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西田亮介氏 安田洋祐氏  

2024-12-16 20:57:41 | 文化

>プレジデントオンライン   >関東学院大学―>コロンビア院卒の小泉進次郎を学歴ロンダリング扱い大学後の学び評価しない無学な日本人   >西田亮介、安田洋祐によるストーリー・   >1時間・   

>首都圏で中学受験が過熱している。   

>今や小学1年生から子供を塾に通わせる家庭も出てきている。   

>一方で、海外の有名大学院を卒業した政治家を「学歴ロンダリング」と指摘する声もある。   

>大学で教鞭を執る2人が、日本人の学歴への考え方について語り合った――。   

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>なぜ日本人は政治家の学歴を評価したがるのか   

>【安田】仮に、私立の中高一貫校に入る目的が「良い大学に進学するため」だとしましょう。

>もちろん、私立中学を選ぶ理由は、個性的な教育環境に惹かれるなど、さまざまな理由があると思います。   

>でも、「大学進学を見据えた選択」というのは、受験のかなり大きな動機だと考えられますよね。  

>特にエスカレーター式の学校だと、中学に入ればそのまま大学まで上がれる。   

>これは確かに一見すると魅力的です。   

>ただ、冷静に中学受験と大学受験の偏差値などを同じ学校で比べてみると、中学受験のほうが明らかに難しいんですよ。  

>特に女子の場合は、親がエスカレーター式を好む傾向が強いためかなりのギャップです。   

>そう考えると、「大学受験で入れるなら、わざわざ小学校時代の長い時間を費やして中学に入る必要はあるのか?」と私などは思ってしまうんです。   

>結局、中学受験でそのレベルの学校に入れる学力があるなら、大学受験でもそれに近い学校に入れるはずですし、もっと短期間で結果が出るんじゃないかと。   

>【西田】客観的に見ると、日本には800校近くの大学があり、私立の中学校もほぼ同じ数あります。   

>そのうち300校くらいが東京圏に集中していて、東京には1400万人の人口がいる。   

>こうした規模感を考えれば、特に首都圏の中学受験の競争が過熱しているというのは簡単に理解できますけどね。   

>【安田】中学受験と社会の格差の関係にも目を向けたいところです。   

>どんな受験でもある程度の格差は避けられないとは思いますが、特に私立中学に関しては、入学後の学費も高額ですし、家庭への負担は大きいですよね。   

>【西田】簡単に言えば、年間で最低でも100万円単位の費用がかかります。   

>大学の年間授業料は国立で約55万円、私立で120万円くらい。   

>中学からすでに私立大と同じくらいの額がかかり、さらに制服、カバン、タブレット、留学費用など、パンフレットには書かれていない出費も多い。   

>驚きました(汗)。   

>【安田】そんなにかかるのですね(驚)。   

>さらに塾など受験準備のための出費も。   

>費用対効果を考えると、特に受験勉強をつらいと感じる子には、やはり無理をさせる必要はないのではと感じます。   

>僕はゲーム感覚で受験勉強に取り組めるタイプでつらくなかったのですが、塾には苦しそうな子たちもたくさんいました。   

>親として子供が本当にやりたいかどうかを確認し、つらそうであれば、機会費用の観点からも、やめさせてあげるのも一つの選択肢ですよね。   

 

そうですね。   

 

>【西田】安田さんが普通に「受験はつらくなかった」と言い切れるのがすごいと思いますけどね。   

>僕なんてつらくて仕方なかったですから。   

>流石です(笑)。   

>【安田】ところで、ここまで話してきて浮かび上がるのは、「学歴」が大きな意味を持つ日本の社会構造の問題です。   

 

日本語の文法には階称 (言葉遣い: hierarchy) というものがある。だから日本語を発想する場合には、‘上と見るか・下と見るか’ の世俗的な判断が欠かせない。上下判断 (序列判断) には、通常、勝負の成績が用いられる。近年では偏差値なども都合の良い資料として利用されている。だから難関出身者たちが社会で幅を利かせている。わが国が学歴社会であるというのも、実は序列社会の言い換えに過ぎない。だから、わが国の学歴社会は学問の発展には何ら貢献していないことを知っている必要がある。 順位の比較は没個性的でなくてはならない。だから、序列競争の励みは個性の育成にはならない。     

 

>「どこの大学を卒業したか」が重要視される日本の学歴に対する捉え方が、中学受験の過熱の背景にある。   

>【西田】日本では大学の名前が社会に出た際の重要な指標になりがちです。   

>一方で修士や博士といった高等教育への関心が極めて低く、この点がアメリカのみならず世界と大きく違う点です。   

 

マッカーサ元帥は1951年5月5日の上院合同委員会で日本人を以下のように評していました。  

‘もしアングロ・サクソンが人間としての発達という点で、科学とか芸術とか文化において、まあ45歳であるとすれば、ドイツ人もまったく同じくらいでした。しかし日本人は、時間的には古くからいる人々なのですが、指導を受けるべき状態にありました。近代文明の尺度で測れば、我々が45歳で、成熟した年齢であるのに比べると、12歳の少年といったところ like a boy of twelve でしょう。 

指導を受ける時期というのはどこでもそうですが、日本人は新しい模範とか新しい考え方を受け入れやすかった。あそこでは、基本になる考えを植え付けることができます。日本人は、まだ生まれたばかりの、柔軟で、新しい考え方を受け入れることができる状態に近かったのです。’ (ジョン・ダワー 増補版 敗北を抱きしめて )  

マ元帥の発言はどの駐日大使のものよりも率直でしたね。外交辞令がない。彼は知日派の人であった。だが、日本人は彼が考えるような知恵遅れの民族ではない。日本語文法には時制 (tense) というものが無いのである。待てど暮らせど非現実 (考え・哲学) を搭載する構文は日本人の口からは出て来ない。これが英米人の子供と違う所である。 

 

>【安田】それは今日、僕が最も伝えたかったポイントでもあるんですよ。   

>例えば、自民党の総裁選で、関東学院大学に付属小学校から上がった小泉進次郎さんが、コロンビア大学に留学したことを「学歴ロンダリングではないか」と捉える意見など、各候補者の学歴が話題になりました。   

>そのとき、世の中で注目される切り口は「どの大学に行ったか」「留学先はどこか」といったものばかりでした。   

>新卒一括採用のせいで卒業大学が重視される   

>【西田】そもそも政治家という職業は、専門性が問われる仕事ではないことが理解されていない、ということもありそうです。   

>もちろん、長年の経験を通じて専門性を高めることは期待されますが、多様な背景の国民の代表として選ばれるという性質上、政治家は試験を通じて専門性を問われる官僚とは異なる役割を持っています。  

>政治家を学歴だけで評価するべきではありません。   

>例えば、田中角栄は尋常小学校卒ですが、名総理として評価されています。   

>【安田】それなのに、なぜ政治家の「学歴」が話題になるのか。   

 

学歴が政治家の品定めに使われていますね。政治哲学を理解するでは難しすぎますから。      

 

>そのこと自体に、日本ならではの「学歴観」がよく表されているように感じます。   

>どこの大学を卒業したかは確かに重要な情報の一つではありますが、それよりも大事なのは「何を学んだか」「どれだけ深く専門知識を積み上げたか」という視点であるはずです。   

 

そうですね。   

 

>【西田】本当にそうですよね。   

>公共政策ならこの大学、経済学ならあの大学、というように、分野ごとに強みを持つ大学があり、本来の「学歴」の価値とは、その中で修士や博士の学位を取得するところにあります。   

>ですが、日本ではまだ学部卒の学歴が強調されすぎています。   

>「学部卒」はグローバルな基準で見ると、「低学歴」とさえ見做されることも多いのですが。   

 

日本はおいて行かれますね。   

 

>【安田】その点は日本社会として、もう少し見直していく必要がある問題だと私も感じてきました。   

>日本の学歴観と海外の学歴観の違いは、経済学でよく使われる「シグナリング」と「人的資本」という2つの理論で説明するとわかりやすいかもしれません。   

>シグナリング理論は1970年代に経済学者マイケル・スペンスが提唱したもので、学歴や資格などがその人の能力を示す「シグナル」として機能する、というものです。   

>企業は労働者の実際の生産性や能力を雇用の際に完全には知ることができませんから、採用の際の不確実性を減らすため、学歴を「この人は一定の水準の能力を持っている」という指標に使う。   

>対して、同じく経済学者のゲイリー・ベッカーが提唱したのが「人的資本理論」です。   

>教育やトレーニングを通じて個人の知識やスキルを「人的資本」として蓄積し、それが生産性や所得に直接的な影響を与えるという考え方です。   

>日本で根強い学歴観といえば、「大学受験を突破することで、その人の能力の証明とする」という前者の「シグナリング」のほうですよね。   

 

我が国では難関出身者が信頼されていますね。   

 

>【西田】付け加えると、スペンスの言う「学歴のシグナル」が日本で重視される背景には、日本の労働市場や新卒一括採用という雇用の構造があると言えるでしょう。   

>例えば、アメリカや中国などでも、仕事に必要なスキルを持つ人を個別に採用する「ジョブ型雇用」が一般的です。   

>一方、日本では新卒一括採用と仕事の範囲を定義しないメンバーシップ雇用が一般的で、一人ひとりの能力である「人的資本」を細かく評価せず、どの大学を卒業したかがわかりやすく重要視されがちです。

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---------- 西田 亮介(にしだ・りょうすけ) 日本大学危機管理学部教授/東京工業大学特任教授 1983年京都生まれ。   

>博士(政策・メディア)。   

>専門は社会学。   

>著書に『メディアと自民党』(角川新書、2016年度社会情報学会優秀文献賞)、『コロナ危機の社会学』(朝日新聞出版)、『ぶっちゃけ、誰が国を動かしているのか教えてください 17歳からの民主主義とメディアの授業』(日本実業出版社)ほか多数。   

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---------- 安田 洋祐(やすだ・ようすけ) 大阪大学経済学部教授 1980年東京生まれ。   

>専門は経済学。   

>ビジネスに経済学を活用するため2020年に株式会社エコノミクスデザインを共同で創業。   

>メディアを通した情報発信、政府の委員活動にも積極的に取り組む。   

>著書に『そのビジネス課題、最新の経済学で「すでに解決」しています。』(日経BP・共著)、監訳書に『ラディカル・マーケット 脱・私有財産の世紀』(東洋経済新報社)など。   

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