餌をゲットすると周りを盛んに警戒していました。
農作業等で、作業の目安となった雪形は、雪国では良く話題に上がる現象である。地域によっては農鳥(のうとり)といっている。雪にまつわる多くの言葉があるが、雪形もその一つで、北国では積雪とその年の気候を占うときにも使われている。雪形が早くから現れると、積雪量が少ないことを意味する。地中にしみ込む溶けた雪の量が少ないから、伏流水も少なくなるため、干ばつが心配される。また、積雪が多い年は、雪形が遅くまであると、溶ける期間が長く、水量が多くなり、気温上昇を阻むため、冷害に危惧することになる。
多くは農事暦として古くから使われてきている。雪形は、低地から山に残る残雪を見て、山に囲まれた一帯の露出した岩の形を陽画としてみる場合と、岩肌が多くなり残雪が少なくなる陰画として見る場合とがある。その形によって、動物、人、農機具等の像に見立て、苗作り、田植え、代掻き、豆まき等のおおよその時期を確定している。現在では天気予報の長・中期予報が気象庁から発表されるため、雪形での判定は廃れてきている。
有名な富士山の雪形は豆まき小僧、農鳥、農牛、お犬雪、農男などの形がある。見る場所や地域で同時に見ることが出来るようであるが、この他にも、代馬(白馬岳)、鶴と獅子(鹿島槍ヶ岳)、常念坊(常念岳)、チョウ(蝶ヶ岳)、駒と島田娘(木曽駒ヶ岳)などがある。
自然の造形をそのイメージで自らの仕事に関係づけることが行われて来た。取りかかる作業の目安として使われてきたことに意味があると思う。農業や林業、漁業等自然の変化を利用することは、気候と仕事との関係が、密接にかかわっているからに他ならない。漁業でも、雪雲が発達すると雷を発生させる。ブリ起こしというらしいが、このときにハタハタ漁が行われる。
山背が吹くと翌日は吹雪になる、冷害が発生するといわれたこともあり、自然現象の尺度は興味深い。木材の伐採も、満月の夜に切り倒すと腐りにくい製材となるなど、多くの経験知がある。経験が職業に深く影響していて、中には信じがたいこともあるが、自然との関わりが多かった職業に就く人が少なくなってきているため、伝承されないことが多い。