鳥!連続写真!掲載中!

近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

市民アカデミー16前期別コース第5回目

2016年06月23日 00時00分01秒 | 日記

平成28年6月21日

  梅雨の真っただ中、このところ気温の変化が激しい。降雨も土砂降りになるようで、昨日から強い雨が降っている。例年のシトシトと降る梅雨特有の雨とは異なり、そろそろ梅雨明けかもしれない。今回もマイカーで行くことにした。駐車場は30台前後駐車できるが、日によって変わるため、駐車スペースがない場合もある。幸い今回は駐車が可能であった。

 

 狼講師の話は面白い。今回は全五回の最終日で、我が国の科学技術政策と人材育成についてであった。雨天のせいか、会場は2割程度の空席が目立ったが、最先端科学技術は失敗のリスクが伴うため、我が国の行政にはなじまないとの持論が展開された。また、前回の復習である最先端技術を取り組むことは、軍民共同の世界であり、我が国では敗戦の経験が、軍事面での転用については、極端に拒否する気風が蔓延(はびこる)っていて、意識的な変革を必要としている。将来を担う若者が、科学技術分野を敬遠するようになってきていて、欧米等との政策の違いが、若者を委縮させているように思え、将来を危惧しているとのことであった。既に軍用で開発されてきた位置情報、GPSや、インターネットでの情報利用については我が国においても生活基盤になっているとのことで、むしろ積極的な関与が望ましいとのことであった。

 

 そこで現在手掛けている慶応大学の学生に対し、若者の夢をはぐくむプロジェクトを推進している。最近の動向として欧米でも取り上げられているハイパーループプロジェクトである。米国の民間企業では懸賞金を出し、優秀な研究成果を促進している。このプロジェクトは米国のロスアンゼルスとサンフランシスコの間を30分で移動できるかどうかというもので、設計コンテストでは世界各国から126大学が応募し、我が国では狼先生のプロジェクトが唯一応募し、見事予選を通過したとのことである。研究の概要は、永久磁石の原理を利用し、磁気浮上をさせて加速を得る。しかし、停止制御については問題が多く、現在のところ思考実験の段階である。

 

 興味深い米国の女性が挑戦し、日用品で、原理を紹介したDVDを見ることができた。銅線のコイル内を電池に取り付けた磁石が、ループの中を高速で走行可能な動画であった。

 今回はこのプロジェクトを中心に話されたが、このような研究には役所の介入がほとんど得られず、知人等を介して、実験資材や、実験場等の支援を求めているようで、何らかのお役に立てればと思った次第である。貴重な話を聞けて感謝している。次回は未定であるが、プログラムに載れば受講するつもりである。


やはり同じ穴のムジナ

2016年06月22日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 朝方の民放TVのニュース報道で知ったのであるが、都議会のメンバーがブラジル、リオ(リオデジャネーロ)で開催する五輪の視察に40名を4派に分けて出張する予定であることが報じられた。それに都庁職員等が随行する。その予算は驚くなかれ、1億円を超えるとのことであった。

 

 舛添前知事の海外視察出張についても任期半ばで、9回ほどあり、2億円を有に越したということであった。当然、都庁職員の随行があったわけで、知事一人の旅行ではない。この問題についても、議会の集中審議や一般質問ではほとんど議題に上がっていないことは、何のことはない、自らも同様なことを行ってきたか、そうしようとしているのか、都議及び都の幹部職員にも及ぶ話である。歯切れが悪かった原因が分かったようで、なんとも複雑な心境である。

 

 役所の旅費については、節約をいわれ続けているが、退職者に対するお礼奉公的な物見雄山に近い形での国内出張は長年慣習として行われてきた。もちろん現在では姿を消したが、博覧会、起工式、オリンピック等のイベントについては、直接関係ない職員がかばん持ち、随行などと称して、巧妙に出張が利用されている。どことは言わないが、場合によっては、カラ出張という、目的地に行ったことにして、添付用の資料を集め、報告書を書き、当人は、出勤できずに自宅待機などをして旅費を浮かし、それこそ使途不明金を捻出することが行われたことがあった。

 

 歳出の支出項目では、会議費などの庁費、執筆や、会議に民間などの人材を出席させるときに支払われる謝金、それと旅費である。その中で、職員が内密に使うことができるのが出張旅費である。

 

 最近は、旅費の取り扱いは厳密になっていて、鉄道運賃や、航空機の搭乗券などを証拠書類として提出するようになり、大幅にこの手の裏金作りは不可能となっている。出張自体の業務を禁止することはできないため、その管理は厳しく扱うことも当然であろう。

 

 しかしながら、どう考えても都議が行おうとしているリオ五輪の集団海外出張の是非については、精査する必要があろう。集団で40名も果たして行く必要があるのかについても問われなければならないであろう。都知事自らの出張はご破算になったが、雁首そろえての物見雄山であることは推測がつく。都議会が認めたとしても、舛添知事のせこさを追求した都議員も同じ穴の狢(ムジナ)で、都民の税金を使って海外視察とは、みんなで渡れば怖くないとのそしりは免れないであろう。


ガンの知識

2016年06月21日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 ガンで死亡するという現実を知らないわけではないが、どうもスッキリしない状況をどのように捉えるか、暗中模索を強いられている。NHKの番組では、それらしき原因の説明を受けたが、どう予防し、実際にガンであると宣告された場合にどう生き抜くか、どのような最後を送るか、不安である。既に他界した多くの方がガンであると医師から宣告されるかされないかにかかわらず、死因がガンであるのではなく、呼吸器不全や、心疾患とされるのはどうしてなのか、老衰であってもガンによる死亡かも知れない。

 

 ガンが、遺伝子による場合と、細胞分裂によるコピーの間違いとの話は納得しても、患部を切除して治ったという話もあるし、そうではなく、数年後には再発するといったケースもある。また、切除した場合も、癒着や、リンパ液の中にガン細胞がが残り、患部が全身に広がるケースもあるようである。

 

 この場合には、検査で前もって状況が分かるが、常にいつ再発するか分からない不安さは残る。遺伝的な因子を考えれば、親族にその傾向があれば、もはや止めることは不可能に近い。今の医学では前兆やガンの症状が進み、肉眼でも分かる状態でないと処置できないのであれば、予防なる対策は無意味なことに写るが、医学ではどう捉えているのかがいまいち分からない。

 

 まるで賭のような、罹患率などの数字を示されても、果たしてその率の中に自分が含まれているかどうかも分からず、かえって不安を助長し、好ましい情報とはいえない。受け身であることは専門分野を知らないことが原因なのかもしれないが、情報の開示が進んでいないことも気がかりである。誰しも自分はガンになって死ぬことはないと思っている様子が不思議である。このことは、交通事故や自然災害などと異なり、生物としての生存のリスクが、自らの身体にあり、身体を形作る細胞組織の異常が関係しているからである。

 

 前回の講義では、環境因子や、食生活、特殊な環境、例えば、放射線や紫外線を多量に浴びる、アスベストなどの化学物質の外的因子が影響するという話であった。実はそうではない生存環境で起こる様々なストレスという説もある。これは身体の防御機能が低下し、体力だけではなく精神力も影響するとのことで、病は気からといわれるように、確かにその要因も納得がいく。さらには嗜好品が、害を及ぼすことは、喫煙や飲酒が、相当影響するのも分かるような気はするが、実感できないでいる。細胞の突然変異が、メリットとして何らかの影響を持つとの仮説は、ガン撲滅の手がかりになるかも知れない。


市民アカデミー16前期第7回

2016年06月20日 00時00分01秒 | 日記

,平成28年6月17日

  元NHKプロデューサー、サイエンス映画学会会長の林勝彦氏によるNHKスペシャル人体3、遺伝子・DNA第1回、突き止めよ、がん発生の謎をTV映像とその解説であった。

 癌は今まで不治の病とされ、現在も完治できるわけではない。他の病気と異なり、自らの身体にさまざまの原因で発生する。我が国の死亡率では第一位で37万人が年間に亡くなっていて、罹患率は98万人といわれている。

 

 癌という項目での辞書には載らず、悪性腫瘍といわれ、増殖が速く、周囲組織への浸潤、遠隔部の転移により、病巣を拡大する。広義では上皮性や肉腫をを含める。人間の細胞は細胞分裂によって、常に再生が行われるが、1個の細胞が再生を繰り返すのは80回ぐらいといわれ、いずれは細胞のは働きをやめ死滅する。アポトーシス(自滅細胞)という現象である。細胞が分裂するのは、遺伝子情報によって、二重らせん構造としてコピーされる。

 

 このコピーが数万回に1回ぐらいの頻度で、間違った配列が起きる。通常は、間違った配列は、異常と判断され、マクロファージによって食べられ、細胞がなくなるのであるが、遺伝的若しくは、発がん物質等が多量に体内に吸収される環境に置かれるとマクロファージの機能が低下し、増殖を始める。これがん細胞となる。

 

 現在分かっているのは、細胞を正しく判断する抑制細胞があり、P53という細胞で、がん化し始める細胞の情報をとらえて、抑制細胞を大量に発生させ、看過した細胞を駆除するのであるが、これも限界があるとのことであった。癌細胞自身は、DNAによる遺伝子が原因しているが、このことは人類が誕生し、環境に適応する段階で、細胞変異が起こり、環境変化に適応する手段でもあった。

 

 その例の一つに、シミやそばかすがあり、直接紫外線を防御するための細胞で突然変異を起こしたものであったが、この遺伝子は、XP(色素性乾皮症)という皮膚がんを起こすことが知られている。また欧米人の一部にAIDS耐性の細胞を持つ人がいる。これも突然変異といわれている。

 

 発がん物質については、解らないことも多いが、食生活により塩分量が多かったり、防腐剤、食品添加物に関するもの、化学物質や、アスベスト、原子爆発、放射線の乱用等によって起こるとされている。次回に癌を防ぐための予防法について講演される予定である。


話題の本質

2016年06月19日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 我が国の国家予算は100兆円規模である。といわれても、庶民感覚を遙かに超える金額である。その価値が分からない。人生の最大の買い物である住宅購入は、土地付きの1戸建て、建坪50坪2階建てを郊外で探すとしたら5000万円ぐらいが相場であろう。丁度、猪瀬前知事が資金供与で鞄に入るか入らないかの問答があった金額である。0が13桁続く金額であり、住居が200万戸建つ金額である。

 

 東京都の年間予算が5~6兆円規模であり、全国都道府県で最高予算額である。この額に比較すると辞職に追い込まれた知事の公私混同とされた金額総額でも500万円程度で、疑惑の対象を含めても、5000万円には届かない。疑惑金額の大小での理由が問題ではないが、都民の90%を超える辞職要求はせこいとされた意味を考えてみた。

 

 せこいとは、世故いの意である。けち、規模が小さい、狭量、度量がないなど会話で使われている。あまり好ましい表現ではなく、相対量として使用され、その立場の人が行うにはふさわしい所作ではないとの意味が含まれている。知事の辞任に追い込んだのは、公的資金を私的に流用したことであり、不誠実な使途明細である。その使途の制限は意外とルーズのようである。政治資金規制法がザル法であるとのそしりは免れないが、知事に限らず、全議員の使途を公開すれば、同様な使途を行っていることは明白であろう。

 

 道義的な責任を求められているが、この定義も曖昧で、具体的な例示がないまま追求の根幹を成した。追求する議員も、火の粉が自らに罹らぬような及び腰は、決定打がないまま、都民の反発を機会として捉え、あってはならない人民裁判化を利用したに過ぎない。

 

 せこさが論点になることは、政治の根本を見失い、直面する政治課題からの攻防がなかったことは惜しまれる。東京都には待機児童の問題、東京五輪誘致に係わる疑惑、一極集中化に伴う様々の問題がある。それらの問題解決の牽引役であったと知事の政治能力についてはほとんど議論の対象とはならなかったのである。政治的手腕を託した都民としては、その能力が発揮されないことへの批判であり評価ではなかったのか。どこかの段階で、マスコミも含め、議論のすり替えがあったといわざるを得ない。

 

 せこさは、逆説として言えば、都民の話題の中心として馴染むからであり、誰にでも容易に話題の中に入れるからで、言うなれば、生活基盤に近いから議論推移を理解しやすい。それは野次馬的でもあり、民度としてみれば好ましいことではなく、高尚な議論とは逆行する世界では無かろうか。


意志決定と知事職

2016年06月18日 00時00分01秒 | 提言

 知事職に限ったことではないが、我が国のトップの意思決定は、通常、トップダウンではない。トップダウンが行われる場面はそう多いものではなく、めったにないといった方が良いと思われる。組織の意思決定はボトムアップであり、最下位の担当者が起案者となり、所属課、関係部局を調整のうえ、所属部、所属局の長の決裁を仰いだ後に関係部局、副知事、知事へと決済が回る。ご存知のように稟議制である。案件が発生するたびに、先ず、担当課で大方の方針を出し、関係部局が決まる。これからが根回しといわれる。それぞれの役職に応じた関係部局間の相当職との打ち合わせが始まる。

 

 打ち合わせは会議形式だけではなく、早朝のミーティングや、食事時といえども機会があればその案件についての概要が伝えられる。別の会議の遡上に上ることもあり、緊急の場合以外はその案件について組織内の誰しもが知ることになる。このルートに乗るのは人事関係以外のほとんどの案件であるが、ルーチンワークは所属部局だけで済ませることもあり、担当者が起案書(原議書・稟議書)を書く段階ではすでに根回しが済んだ後である。

 

 したがって、組織の全員があらかじめ知ったのちに文書が回るため、トップの決裁がスムースに運ぶこととなる。途中段階でのクレームが発生すれば、担当者と同格の部課長が同席し、調整に入る。したがって、新規案件であっても、部課長が起案することはなく、また、局長、審議官、次官 知事等が自ら起案することはない。また、稟議書は関係部局やその上の役職に至るまで、担当者が決裁を受けに回り、担当者自らが起案の内容を説明する。つまり、担当者は最終決裁者の立場で稟議書を作成するのであって、決済後は最終決済日付で、文書番号を総務で取ることになり、対外的な文書として発出される。

 

 案件の発生の多くは、対外的な受信文書である。予め、総務で受信番号が付けられ、関係部局へ回付される。つまり、口頭で、案件が発生することはめったにないことで、新規案件は予算が伴うため、実施時期や、担当部局が年度途中で発生することはない。そこで、新規案件については前年度に予算化することになる。

 

 知事の交代があったとしても、知事単独の方針や、考え方が行政に反映されるのは、早くても1年後であり、たとえ、斬新なアイディアであったとしても就任直後から実行できるわけではなく、影響するわけではない。知事が先頭に立って采配を振るえると考えるのは早計である。

 

 この意思決定方法はトップダウンに比べ、調整に時間がかかるが、トップの決裁が済めば即実行に入ることができる。また、組織全員へ責任が及ぶため、例えば、知事が単独で責任追及されることはない。別な言葉でいえば、責任分散システムといえる。知事が単独に責任追及されるのは、知事個人が私的に行った賄賂やシステムを無視した行為があったときだけである。


トップの責任の取り方

2016年06月17日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 都知事が辞職に追い込まれた。発覚した問題としては前都知事ほどの賄賂性はないが、都民の多くが知事としてふさわしくないという判断に至ったことである。人心が離れていった末路は辞職という選択で幕が閉じようとしているが、市民団体の方でも告訴が成されていて、今後、疑惑の解明は何らかの形で継続していくことになろう。当然の結末であるが、当初予想した段階ではもっと早い時期に都議会が解散するか、リコール運動に発展するかと思っていたところである。

 

 トップの辞職は自らの判断というが、バックボーンであった政権与党から不信任決議案が提出されようとしたことで、提出されれば、既に提出している野党会派と同調が予想され、不信任との結果が目に見えていたことによるため、辞職を選んだのであろう。

 

 企業や官庁組織のトップの責任の取り方とは明白な違いがあるが、傍目では、都庁という官庁組織が、ピラミッド構造を持っていたとしても、一つの組織としての対応ではなく、選挙でもって選ばれた都民の代表という側面を持ち、施政方針や、都議会のトップであるにも拘わらず、チック機関を所掌していない独立性の強い立場のようである。今回もサポートする立場にあった政権与党から見放されると、四面楚歌となり、身内も離れてしまう。

 

 組織の有り様は、平素からのコミュニケーションがなければ、独裁となりやすいし、結果、裸の王様である。こうしてみると、決して組織人ではないことが分かる。つまり雇われマダム的であり、下積みがない世界を歩んできた人に見られる一人親方なのである。

 

 その点は、歴代の多くの知事が組織人としての下積みの道を経験してこなかった作家や、政治畑を歩んできた人が多い。つまり、誰であっても立候補が出来、選挙で選ばれれば、誰でも知事になれるというオープン性は理想であり、良いことに違いないが、続けて3代の都知事が疑惑(石原都知事ははっきりしていない)をもたれての辞職では何とも情けない。

 

 その理由の一つに、過去の組織人トップとしての経験が乏しいからに他ならない。また、公示後の選挙活動は、演説がうまければよいのであって、今の選挙制度では仕事に対する正しい評価が出来ないのである。政治家への道標は決まっていないが、予備段階としての松下政経塾のような、理論と実践を経験できて、それなりの見識を評価することが出来る資格というか、縛りをかける必要があろう。意志決定の仕方から見る知事職については別稿に譲ることとしたい。


市民アカデミー16前期別コース第4回目

2016年06月16日 00時00分01秒 | 日記

平成28年6月14日

 今回のコースは前5回、次回で最終回を迎える。今回は、宇宙システムの新たなる展開とのテーマで、狼講師の得意とする分野である。講義の導入は、最近の紙上に載った2つの話題からであったエニグマというドイツ軍が開発した暗合機の何代目かわからないが、オークションにかけられ、相当の値段で落札されたことと、この後継機である暗号用タイプライターの競売についてである。これらの報道は、わが国ではほとんど伝わることもないし、話題にもならない事柄で、欧米諸国との科学技術についての関心度の違いを物語る事例として紹介された。

 

 そもそも現在の科学技術を扱う省庁が、文部科学省に統合され、以前あった科学技術庁を吸収し統合したという我が国の行政を嘆いてのことであった。本来ならば、独立した省としてふさわしいのであるのだが、文部行政の中で何ができるのかはなはだ疑問であるとのことであった。特に日本人の科学技術に対する最近の判断は、アジアのトップを行っているという間違った解釈が根強く、すでにインドや中国に水をあけられている分野が、宇宙航空技術である。

 

 その裏には、米国が安全保障分野での旧態依然たる障壁が強く、電波技術やGPSに伴う宇宙開発には難色を示していることで、独自の開発が困難な状況に置かれているとのことであった。省庁統合の見かけは良いが、緊縮財政は科学技術分野にも及んでいて、宇宙開発には3000億円という外国には全く太刀打ちできない経費のかけ方であることが、全てを物語っているとのことである。

 

 このままいけば、わが国の宇宙開発は遅れを取り、せっかくのビジネスチャンスにも陰りを示すことになるとの予測であった。電波に至っては総務省が関与し、規制のがんじがらめで、研究すらおぼつかない縦割り行政の不備に縛られ、手足を出せない状況となっているようである。中でも漁業組合なる組織の介在は、研究開発を優先できない利益者集団としても介在が根強く、多くの対応特に海上での研究に水を差している。

 

 狼先生の関与する新たな技術開発は、抵抗の多い我が国の規制を取り除くべく努力をされているが、過剰なほど頑なな行政には手を焼いているようで、事務方の理由のつかない対応に頭を痛めているようであった。さもありなんと思うが、リスクあっての研究開発への理解は到底困難な状況であり、将来の我が国にとってマイナスであることは自分も意を同じくしたところである。