光烈が抑えている状態だ。
 第二に軍内に中国の旧瀋陽軍区の幹部と親しい北の軍幹部がおり、中国と連絡の上で、クーデターを起こしかねない。それも不在中を狙って。
 だから金正恩は突如、2回目の中国訪問を大連を選んで、飛行機で飛んでいったのも、習近平に瀋陽軍区への睨みをきかせて欲しいと頼んだのではないのか。

 そのうえで北朝鮮は、6月12日、シンガポールにて開催と決まった米中首脳会談に、前向きな姿勢を示そうと拘束してきた三人のアメリカ人人質を釈放し、ポンペオ国務長官の帰国便に便乗させた。人質をカードにしなかったことは北朝鮮軟化の兆しと見られた。人質となっていたのはアメリカ籍だが、明らかに朝鮮族だ。これら三人はワシントンに「凱旋」し、トランプ大統領の出迎えを受けた。もし、これが日本なら、確実に「身代金」を支払う羽目に陥ったであろう。

 5月22日、訪米した文在寅・韓国大統領に対して、トランプは一転して「米朝会談延期の可能性」を示唆した。キャンセルを含む延期である。
「非核化など、準備段階で溝が埋まらない限り、会談は開かれない」とトランプは北の代理人のごとき文在寅に強硬発言を繰り出した。その挙げ句、共同記者会見で「韓国の言い分は聞き飽きた。いつも同じことを言うだけじゃないか」。
韓国大統領を軽くメッセンジャーボーイとして扱ったのである。

 これは5月7日に再度訪中した金正恩が、大連で習近平に何かを入れ智恵されたらしく、以降の態度に変化が生じていた。このためトランプは情勢を動かせようと強烈なブローを浴びせるかたちになった。
トランプは「非核化によって北朝鮮は偉大な国になれるチャンスがあるのに」と付け加えたが、脅しとも取れる変化球である。

 北朝鮮は核実験場を廃棄するとして外国メディアを招待し、廃棄状態を示した。
 同じ頃、米中貿易摩擦はいったん休憩状態となった。米朝会談を控え、波風を立てたくない米中双方が歩み寄ったからだ。メディアはさかんにZTEへの制裁緩和が近いという観測記事を掲げだした。

 ▲北の最終カードは中国が握っているのだろうか

 5月23日、トランプ大統領は「米朝会談は取りやめる」と発表し、またもや世界に衝撃を与えたが、北朝鮮が米国の条件に応じなければ、制裁をさらに強めるという信号を送って、激しく北朝鮮、韓国、そして中国を揺さぶったのである。
 しかし米議会は、この唐突な会談中止を支持するとした。
民主党上院院内総務のシューマー議員は「永続的な成果を期待できないのなら盛大なショーとなるだけ」と切り捨てた。
 要するに米朝会談の準備段階で、双方に巨大な溝があり、第一回の会談だけでは埋まりそうになく、米国は「制裁の手を緩めない」と強硬な牽制球を堅持した。

 米国の要求は「完全な、検証可能な、不可逆的な」朝鮮半島の非核化であり、このラ原則から一歩も引かないという基本姿勢を繰り返し、明確にした。北朝鮮は、このメッセージを深刻に受け止めた筈である。
 5月24日に北朝鮮の幹部等が秘かに北京を訪問していた。金正恩の側近と言われるキム・チャンソン国務委員会部長らは、仕切り直しとなった米朝会談への助言を求めたと観測された。つまり中国のエンドースがないと、次の交渉のカードも切れない状態にあることを内外に印象づけた。

 もっとも、金正恩もしたたかで、ロシアのロマノフ外相を平壌に招き、北京とのバランスを取ることにも腐心した。しかし、北京がときどき思い出したように言いつのる六者協議再開に、関心があるのは韓国と中国だけであり、ロシアは積極的なポーズを見せているだけで、狙いは発言力の維持である。

 ともかくトランプの中止発言に慌てふためいた北朝鮮は、5月30日に金英哲(朝鮮労働党副委員長)を米国に派遣し、「敵対解消」を伝達するなどして、米朝会談中止をなんとか、回避したい姿勢に転じた。
 北が弱みを見せたのである。

 ▲トランプはなぜ危険人物の金英哲を受け入れたのか。

 この金英哲は、先軍路線を党主導へと、北朝鮮の権力構造を変革したあとの党副委員長であり、ナンバーツーの実力派と見られる。
だが同時に金英哲は、2010年の韓国哨戒艇沈没事件の主謀者として、米国が個人の制裁対象の危険人物としてきた男でもあり、この手配人物の入国を米国は受け入れ、しかもホワイトハウスでトランプ大統領が直々に面談するという「異様な厚遇」を示した(6月1日)。
金正恩からの親書を受け取った直後、トランプは「もう最大限の圧力という言葉は使いたくない」と言った。

 トランプ発言はすぐさま世界に飛び火した。おりからシンガポールで開催されていた「シャングリ・ラ対話」で、マティス国防長官は「おそらく在韓米軍の縮小は議題にはならない」と発言した。この裏では、北朝鮮が在韓米具の撤退も縮小も条件としていないことが浮かび上がった。
また同対話に出席していた小野寺防衛大臣は「制裁という圧力がなければ、対話には怖じてこなかったのであり、トランプ大統領の発言には『完全な、検証可能な、不可逆的な非核化』という立場の後退はない」と日本政府の立場を改めて鮮明にした。
 トランプ大統領はまたまた「やはり6月12日、シンガポールで行われる」と中止を取り消した。強硬な手段を発動して相手を揺さぶる。
さすがにディールには馴れているのがトランプの遣り方であり、敵対するメディアもこの点の豪腕は認めるところであろう。

 こうした激動期間中、筆者はドイツにいたが、帰国した成田空港で目にした新聞は、まだモリカケをやっていた。バカか、と思った。
 あまつさえ日本のメディアに登場する「北朝鮮専門家」たるや、情報もなければ取材もしていない人々が平然と間違った見通しを述べている。
        ▽◎◎み□△◎や◇◎□ざ▽◎○き○□▽