神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] 未踏の時代

2010-02-27 18:41:23 | SF
『未踏の時代』 福島正実 (ハヤカワ文庫JA)




3歳の誕生日に身長と同じくらいのマジンガーZをもらった。
小学校3年生の頃にはガンダムがテレビ放映された。
初めて友達と見に行った映画はマクロスだった。

北の果てのど田舎でも、SFは確実に浸透していた。

それでも、少年は世間の無理解と戦わなければならなかった。
SFは“あっぱくさい”ものではない。SFは科学に忠実なだけの小難しいものではない。

それが、自分の子供の頃の、SFについての思い出だ(笑)

福島正実は、そんな自分にとって、SFのエライ人だった。
SF漫画のエライ人は手塚治虫だが、それよりもエライ人。
SF作家のエライ人は小松左京だが、それよりもエライ人。
SFファンのエライ人は柴野拓美だが、それよりもエライ人。
日本のガーンズバックであり、日本のキャンベルであり、日本で一番エライSFの人。
それが福島正実だった。

実は福島正実は小松左京らと同年代であり、けしてエライだけの人ではなかったと知ったのは、大学に入ってからだった。

いろいろな書物や講演で、多くのエピソードは読んだり聞いたりした記憶があったが、福島正実本人の言葉で書かれたものは、熱く、尖って、ザラザラした手触りを感じる。けして心地よい文章ではない。しかし、SFの市民権を勝ち得ようと世間の偏見と叩く情熱はストレートに伝わってきて、青かった頃の自分を思い出す(笑)

SF論争は、時に不毛で、SFファンをもSFから遠ざけてしまうかも知れない。しかし、SFというジャンルは、SFという形式をまねた文学ではない本質的なSFというジャンルは、論争を巻き起こすことこそが必然なんじゃないだろうか。

福島正実が今この瞬間に存命だったなら、いったい誰にどんな議論を吹っかけるのだろうか。
ラノベか、3D映画か?
東浩紀か、宇野常寛か?
なんだか、ちょっとワクワクする。

現在のSFマガジン、塩澤編集長は福島正実のように苛烈に議論を吹っかけたりはしない。しかし、そのラインナップはかなり攻撃的である。Jコレクション、リアル・フィクション、そして、SFコンテスト復活。

SFマガジンのこれからも楽しみだ。


[SF] リックの量子世界

2010-02-27 18:11:09 | SF
『リックの量子世界』 デイヴィッド・アンブローズ (創元SF文庫)




タイトルですっかりネタを割っているが、何も知らずに読んで実は量子ネタだったというよりは、かえって良心的なのかもしれない。
『クォンタム・ファミリーズ』や『紫色のクオリア』を読んだ後では、確かに喰い足りなさを感じる作品。
しかし、主人公が悩みながら量子力学の他世界解釈にたどりつく過程や、夫婦の関係を面白おかしく描写しているので退屈せずに読める。

そして、Part1からPart2、Part3へと進むにつれて、メタな視点でパラレルワールドを眺められるようになる視点の転換があり、この手のネタに慣れていない読者ならば頭がくらくらするかもしれない。

さて、そのネタなのだが、実はこれはフェイクなんじゃないかと思っている。というか、著者が最初に考えたオチとは違うんじゃないだろうか?


【ネタばれ注意】










たとえば、最初にリックが屋根から滑り落ちるシーン。ほんの少しの誤差でコンクリートブロックの上ではなく、肥溜めに落ちて怪我もなく済んでいる。そして、これは未来のリックが助けたわけではない。その後のトラックもそうだ。

なぜ、リックは生命の危機をご都合主義のように回避できたのか。これが疑問その1。

もうひとつの疑問は、なぜリックはタイムトラベルができたのか。

ウラシマ効果とワームホールを使用したタイムマシンは現代物理学でも理論的には可能だが、それは亜光速で穴を飛ばさなければならない。小説中には馬鹿みたいな理屈が出てくるが、それで実現できるとは思えないような冗談みたいな説明である。実は、リックはタイムトラベルなどしていないのではないか。

リックは自分が望む世界を選択し続ける能力があった。もしくは、自分の望まない世界を選択しない能力があった。これまでもパラレルワールドを転移し続けていたが、これまでは差異の少ない世界へしか転移しなかったためそのことに本人も気がついていなかった。しかし、妻の死という大きな事件の回避のためには、差異の大きな世界へ転移しなければならなかった。そこで、初めてパラレルワールドに気付いたリックは、これがはじめての転移だと誤解した。

彼はタイムトラベルも実行していない。パラレルワールドを選択し続けているだけ。キーポイントは、あれが彼の手記である点。つまり、現実に起こったことというよりは、彼の記憶なのである。

世界を選択するとともに、彼は記憶も選択している。記憶は主観的であり、客観的な過去と区別することができない。パラレルワールドを選択することにより、その世界の過去をも手に入れているならば、主観的にはそれはタイムトラベルのように見えないだろうか。自分に都合のいい過去を持つ世界を選択し続けるのだ。

そんなわけで、あれはfakeだ。著者が設定した真相は別にある!
と思ってみた。


2月26日(金)のつぶやき

2010-02-27 00:10:58 | つぶやき
23:17 from Tween
晩御飯食べそびれたので、ローソンでパスタとシルクヱビスを買って帰宅。もう向かいのコンビニには行っちゃダメなのでしょうか。
23:25 from Tween
持株会からの招待券が届かない……。
23:28 from API
【未踏の時代 (日本SFを築いた男の回想録) (ハヤカワ文庫JA)】SFのエライ人の本。SF作家でもなく、SFファンでもなく、SF編集者でもなく、SFのエライ人。 http://book.akahoshitakuya.com/cmt/5125801
23:35 from Tween
旭川丸井はエチケとかは買えたけど、コンサグッズはめったに売ってなかったんだよな。旭川西武はどうなるんだろう。いや、スポンサーになっていただけるだけで十分ありがたいんですが。
23:37 from Tween
と思ったら、ニュースリリース出てたw コンサドーレ札幌オフィシャルグッズショップ新規オープンのお知らせ http://www.consadole-sapporo.jp/news/diary.cgi?no=2237
23:47 from Tween
壁紙にしてみた。デスクトップが汚いので見づらくてしょうがねぇ。→2010前期日程ポスター[横型] http://bit.ly/beURQN
by kats_takami on Twitter