チェニジアをきっかけに大規模デモが頻発するニュースがあいついでいる。
若年層に広がる失業問題、独裁政権、政府上層部に巣くう贈収賄、インフレ、宗教などが原因らしい。
エジプトやヨルダン、今後、さらに広がる可能性も指摘されている。
中共は神経をとがらせている。飛び火して一挙に中共政府の崩壊・民主化に進めばと思うが、中共幹部は自覚しているのだろう、これらのニュースをネットから遮断しているそうだ。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成23年(2011)1月30日(日曜日)通巻第3217号
http://www.melma.com/backnumber_45206_5092197/
中国、エジプト問題を一斉に報道管制
検索エンジンで、「エジプト」をあたっても何も出てこない
****************************************
ムバラク強権政治が最終段階にはいって、エジプトは無秩序と大混乱に陥った。
この余波を警戒するのはサウジアラビア、イランかと思いきや、北京の独裁者が震え上がった。
中国共産党は26日以来、報道管制を敷くとともに、インターネット、ツィッターに飛びかう「エジプト」「ムバラク」をチェックし、検索エンジンはエジプト関連が一切現れなくなった(アルジャジーラ、29日。博訊新聞網、同29日)。
http://www.melma.com/backnumber_45206_5092197/
中国、エジプト問題を一斉に報道管制
検索エンジンで、「エジプト」をあたっても何も出てこない
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ムバラク強権政治が最終段階にはいって、エジプトは無秩序と大混乱に陥った。
この余波を警戒するのはサウジアラビア、イランかと思いきや、北京の独裁者が震え上がった。
中国共産党は26日以来、報道管制を敷くとともに、インターネット、ツィッターに飛びかう「エジプト」「ムバラク」をチェックし、検索エンジンはエジプト関連が一切現れなくなった(アルジャジーラ、29日。博訊新聞網、同29日)。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成23年(2011)1月27日(木曜日)参 通巻第3212号
http://www.melma.com/backnumber_45206_5089324/
エジプト最悪の危機はムバラク体制崩壊、原理主義が政権を掌握するシナリオだ
チュニジア政変の連動ではない。イラクに続き、次はレバノンのイラン化だろう
****************************************
アラブ世界の政治舞台に「真空地帯」が誕生しつつあるのだろうか?
エジプトを襲う反政府デモは最悪のケースを想定した場合、ムバラク政権の崩壊へ到ることも予測の範疇にいれなければならない事態となった。
アラブ最大の同盟国エジプトの政権転覆を憂慮するのは、言うまでもなく米国、イスラエル、サウジアラビア、イェーメン,UAE。。。。。
まさに「チュニジア・ドミノ」?
パレスチナ自治政府もヨルダンもシリアも気が気でなく、チュニジアとエジプトに挟まれたリビアの独裁者はきっと夜も眠れないのではないか。
エジプトが軍事クーデターによって王政を転覆させ、燃え上がったアラブ・ナショナリズムはスエズ運河を国有化し、ナセルは英雄となった。
ところが1967年のイスラエルとの戦争でエジプト軍が完膚無くまでに敗北すると、経済的苦境に陥り、ソ連との軍事同盟をひっくりかえして米国と外交関係を深める。
イスラエルと電撃的外交関係を結んだサダト大統領は暗殺された。
この間、エジプトは農業国から軽工業国、都市経済型に移行し、経済的鎖国を解き、海外資本を受け入れる。 経済の自由化はIMFの勧告がバネとなり、エジプトの改革を促したのだ。
しかし「経済改革」とは国有企業の民営化が基軸であり、政権とむずびついた新エリート層が数百万の雇用を創出し、あたらしいエジプトのエリート層を形成する。かれらはムバラク与党である。
エジプトには現在20を越える政党が存在している。
政治改革は遅々として進まず、多くの強権政治の国々がそうであるように、上層部の汚職と腐敗が進行し、やがて新しいエリート層が牛耳る民間企業労働者も政権から離反する。若者達の失業増大が、社会不安をひろげ、貧富の差の拡大は民衆にムバラクへの不満と憎しみを高ぶらせる。
▼チュニジアの政変の影響がもろに拡がる
そしてチュニジアに「ジャスミン革命」。これはインターネットをつかう若い世代が中軸となって、抗議デモは一ヶ月間もチュニスで連続したため、ベンアリ大統領一家はサウジアラビアへ亡命する。
カイロでの反政府デモが数万の規模に達したのはツィッターである。
失業中の若者らが呼びかけ、数万の烏合の衆は、要するに反政府、反汚職、反ムバラクだが、イデオロギー的統一色もなく、組織だった行動もなく、指導者不在のまま、てんでばらばらの抗議行動となった。
大きなムバラクの肖像カーテンが引き裂かれると群衆は歓声をあげて、写メールに驚喜、しかし警官隊がガス弾を撃ち込むとさっと解散する。
どうやら扇動のプロがいないようだ。
イスラム原理主義過激派「ムスリム同胞団」は各地のデモに構成員を派遣し、存在をアピールしたが、専門家は、この反政府行動の広がりは「ムスリム同胞団」と無関係とみている。
つまり反政府の明確な組織、勢力がいまのところエジプトに存在しない以上、ソフトなデモ隊排除、抑止にのぞめばムバラクは危機を脱することが出来るかも知れない。
なにしろムバラク大統領はサダト暗殺以来30年、大国エジプトの権力を掌握し、軍と警察を抑えている「ベテラン」で、秘密裏の交渉を米国と繰り返してきたのは息子の世襲であった。
▼気がつけば、まわりはシーア派過激主義が席巻していた
さてエジプトよりも物騒な治安悪化の日々を目撃するのはレバノンである。
シーア派がバグダッド政権を静かに乗っ取って、いまのイラクはイランの傀儡といわれるほどに、米国の望んだ逆方向の政治状況となった。
レバノンも事実上のヒズボラ政権となってイスラム原理主義過激派の跳梁跋扈が顕著となり、レバノン政府が完全にイスラム原理主義に乗っ取られる危険性は増している。かれらが権力を掌握すれば次はイスラエルとの戦端がひかられるだろう。背後にいるのはイランである。
チュニジア、エジプトの騒擾劇というアラブ政治の裏面で、静かに着実に進んでいたイラクとレバノンの「イラン化」。
この過程はシーア派過激主義の蔓延につながり、イスラム世俗主義のエジプトやトルコなどと同盟関係を結ぶ米国、サウジアラビアの憂鬱が拡大している。
http://www.melma.com/backnumber_45206_5089324/
エジプト最悪の危機はムバラク体制崩壊、原理主義が政権を掌握するシナリオだ
チュニジア政変の連動ではない。イラクに続き、次はレバノンのイラン化だろう
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アラブ世界の政治舞台に「真空地帯」が誕生しつつあるのだろうか?
エジプトを襲う反政府デモは最悪のケースを想定した場合、ムバラク政権の崩壊へ到ることも予測の範疇にいれなければならない事態となった。
アラブ最大の同盟国エジプトの政権転覆を憂慮するのは、言うまでもなく米国、イスラエル、サウジアラビア、イェーメン,UAE。。。。。
まさに「チュニジア・ドミノ」?
パレスチナ自治政府もヨルダンもシリアも気が気でなく、チュニジアとエジプトに挟まれたリビアの独裁者はきっと夜も眠れないのではないか。
エジプトが軍事クーデターによって王政を転覆させ、燃え上がったアラブ・ナショナリズムはスエズ運河を国有化し、ナセルは英雄となった。
ところが1967年のイスラエルとの戦争でエジプト軍が完膚無くまでに敗北すると、経済的苦境に陥り、ソ連との軍事同盟をひっくりかえして米国と外交関係を深める。
イスラエルと電撃的外交関係を結んだサダト大統領は暗殺された。
この間、エジプトは農業国から軽工業国、都市経済型に移行し、経済的鎖国を解き、海外資本を受け入れる。 経済の自由化はIMFの勧告がバネとなり、エジプトの改革を促したのだ。
しかし「経済改革」とは国有企業の民営化が基軸であり、政権とむずびついた新エリート層が数百万の雇用を創出し、あたらしいエジプトのエリート層を形成する。かれらはムバラク与党である。
エジプトには現在20を越える政党が存在している。
政治改革は遅々として進まず、多くの強権政治の国々がそうであるように、上層部の汚職と腐敗が進行し、やがて新しいエリート層が牛耳る民間企業労働者も政権から離反する。若者達の失業増大が、社会不安をひろげ、貧富の差の拡大は民衆にムバラクへの不満と憎しみを高ぶらせる。
▼チュニジアの政変の影響がもろに拡がる
そしてチュニジアに「ジャスミン革命」。これはインターネットをつかう若い世代が中軸となって、抗議デモは一ヶ月間もチュニスで連続したため、ベンアリ大統領一家はサウジアラビアへ亡命する。
カイロでの反政府デモが数万の規模に達したのはツィッターである。
失業中の若者らが呼びかけ、数万の烏合の衆は、要するに反政府、反汚職、反ムバラクだが、イデオロギー的統一色もなく、組織だった行動もなく、指導者不在のまま、てんでばらばらの抗議行動となった。
大きなムバラクの肖像カーテンが引き裂かれると群衆は歓声をあげて、写メールに驚喜、しかし警官隊がガス弾を撃ち込むとさっと解散する。
どうやら扇動のプロがいないようだ。
イスラム原理主義過激派「ムスリム同胞団」は各地のデモに構成員を派遣し、存在をアピールしたが、専門家は、この反政府行動の広がりは「ムスリム同胞団」と無関係とみている。
つまり反政府の明確な組織、勢力がいまのところエジプトに存在しない以上、ソフトなデモ隊排除、抑止にのぞめばムバラクは危機を脱することが出来るかも知れない。
なにしろムバラク大統領はサダト暗殺以来30年、大国エジプトの権力を掌握し、軍と警察を抑えている「ベテラン」で、秘密裏の交渉を米国と繰り返してきたのは息子の世襲であった。
▼気がつけば、まわりはシーア派過激主義が席巻していた
さてエジプトよりも物騒な治安悪化の日々を目撃するのはレバノンである。
シーア派がバグダッド政権を静かに乗っ取って、いまのイラクはイランの傀儡といわれるほどに、米国の望んだ逆方向の政治状況となった。
レバノンも事実上のヒズボラ政権となってイスラム原理主義過激派の跳梁跋扈が顕著となり、レバノン政府が完全にイスラム原理主義に乗っ取られる危険性は増している。かれらが権力を掌握すれば次はイスラエルとの戦端がひかられるだろう。背後にいるのはイランである。
チュニジア、エジプトの騒擾劇というアラブ政治の裏面で、静かに着実に進んでいたイラクとレバノンの「イラン化」。
この過程はシーア派過激主義の蔓延につながり、イスラム世俗主義のエジプトやトルコなどと同盟関係を結ぶ米国、サウジアラビアの憂鬱が拡大している。