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近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

諮問大学改革の背景

2015年04月20日 00時00分01秒 | 紹介

 文科省の有識者会議が3月に専門職業大学などの名称で新たな大学の類型を設けるとする報告書が纏められた。これに引き続き、今般、文科省の下村大臣は中央教育審議会(中教審)に対し、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度づくりについて諮問した。

 

 背景としては、大学卒業者の就職困難者が多くなっている。更には、就職したが実践が判らずに離職する者が多くなっていることである。就職率の向上は、世の中の景気状況によるのであるが、雇用する側に空きがなければ、就職できない者がでる。普段、耳にする言葉であるが、一般の市場に似せて、労働市場という表現がされる。通常の市場での需給関係は、目に見えるが、商品市場とは異なる労働市場は、様々な就職ルートがあり、目に見えず、閉鎖性があり、仮想空間上での取引である。また、需給関係はあっても、総じて商品価値が判りづらい。

 

 結果、失業率や就業率が遅効性として公表される。景気の判断も、公表された傾向を見る指標の一つに過ぎず、現時点・将来性を見るには完璧とはいえない。就職希望者と雇用したい側の取引条件は、雇用者数、労働条件、賃金、職務内容等で、就職希望者は、実際に雇用されてみないと実感できない不確実性を持つ。一方、雇用者側では、就職希望者の保持する能力、体力、社会性、専門性、将来性等については雇用してみないと判らない不確実性を持っている。雇用に際しては、一度採用すると簡単に解雇できないので、慎重を期する手段として、就職試験、体力測定、面接等を実施し、不確実性を少しでも確実にするための基準を作り、適用するが、長時間をかけて選別判断するには限界がある。

 

 就職希望者は、そもそも、特定企業や分野等の明確な目標を持って学業に当たったのではなく、可能性を引きずって来たわけである。実際の企業や、職種については殆ど経験していないため、ミスマッチを生ずる原因を就職希望者自身が持っている。その原因の多くは、企業での就業経験がないか少ない、教職員を抱えている学校体制側にあったといえるのではないであろうか。

 

 学校教育が就職に有利であった時代は既に終わり、社会の動きと学制とが遊離し、大学を出たが、就職できない現象に歯止めがかからなくなった。多くの企業ではミスマッチを発生し、ミスマッチ解消可能な自社教育を不採算部門との認識で、諦めたため、為す術がない。学制を担当する文科省が、軌道修正を余儀なくされて、今回の諮問になったといえる。