「酒は百薬の長」と云われていなかったか。
ところが、少量でも健康被害を誘発するそうな。
ホンマかいな、酒造メーカーが聞けば卒倒するかも。
当方、大酒飲みではないが、晩酌ぐらいはする。とくに晩はご飯を食べないので代わりに焼酎のお湯割りを湯飲みに一杯程度呑んできた。
そろそろ傘寿を迎えるトシになったが、一日の締めくくり、今さら止めるわけにいかない、でもガンは怖い・・・
何事も過ぎたるは及ばざるがごとし、とも云う。
3倍ぐらいに薄めて呑むかな。
「この際、きっぱりと止めなはれ」、な、なんと「喧しいわい」
悲報!酒はどんなに「少量」でも健康を破壊する アルコール分解物質がDNAを傷つけ、がんを誘発
The New York Times 2023/01/25 15:00
https://toyokeizai.net/articles/-/647986
「ほどほどの量」のアルコールでも健康被害を誘発してしまう(イラスト:Francesco Ciccolella/The New York Times)
場を白けさせて申し訳ないが、毎晩ワインを1〜2杯飲んでも健康は改善されない。
過去何十年にもわたって、紛らわしくて、ときに矛盾する研究(過剰なアルコールは体に悪いが少しなら良いとか、ある種類のアルコールはほかのものよりも体 に良いとか、冗談じゃない。全部体に悪い)が行われてきたが、実態が明らかになりつつある。たとえ少量でもアルコールは健康に影響を及ぼす可能性がある、 ということだ。
飲酒の健康リスクは「ほどほど」でも起こる
昨年11月に発表された研究で、2015年から2019年の間に過度のアルコール摂取で死亡した人の数がアメリカでは年間約14万人に上ることが明らかに なった。そのうちの約40%は、交通事故、アルコール中毒、殺人といった急性の原因によるものだ。しかし、大半は、肝臓病、がん、心臓病など、アルコール に起因する慢性疾患が死因となっていた。
専門家がアルコールの過剰摂取と関連した深刻な健康障害について語るとき、人々はたいてい、アルコール使用障害のある人について話しているのだと思い込んでいる。だが、飲酒の健康リスクは、ほどほどの量でも起こりうる。
ビクトリア大学カナダ薬物使用研究所のティム・ナイミ所長は、「アルコールは非常に低いレベルの量から健康に害を及ぼす」と話す。
では、アルコールはいつ、どのように健康に影響を及ぼすのだろうか。飲酒の量を減らすべきか迷っているなら、ここで紹介する情報が参考になるだろう。
「過度のアルコール摂取」とは、厳密にはアメリカ食事摂取基準で推奨される1日の最大摂取量を超える場合を指す。男性なら1日2杯、女性なら1日1杯だ。
「摂取量がこの範囲内であったとしても、とくにある種のがんや心血管疾患のリスクがある」という証拠も出てきていると、アメリカ疾病対策センター(CDC)でアルコール対策プログラムを率いるマリッサ・エッサー氏は指摘する。
アルコールは主にDNAを傷つけることで健康上の問題を引き起こすと、科学者たちは考えている。アルコールを飲むと、体内で代謝されて細胞に有毒な化学物質アセトアルデヒドが生成される。
アセトアルデヒドは「DNAを傷つけるのと同時に、体がDNAの損傷を修復するのも妨げる」とエッサー氏は説明する。「DNAが傷つくと、細胞が無秩序に増殖し、がん腫瘍を作り出す場合がある」。
アルコールはまた、DNA損傷の別形態である酸化ストレスを作り出し、特に血管まわりの細胞に害を及ぼすことがある。酸化ストレスは動脈硬化を引き起こし、血圧の上昇や冠動脈疾患の原因となる場合がある。
「DNAに根本的な影響を与えるため、非常に多くの臓器系に影響が及ぶ」。ナイミ氏は、習慣的なアルコールの摂取が生涯にわたって「徐々に組織を傷つける」と話す。
「アルコールは心臓に良い」は間違い?
アルコールが心臓に与える影響については、少量のアルコール、中でも赤ワインが良い効果をもたらす可能性があると主張する研究もあるため、わかりにくく なっている。過去の研究では、アルコールが「善玉」コレステロールのHDLを上昇させることや、ブドウ(および赤ワイン)に含まれる抗酸化物質レスベラト ロール(ポリフェノールの一種)に心臓を保護する特性があることが示唆されている。
しかし、バンダービルト大学のマリアン・ピアノ教授(看護学)によると、「このところ、アルコールの心臓保護効果や健康効果と呼ばれている概念を覆す証拠がたくさん出てきている」という。
喫煙とがんの関連性はほとんどの人が知っているが、アルコールも強力な発がん性物質であることに気づいている人はほとんどいない。アメリカがん協会の調査によると、アルコールが原因で発症するがん患者は毎年7万5000人以上、死者は毎年1万9000人近くに上る。
アルコールは7種類のがんの直接的な原因になることが知られている。頭頸部がん(口腔がん、咽頭がん、喉頭がん)、食道がん、肝臓がん、乳がん、大腸がんだ。研究では、前立腺がんや膵臓がんなど、別のがんとの関連性も指摘されているが、まだはっきりとした証拠はない。
少量の飲酒でも肝臓をやられる場合がある
アメリカの場合、アルコール関連死の個別要因として最も多いのはアルコール性肝疾患で、年間約2万2000人が亡くなっている。年齢が上がり、飲酒の経験 が積み重なっていくにつれてリスクは高まるが、20代、30代、40代でも毎年5000人以上がアルコール性肝疾患で死亡している。
アルコール性肝疾患には段階が3つある。臓器に脂肪が蓄積するアルコール性脂肪肝、炎症が起こり始めるアルコール性肝炎、そして組織が損傷して瘢痕(はん こん)化するアルコール性肝硬変の3段階だ。最初の2段階は完全な禁酒によって元に戻すことが可能だが、3段階目に入るともう元には戻らない。
アルコール性肝疾患の症状には、吐き気、嘔吐、腹痛、黄疸(目や皮膚が黄色くなる症状)がある。しかし、それらの症状はほとんどの場合、肝臓のダメージが深刻な状態になるまで現れない。
アルコール性肝疾患の発症リスクは飲酒量の多い人で最も高くなるが、ある報告によると、1日わずか2杯のアルコール飲料でも5年間飲み続けると、肝臓がダメージを受ける可能性があるという。1日に4杯飲む人の9割にアルコール性脂肪肝の兆候が見られる。
お酒を飲む人の全員が健康を害するわけではない。リスクは、食事、運動、喫煙といった生活習慣上のあらゆる因子が組み合わさって上がったり、下がったりする。
「どのリスク因子も重要だ」。エッサー氏は「公衆衛生学の世界では、その人が抱えている因子の数が発症リスクの増加につながることがわかっている」と話す。
さらに、基礎疾患とアルコールが相互に作用して、健康に影響を及ぼす可能性もある。例えば、「高血圧の人は、おそらく飲酒すべきではない。飲むとしても、間違いなくごく少量に抑えなければならない」と、ピアノ氏は言う。
酒は完全に断つべきか?
健康を改善するのに、酒をきっぱり断つ必要はない。量を少し減らすだけでも効果はある。現在の酒量が推奨限度を超えているのであればなおさらだ。ナイミ氏によると、リスクは「1日に2杯を超えると一気に上がる」。
毎日軽く飲んでいる人も、量を少し減らせば効果が期待できる。試しに何日かアルコール抜きで過ごしてみよう。「以前より気分が良くなれば、体が何かを伝えようとしている証拠だ」と、国立アルコール乱用・依存症研究所のジョージ・クーブ所長は話す。
注目すべきことに、話を聞いた専門家には、完全な禁酒を訴えた人は誰もいなかった。ただし、アルコール使用障害があるとか、妊娠している場合は別だ。「完 全な禁酒を推奨するつもりはない」と、クーブ氏は言う。「アメリカでは禁酒法が施行されたこともあるが、うまくいかなかった」。
とはいえ、専門家の全体的なアドバイスは「飲む量を減らし、長生きしなさい」ということになると、ナイミ氏は言う。「結局のところ、それが基本だ」。
(執筆:Dana G. Smith記者) (C)2023 The New York Times
The New York Times 2023/01/25 15:00
https://toyokeizai.net/articles/-/647986
「ほどほどの量」のアルコールでも健康被害を誘発してしまう(イラスト:Francesco Ciccolella/The New York Times)
場を白けさせて申し訳ないが、毎晩ワインを1〜2杯飲んでも健康は改善されない。
過去何十年にもわたって、紛らわしくて、ときに矛盾する研究(過剰なアルコールは体に悪いが少しなら良いとか、ある種類のアルコールはほかのものよりも体 に良いとか、冗談じゃない。全部体に悪い)が行われてきたが、実態が明らかになりつつある。たとえ少量でもアルコールは健康に影響を及ぼす可能性がある、 ということだ。
飲酒の健康リスクは「ほどほど」でも起こる
昨年11月に発表された研究で、2015年から2019年の間に過度のアルコール摂取で死亡した人の数がアメリカでは年間約14万人に上ることが明らかに なった。そのうちの約40%は、交通事故、アルコール中毒、殺人といった急性の原因によるものだ。しかし、大半は、肝臓病、がん、心臓病など、アルコール に起因する慢性疾患が死因となっていた。
専門家がアルコールの過剰摂取と関連した深刻な健康障害について語るとき、人々はたいてい、アルコール使用障害のある人について話しているのだと思い込んでいる。だが、飲酒の健康リスクは、ほどほどの量でも起こりうる。
ビクトリア大学カナダ薬物使用研究所のティム・ナイミ所長は、「アルコールは非常に低いレベルの量から健康に害を及ぼす」と話す。
では、アルコールはいつ、どのように健康に影響を及ぼすのだろうか。飲酒の量を減らすべきか迷っているなら、ここで紹介する情報が参考になるだろう。
「過度のアルコール摂取」とは、厳密にはアメリカ食事摂取基準で推奨される1日の最大摂取量を超える場合を指す。男性なら1日2杯、女性なら1日1杯だ。
「摂取量がこの範囲内であったとしても、とくにある種のがんや心血管疾患のリスクがある」という証拠も出てきていると、アメリカ疾病対策センター(CDC)でアルコール対策プログラムを率いるマリッサ・エッサー氏は指摘する。
アルコールは主にDNAを傷つけることで健康上の問題を引き起こすと、科学者たちは考えている。アルコールを飲むと、体内で代謝されて細胞に有毒な化学物質アセトアルデヒドが生成される。
アセトアルデヒドは「DNAを傷つけるのと同時に、体がDNAの損傷を修復するのも妨げる」とエッサー氏は説明する。「DNAが傷つくと、細胞が無秩序に増殖し、がん腫瘍を作り出す場合がある」。
アルコールはまた、DNA損傷の別形態である酸化ストレスを作り出し、特に血管まわりの細胞に害を及ぼすことがある。酸化ストレスは動脈硬化を引き起こし、血圧の上昇や冠動脈疾患の原因となる場合がある。
「DNAに根本的な影響を与えるため、非常に多くの臓器系に影響が及ぶ」。ナイミ氏は、習慣的なアルコールの摂取が生涯にわたって「徐々に組織を傷つける」と話す。
「アルコールは心臓に良い」は間違い?
アルコールが心臓に与える影響については、少量のアルコール、中でも赤ワインが良い効果をもたらす可能性があると主張する研究もあるため、わかりにくく なっている。過去の研究では、アルコールが「善玉」コレステロールのHDLを上昇させることや、ブドウ(および赤ワイン)に含まれる抗酸化物質レスベラト ロール(ポリフェノールの一種)に心臓を保護する特性があることが示唆されている。
しかし、バンダービルト大学のマリアン・ピアノ教授(看護学)によると、「このところ、アルコールの心臓保護効果や健康効果と呼ばれている概念を覆す証拠がたくさん出てきている」という。
喫煙とがんの関連性はほとんどの人が知っているが、アルコールも強力な発がん性物質であることに気づいている人はほとんどいない。アメリカがん協会の調査によると、アルコールが原因で発症するがん患者は毎年7万5000人以上、死者は毎年1万9000人近くに上る。
アルコールは7種類のがんの直接的な原因になることが知られている。頭頸部がん(口腔がん、咽頭がん、喉頭がん)、食道がん、肝臓がん、乳がん、大腸がんだ。研究では、前立腺がんや膵臓がんなど、別のがんとの関連性も指摘されているが、まだはっきりとした証拠はない。
少量の飲酒でも肝臓をやられる場合がある
アメリカの場合、アルコール関連死の個別要因として最も多いのはアルコール性肝疾患で、年間約2万2000人が亡くなっている。年齢が上がり、飲酒の経験 が積み重なっていくにつれてリスクは高まるが、20代、30代、40代でも毎年5000人以上がアルコール性肝疾患で死亡している。
アルコール性肝疾患には段階が3つある。臓器に脂肪が蓄積するアルコール性脂肪肝、炎症が起こり始めるアルコール性肝炎、そして組織が損傷して瘢痕(はん こん)化するアルコール性肝硬変の3段階だ。最初の2段階は完全な禁酒によって元に戻すことが可能だが、3段階目に入るともう元には戻らない。
アルコール性肝疾患の症状には、吐き気、嘔吐、腹痛、黄疸(目や皮膚が黄色くなる症状)がある。しかし、それらの症状はほとんどの場合、肝臓のダメージが深刻な状態になるまで現れない。
アルコール性肝疾患の発症リスクは飲酒量の多い人で最も高くなるが、ある報告によると、1日わずか2杯のアルコール飲料でも5年間飲み続けると、肝臓がダメージを受ける可能性があるという。1日に4杯飲む人の9割にアルコール性脂肪肝の兆候が見られる。
お酒を飲む人の全員が健康を害するわけではない。リスクは、食事、運動、喫煙といった生活習慣上のあらゆる因子が組み合わさって上がったり、下がったりする。
「どのリスク因子も重要だ」。エッサー氏は「公衆衛生学の世界では、その人が抱えている因子の数が発症リスクの増加につながることがわかっている」と話す。
さらに、基礎疾患とアルコールが相互に作用して、健康に影響を及ぼす可能性もある。例えば、「高血圧の人は、おそらく飲酒すべきではない。飲むとしても、間違いなくごく少量に抑えなければならない」と、ピアノ氏は言う。
酒は完全に断つべきか?
健康を改善するのに、酒をきっぱり断つ必要はない。量を少し減らすだけでも効果はある。現在の酒量が推奨限度を超えているのであればなおさらだ。ナイミ氏によると、リスクは「1日に2杯を超えると一気に上がる」。
毎日軽く飲んでいる人も、量を少し減らせば効果が期待できる。試しに何日かアルコール抜きで過ごしてみよう。「以前より気分が良くなれば、体が何かを伝えようとしている証拠だ」と、国立アルコール乱用・依存症研究所のジョージ・クーブ所長は話す。
注目すべきことに、話を聞いた専門家には、完全な禁酒を訴えた人は誰もいなかった。ただし、アルコール使用障害があるとか、妊娠している場合は別だ。「完 全な禁酒を推奨するつもりはない」と、クーブ氏は言う。「アメリカでは禁酒法が施行されたこともあるが、うまくいかなかった」。
とはいえ、専門家の全体的なアドバイスは「飲む量を減らし、長生きしなさい」ということになると、ナイミ氏は言う。「結局のところ、それが基本だ」。
(執筆:Dana G. Smith記者) (C)2023 The New York Times