鳥!連続写真!掲載中!

近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

雪駄

2014年10月07日 00時00分01秒 | 提言

 日常の生活では革靴を履く機会がめっきり減った。革靴は手入れをしないとカビが生え、型崩れを起こす。普段は運動靴か軽めのパンプスである。近所へは突っかけを愛用している。サンダルはどうも足下が心許ない。以前は下駄を履いていたが、音がするし鼻緒が穿いている内に緩んでくる。鼻緒を交換してくれる下駄屋が近隣にはなくなってしまった。突っかけは雪駄に似た合成皮革の草履である。耐水性もあり、適度なクッションもある。

 しかし、草履は和装には似合うが、洋装だとどうも不釣り合いとなる。格好が悪いのである。東南アジアには、廃品のタイヤを裏打ちした草履が主流であるが、雪駄でも低級品はタイヤを用いている。高級品となると草履の底には皮が張られていて、かかと部分には金具が打ち込んである。穿きやすく軽くて良いが穿いている人を見かけることは少なくなった。

 先日、庭木の剪定作業に穿く、コハゼ12枚の地下足袋を買いに、近くの作業服等を売る店に行ったところ、雪駄を売っていた。お祭り用の白色の地下足袋や、半天、豆絞りの日本手拭い等も同じコーナーで売られていた。このようなところで雪駄が売られていたのは意外であった。

 地下足袋や雪駄の製造は阪神大震災で焼失や崩壊した神戸の長田地区であった。しかし、震災を機に再建したシューズ等のメーカーのことは聞いていない。この製造業は以前ベンゼン中毒による事故があった。ベンゼンはゴム糊の希釈剤に用いる有機溶剤である。換気が悪いと有機溶剤の揮発によって中毒を併発する。ゴム糊が乾燥するには一定の時間がかかるため、閉め切った部屋では揮発した溶剤が空気より重いため、底流する。作業者が吸い込むと麻酔作用によって意識が朦朧とする。死に至ることもある。最近では東南アジアや中国に製造現場が移っていると思う。

 生活の場では足下を保護することは余り意識しないが、多くの産業に携わる作業者の安全靴は足の指を落下物等から保護するための金具(金属プレート)が入っている。最近の地下足袋にも金具が入っている物を発見した。

 古くからある履き物が時代と共に変わっていくことは仕方がないが、TPOに合わせた使い方があるので、安全性を意識して使っていきたい。バンカラといわれた高校生が朴歯という下駄を履いていたことを知っている方も少なくなった。