24日 増冨温泉
当初、24日の日帰り登山を考えていたのだが、韮崎から瑞牆山荘行きのバスの始発が遅くて、8時50分、これでは登山開始が10時半頃になってなので、ちょっと無理そう。それで、増冨温泉からの始発は同じ8時50分だけれども、着くのは9時7分とのことだから、なんとか9時15分ごろから登れるかなと思って増冨温泉に前泊することにしたのだった。しかし、最近の登山ブログを読むと、すごい人気らしくて、人出が多く、登る人と降りる人とで渋滞して時間がかかったと書かれていた。さてはて、最終バスに間に合うかしら?
ともあれ、24日の午後に家を出て、韮崎から増冨温泉行のバスで、増冨温泉の湯治宿に前泊。リーダーがgotoトラベルで交通費も割引になるようにとある観光会社に依頼したのだが、結局既成のパック旅行以外は交通費込みにはならず、宿泊費が割り引かれて、地域割引クーポンが頂けただけだった。
地域割引クーポンが韮崎駅の売店で使えるかなとお聞きしたら使えず、市が運営しているビルの中の売店なら使えるとのことで、バスの待時間に下見しておいた。駅前の銀杏はすっかり黄色くなっていた。ちょっと寒い。
駅のホームからも富士山が見えていたが、ロータリーからもよく見えていた。この間よりも雪は少ないみたい。
ホームから見えた観音様
夕暮れの道をバスは進み、増冨温泉についたときはとっぷりと暮れて、数件の旅館の明かりだけが見えていて、その辺の紅葉具合は分からなかった。
地図ではバス停から少し先かなと思っていた宿は、少し歩いて橋を渡ったところにあって、結構車も止まっていた。もう食事時間のためか受付には誰もいなかったが、玄関前と靴入れには、ちゃんと予約者の名前が貼ってあった。
それで靴を脱いでいる間に、旅館の方が見えて、手続きを済ませた。観光会社にお金は払ってあるので、宿泊名簿を出すだけだった。
部屋は4階の川に面した場所で、川の音が結構響く。電気炬燵が置かれていたが、それだけでは肌寒いのでサンルームに置かれていた石油ストーブを付けた。石油の匂いが苦手なのだが、結構消臭力が強いみたいで、消した時も耐えられる範囲だったので、助かった。換気のために少し窓を透かせたが、その分川の音も強くなる。
まあ、相当に年季の入った温泉旅館で、ウォシュレットは和式トイレに置いた形のものだったし、手洗いの水栓は使えなくなって、部屋を横切って、サンルームの洗面で洗うしかなかった。洗面は湯治客用に洗濯もできるように深いステンレス製で、下にたらいが置かれていた。
お茶をいただいていたら、食事が運ばれた。ここは全部部屋食だそうだ。もう普通は食事が終わるころの時間なので、後にしてもらうのも悪いかなと思って、先に出していただいたが、まずは温泉にと思って、そのままお風呂場に移動。
2種類のお風呂は夜と朝とで男女入れ替えになるそうだった。女湯は、黄土色の温泉と、普通のお湯が貼られた二つがあって、温泉がラジウム温泉なのだが、入ったら冷たくて驚いた。以前日帰り入浴の増冨の湯に行ったときに源泉が28度くらいだったかしら、水風呂のようだったのだが、そこは温めた温泉もあったように思うが、こちらは一つだけ。5秒ほどで出て、すぐ隣の上がり湯と書かれた浴槽につかった。こちらは少し熱いくらい。それからせっかくだからと、もう一度温泉の方に入ったが、30秒くらいでまた出て、上がり湯の方に移って出た。冷たいふろと温かいふろで、体は温まったみたい。
それから食事をいただいたのだが、食べている途中で、どうもせっかくのエビフライを落としてしまっていたらしい。なんだかおかずが足りないと感じていたが、食事を終わらせて、片づけているときに、エビフライ、一口だけ食べたものが畳の上に落ちてつぶれていた。さすがに食べられませんね。がっかり。
畳にフライの油がしみてしまっていたのは一生懸命にアルコールティッシュでふき取ったが、取れなかった。申し訳ありません。
夜は川の音がうるさいくて、あまり十分に寝られなかった。何しろ、谷川で、小さな滝のようになった沢の流れでかなりの轟音なのだ。昔、家族スキーに出かけた八方尾根でも、近くのせせらぎの音で寝られなかったことを思い出した。何か睡眠誘導剤を持ってくればよかった。
バスの時間を待っていたら、最終バスに間に合わないかもしれないと、宿の方に、早朝6時半にタクシーを呼べるかどうかお聞きしたら、調べてくださったが、バスで17分のところが送迎料金込みで6600円とか。韮崎から来るらしい。ちょっと高すぎるけど、やむをえないと頼むことにしたのだが、貧乏旅行を感じて気の毒になったのか、その話を聞いた宿の社長が送ってくださることになって、タクシーはキャンセルした。助かりました。歩くとだいぶかかるらしいし。
25日瑞牆山登山
早朝の増冨温泉の本谷川(下流は通仙狭)
このあたりの紅葉はもう少し先の様子
朝5時には起きて準備を始めた。温泉は朝6時からだけれども、あわただしいから入らず、小さなドーナツひとつ頂き、時間を見てロビーに。昨夜はよく見なかったが、ソファーとかも置かれて、くつろげそう。新聞も置かれていた。
朝食もおにぎりにしてくださって、最初は夜のうちに渡すと言われたが、当日握ってくださったらしく温かかった。
増冨温泉から瑞牆山荘までの道路は、瑞牆山荘行きのバス道路とは異なり、奥入瀬渓谷を思い出させる渓流沿いの道で、歩いても気持ちよさそうだったが、熊の巣が近くて、熊はよく出るとのこと。罠にかかった熊がいても、よほど被害が出てからでないと、殺処分はできないそうで、麻酔を打って眠らせてから、山に放すのだそうだ。社長は猟友会の法被を着てらっしゃったので、猟師さんでもあるのかしらね。3回も熊が出たからって、簡単に処分することはできないのですね。
くねくね道を進んでいくと、両側に車が駐車していて、こんなに!というくらい。まだ6時45分くらいだったけれど、駐車場も満杯らしい。すごいですね。
瑞牆山荘
社長さんにお礼を言って、大勢の団体さんが体操して列をなして出発していくのを見送って、私たちも登山道の方に向かった。6時50分ごろ。落ち葉がたくさん落ちていて、最初登山道から外れかけたが、すぐに修正して踏み跡のある道を進む。
最初は記憶通りに緩いミズナラの林を進むが、まもなく急な道に変わった。黄葉が多いが時々赤く染まった木々も見られる。私は最初からハアハアいうので、リーダーにあきれられる。多分少し空気が薄いのを感じてしまうのは、心臓の血管に脂がたまっているのかもしれない。すぐに息切れする。だんだん慣れるとは思うけれど。荷物が重すぎるのもある。今日は雨具の下は置いてきたけれど、相変わらず重い。
少し行くと里宮参道という標識が林道わきに建てられているが、私たちはまっすく登山道をたどる。
瑞牆自然公園の立て札
こんなに急だったかなと思いつつ、登ると、瑞牆山が一望できるベンチのおかれた展望地についた。
写真を撮って、またすぐに登りだす。水場が左手にあって、数人のハイカーが寄っていた。もしかしたら、富士見平のテント場を利用している人かもしれなかった。
少し登ると富士見平小屋が見えて、テント場もたくさんテントが張られていた。7時45分ごろ。
富士見平小屋
ここは日差しがあって、温かいので、宿でいただいたおにぎりを食べた。梅干しが入っただけのおにぎりが3個にたくあんがついている。昔ながらのおにぎりだった。とりあえず私は一つ半いただいた。梅干しが入っているから長持ちするだろう。もともと宿で朝食をいただくつもりだったので、おかずは昼用のゆで卵しか持って来ていなかったが。
手洗い場のつらら
トイレは、男女一つずつで、テント場の人たちもここを利用するしかないそうで、結構並んでいた。私も登山届を入れたりバッジを買った後で、トイレに並んだけれど、すでに6人くらい並んでしまって、リーダーに先にトイレに行くべきと注意された。確かにそうですね。腹巻もしていたけれど、冷えてしまったのだ。手先の開いた手袋で登っていたら、手がかじかんでしまって、手先のある手袋にしようと思って、薄手のものは荷物軽くしようとして出してしまって、冬用の厚手のものしかなかったので、それにはめかえた。でも岩場に行くまではその手袋で十分なほど空気は冷たかった。
20分くらいはかかってしまって、富士見平小屋の裏側の日陰の道を歩く8時過ぎ。しばらくは瑞牆山が樹間から見える。結構石がゴロゴロした道でアップダウン3~4回あって、帰りはこれを登らないとならないのね、と話しながら歩く。やっと最後の下りになって、やっと天鳥川の出合いについた。そこはちょっと日が差している。8時半ごろかしら。写真も撮っていないみたい。
やや水量は多めだけれど、無事に通過。一休みもせずに桃太郎岩につく。
写真だけ取って、横の階段を上る。
それから岩の多い道を登るが、すでに降りてくる人たちがいらした。テント泊の方とか、朝3時ごろから登った方とか。。。
横の水の流れを見ながらも濡れた岩場の道をたどるとだんだんに水が見えなくなり、シャクナゲが増える。シャクナゲの間の岩場を登っていく.
途中でストックは邪魔になり、たたんでしまった。ストック使わないとザックの重みをもろに感じてしまった。
大きい岩がいくつかあり、大やすり岩が見えて来て、また見えなくなり、しばらく登ると大やすり岩の横に出た。途中につららが下がった岩があった。
昔はロープだけだったところにも鎖が貼られるようになっていて、かえって渋滞するのかなとも感じた。まあ、私たちには役に立ちましたが。何しろ大荷物が邪魔で、体が持ち上がらずに、後ろの方に押していただいたりもした。やっぱり荷物は小さめにしないとね。私もリーダーに2度ほど引っ張り上げていただいた。一人では登り切れなかったかもしれない。
そんな登山道だが、中には、たったこれだけ?というほどの小さなザック(トレランの人なのかも)の女性も見かけた。子連れも多かった。まあ、小学生くらいだったけれど。
大やすり岩のところは少し日が当たっていて、振り返ると富士山も見えて、下の方の紅葉も見られた。ただ混み合っているし、帰りのバスも気になるので、頂上を急ぐ。相変わらずの岩の道がさらに続いたが、やっと平らになり、回り込むと頂上への大岩のところに来た。左側から行けたと思ったが、そばにいた方から、氷が張っていて滑るから、右の鎖伝いの方がよいと言われて、交代で登った。足がかりがあるので、それほど鎖に頼らなくても大丈夫。
その上をちょこっと?登れば頂上だった。10時40分。
八ヶ岳方面、人を避けようとしてぶれてしまった。岩稜がくっきり見えていたのにね。
金峰山方面
紅葉の山並み
大方4時間かかってしまった。快晴で、富士山もくっきり。大展望だ。近くは金峰山。富士山、南アルプスは雪をかぶっている。右手は八ヶ岳のギザギザの頂が日にあたってはっきり見える。北側は新潟方面かしらね。ちょっとだけ雪がかぶっていた。
写真を撮って、私は展望の良いところで、インスタント麺とおにぎりの残り位食べようと思っていたのだが、混んでいるので帰りの時間がかかるのを気になさったリーダーは降りる!と言って、どんどん降りてしまうので、食べずに降りた。11時頃。途中でゆっくり食べられそうなのは大やすり岩のあたりかな?
不動滝への分岐 ちょっと行ってみたい気もしたが沢を下るし、距離も長いというので、計画しなかった。
岩の間を滑り台のように滑り降りたりしながら、大やすり岩のところに出たが、狭いし人もいるので、お菓子休憩だけ。おなかが空いては馬力が出ないので、ようかんとかお菓子で一休み。休憩取らないとケガも増えるし。お昼にありつくのは天鳥川出会いのベンチのところかしら。
岩の上で、ロッククライマーが休憩している。
大岩の間を縫うようにして、慎重に降りるが、途中何回か転びかける。指先のない手袋はよくなかったです。幸いケガはなかったですが、ざらざらの岩をつかむと痛かった。
この岩登り(岩下り)病みつきになる人もいるんだろうなと思った。若者ははるかに速いスピードで登りおりしている。
私も10年まえに登っているけれど、これほど大変には思わなかった気がする。10年の年月に体力確実に落ちていることを感じた。
シャクナゲの道を下りて大岩の横の階段を下りて、天鳥川出会いについた。日当たりの良い河原で遊んでいるグループがいらした。いいな!
ベンチがいっぱいだったので、河原に近い岩に座って、カップ麺とおにぎりの残りを食べた。持参したゆで卵の皮をとって、塩をつけて食べた。河原で遊んでいたグループも引き上げて、若い男性軍が水で遊んでいたのも引き上げ、私たちも出発。さあ、また、あのアップダウンの道をたどらないと。もう1時半は過ぎていたので、うっかりすると、バスに間に合わなくなるかも。ということで、相変わらず、私たちなりのスピードを落とさずに歩く。
富士見平小屋には時間通り2時ごろ到着。ちょっと飲み物休憩。空いていたのでトイレもお借りする。
トイレ前のマユミの大木に鈴なりに実がなっていた。
すぐに出発して、紅葉の見事なミズナラ林を下り続ける。途中枯葉に足をとられてリーダーが転んだりなさったが、頭を地面に打った(岩にはぶつけていなくて)とのことだが、大したことはなさそうで、そのまま下山。落ち葉の下に何があるか分からないので、慎重に歩く。
展望地の先からの紅葉
平らになってきて、向こうの方に自動車の車体が光って見えるようになり、瑞牆山荘の前に出た。2時50分ごろかしら。休憩入れて8時間かかりました。早く出ていてよかったですし、リーダーにせかされて正解でした。
バスの時間を確かめにバス停に出たら、もう人が並んでいたので、最後部に荷物を置いた。まあ座れそうな順番だ。私は山荘のソフトクリームのしるしにつられて、売店に行って、ソフトクリームを2個注文。両手に抱えて戻ると、バス会社の人が行先を確認して、整理券を渡してくれた。ソフトクリームを食べきらないうちに、前の方の人から、青いバスに乗るように指示されて、乗り込んだ。補助席は使わずに、満員で締め切られて、バスは予定より早く3時に出発。窓は開いていなかったが、若者たちはちゃんとマスクをしていたので、大丈夫だろう。
最初の瑞牆リーゼンロッジのあたりまでは、周囲を見ていたのだが、その後は熟睡してしまって、「韮崎だ」と、リーダーに起こされた。
駅の電車の時刻表を確認したら、特急あずさの次に、ホリデー快速ビューやまなし、というのがあって、指定券いるのかなと思って、駅員さんにお聞きしたら、なんと自由席なら無料というので、それに乗ることにして、地域割引クーポンの使える、道路の向こう側の売店に行った。今日中に使わないと無効になるというが、時間もないので、信玄餅ばかりで券を全部使いきって、双方のお土産にした。
八ヶ岳方面がホームからも見えた。
幸い電車は空席があって、座れた。途中駅から乗る人も少なめで、ザックをどかす必要もなく、乗り換えもなく新宿まで直行できた。途中でコンパスクラブに下山通知を出した。忘れると捜索されてしまいますものね。新宿でリーダーの乗換ホームを確認してから、私は最寄りの京王線に出た。
無事に帰れてよかったです。