『海賊の子』 カリン・ロワチー (ハヤカワ文庫SF)

『戦いの子』、『艦長の子』に続く完結編。
海賊に誘拐され、逃げ出して、人類と敵対する異星人に育てられた戦いの子、ジョス。
英雄艦長の息子であり、マスコミの寵児として持て囃された艦長の子、ライアン。
そして、海賊に後継者として英才教育を受けた海賊の子、ユーリ。
かつて海賊の後継者だった英雄艦長アザーコンも含め、すべては海賊ファルコンを軸とした人間関係の中で、成長していった少年たちの運命。
異星人の攻撃によって故郷を失い、難民となった少年ユーリ・テリソフが、サイコな殺戮者キーロフになるまでの物語。
前巻の悪役、テリソフにどんな物語があるのかと思えば……。これを読むと、もうキーロフをただの悪役には思えなくなる。
ライアン暗殺未遂や拉致の件の裏側の真実も、ラスト近くに出てくる。ユーリの人生では、ただの1エピソードにすぎないと、分量は少なめだけど。
有望な少年を型にはめ、ゲイシャとして育て上げるファルコンの力量はすさまじい。
しかし、ジョスもアザーコンも、その枠をぶち壊して逃亡するだけの強さがあった。
ライアンであれば、どんなに優秀であっても、そのひねくれた性格から、きっとエアロック送りになっていただろう。
しかし、ユーリだけは、罪の意識に苛まれ、自傷を続けながらもゲイシャとして成長していく。
そういった意味では、ユーリこそが一番弱く、何事もなければ、ふつうの目立たない人間になっていたのではないかと思わされる。
原題の直訳は『籠の鳥』。ユーリのペットであるインコ?のデクスターを示すと同時に、ファルコンに精神的に閉じ込められたユーリを暗示する。
ミーシカの件がトラウマになったのか、ホモセクシュアルになってしまって、BL分多すぎ。実際にはバイなんだけど、精神的には完全にホモ。これも、保護者としてのエスティエンへの過剰な依存の結果であり、精神的なゆがみを感じさせるのだけれど、そう読むのはジェンダー的に差別になるんだろうか?
ジョスもライアンも勝手に生きていけるだろうが、ユーリだけはその後が心配になる。
生き別れとなっていた母親と、初恋相手のミーシカに再会し、人並みの生活に戻って欲しいものだ。

『戦いの子』、『艦長の子』に続く完結編。
海賊に誘拐され、逃げ出して、人類と敵対する異星人に育てられた戦いの子、ジョス。
英雄艦長の息子であり、マスコミの寵児として持て囃された艦長の子、ライアン。
そして、海賊に後継者として英才教育を受けた海賊の子、ユーリ。
かつて海賊の後継者だった英雄艦長アザーコンも含め、すべては海賊ファルコンを軸とした人間関係の中で、成長していった少年たちの運命。
異星人の攻撃によって故郷を失い、難民となった少年ユーリ・テリソフが、サイコな殺戮者キーロフになるまでの物語。
前巻の悪役、テリソフにどんな物語があるのかと思えば……。これを読むと、もうキーロフをただの悪役には思えなくなる。
ライアン暗殺未遂や拉致の件の裏側の真実も、ラスト近くに出てくる。ユーリの人生では、ただの1エピソードにすぎないと、分量は少なめだけど。
有望な少年を型にはめ、ゲイシャとして育て上げるファルコンの力量はすさまじい。
しかし、ジョスもアザーコンも、その枠をぶち壊して逃亡するだけの強さがあった。
ライアンであれば、どんなに優秀であっても、そのひねくれた性格から、きっとエアロック送りになっていただろう。
しかし、ユーリだけは、罪の意識に苛まれ、自傷を続けながらもゲイシャとして成長していく。
そういった意味では、ユーリこそが一番弱く、何事もなければ、ふつうの目立たない人間になっていたのではないかと思わされる。
原題の直訳は『籠の鳥』。ユーリのペットであるインコ?のデクスターを示すと同時に、ファルコンに精神的に閉じ込められたユーリを暗示する。
ミーシカの件がトラウマになったのか、ホモセクシュアルになってしまって、BL分多すぎ。実際にはバイなんだけど、精神的には完全にホモ。これも、保護者としてのエスティエンへの過剰な依存の結果であり、精神的なゆがみを感じさせるのだけれど、そう読むのはジェンダー的に差別になるんだろうか?
ジョスもライアンも勝手に生きていけるだろうが、ユーリだけはその後が心配になる。
生き別れとなっていた母親と、初恋相手のミーシカに再会し、人並みの生活に戻って欲しいものだ。