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近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

漆工作業その21

2015年09月28日 00時00分01秒 | マニュアル

磨き

 最終工程の段階で、上塗り後十分乾燥させてから上塗り面を研いで、平滑にし、磨きを行う。仕上げ方法は、最初の段階で上塗り後に磨き仕上げを行うか、それとも塗り放しで磨きを行わないかによって、使用する上塗り塗料が決まってくる。上塗り塗料の乾燥時間が長くなり、埃やゴミが着きやすくなり、漆風呂のような専用設備を持たなければなおさらである。乾燥時間が長い塗料は一般的に言うと、平坦性が高く、流動しやすい。塗りやすさは塗料を薄めるために用いるシンナーの組成を変えることによって、沸点をある程度操作することが出来る。

 

 塗り放し仕上げは、本来の塗料が持つ光沢を生むことが出来るが、塗料によっては、カシュー合成漆など、輝きが強すぎる場合もあり、下品になる。これは若干の表面の凹凸で、光沢が均一にならずにギラギラしさが出るためと思われる。

 

 上塗り乾燥後の研ぎは、炭紛、地の粉、砥の粉などを使うが、予めふるいで篩っておく必要がある。通常は耐水研磨紙の番手で数が多い600~1500番を適宜使う。研いだ表面に光沢が残るところは表面が低い部分であるから、光沢のない状態まで研ぐが、研ぎすぎると中塗りまで研いでしまうので、細心の注意が必要である。ゴムべらを用いて、研ぎ汁を拭い、表面の状態を確認しながら行う。番手が粗いと研ぎ足が残るので、仕上げ研ぎは砥粒が細かい物を使う。被塗物全体が光沢のない状態にし、拭き上げて研ぎを終える。

 

 磨きの材料は、コンパウンドを用い、荒目、中目。細目、極細目を準備し、ウエスに少量付けて磨く。多量に付けると砥粒が混入されている油で滑るため、研削出来ない。磨きも広い意味では研ぎの一種で、細かくした砥粒で表面を削ることによってより平滑面を得ることである。最後に漆塗りでは角粉(鹿の角を焼いて粉末にした物)を指に付けて磨くが、角粉が手に入らない場合は、チタン白を用いても良い。自分は、ワックスを付けて磨き上げている。磨きで、注意することは同じ箇所を続けて磨くと摩擦熱のために上塗り塗膜が軟化し、艶引けを起こすので続けて磨かないことである。

 

 最近は、ノンシリコーンワックスも登場している。超微粒子コンパウンドであるが、機械研磨やバフ研磨で用いられている。磨きを行うことで、表面の平滑性を最大に発揮させ、所謂、鏡面に仕上げるのである。