16日の夕方8時ごろ、宿に何とか入ることができた。8時までには入館するようにとのことだったので、ほっとした。外は涼しかったが、宿の玄関のところはちょっと暑い。
一階は涼しかったのだが、案内されたのは2階で、結構蒸し暑い。しかし扇風機もなく、うちわは車に置いてきてしまった。2食分のお弁当を注文していたのだが、それも用意されていて、受け取る。
網戸からは若干涼しい風が入っては来るのだが、風が通らない。
運転する方が戻っていらっしゃるのを待って、入浴。お風呂は10時までとのこと。やっとさっぱりすることができた。
それからビールなどでくつろぐが、周りは早朝出発の方もいらっしゃるのか、静か。たまにいびきも聞こえてくる。
私は秋に厳剛新道登山に参加できなかった方を案内する予定で登山計画書も用意して来たのだったが、あまりの暑さに、あの結構ハードな樹林帯と鎖場を抜けてからのかんかん照りの危険を伴う岩場を1時間半も歩くことを考えると、自分の体調が持つか心配になってしまった。その方、保険をかけてきていないというし。
その方、本当は行きたかったと思うが、どちらでも良いとおっしゃったので、厳剛新道はやめにした。
夜、蒸し暑さと水の音(くみ上げた水なのか分からないがずーっと水の音がしていた)、駅のすぐ上で、深夜にも夜行列車なのか、列車の音がしたり、駐車場で若者の一団がうるさかったり、やっと眠れたと思ったら、早朝出発組の女の子たちがうるさかったり(まあ、これは私たちも11時ごろまではうるさかったので人のことは言えないが)、ともかく眠れず、ほかの女性も同様のようすだった。
男性群は駐車場や線路と反対側の部屋だったから、いくらかはましだったかもしれない。
眠れないま4時になってしまって、さすがにこの時間帯は涼しい。起きて厳剛に行こうかしら?とふと思ったが、男性群は寝ているみたいだった。6時半には山の上に日が当たり始め、暑さを予想させる。何しろこのところ、水上あたりは東京よりも1、2度くらい高めの気温だったのだ。
私はチームとして熱中症とか、落伍者を出さないようにと思い、凍った水を発泡スチロールに詰めて、新聞に包み、さらに保冷パックに入れて持参した。ホテルなどと違って冷蔵庫などはないと思ったから。自分用にも別に凍らせたものを持ってきた。しかし、要らないと連絡をくださっていた方もいらして(私はそのメールに気が付かなかったのだが)、私は完全に凍った水を結局3本持って登った。おかげで私は最後まで氷の入った冷たい水を摂ることができて、助かった。まあ、それがなくても、誰も熱中症にはならなかったようだが。その重さの分、車には負担をかけてしまったのかもしれない。
朝6時40分に送迎のマイクロバスが出るというので、玄関前に集合し、ロープウェイ駅に行く。ロープウェイ駅までは歩いても15分程度だというが、車に乗せておくつもりだった荷物も持って歩かないとならなかったので、遠慮なく利用させて頂いた。
7時始発で、ブログに6時半に乗れたというのは山開きの日の特例だったのかもしれない。既にかなりの人の列だったが、改札は7時ちょうどだった。宿で割引券を頂いたので、往復のロープウェイ代金も安くついた。
ブログにリフトで天神峠に出た方が景色が良いというので、400円を払ってリフトに乗る。スキー場のあたりは草花の咲き乱れる草原となっていて、東富士演習場を思い出した。ニッコウキスゲが咲いているところが違ったけど。
リフトからの植物 シモツケソウ トリアシショウマ クルマユリ
このニッコウキスゲは植栽されたものなのかしら?と話ながら乗る。さわやかな風が吹きわたり気持ちが良い。
リフトをおりると、谷川岳の双耳峰が夏の青空の中に見渡せる。写真を撮って進むと岩場があり、そこからの方が景色がさらに良くて、よく知った人たちはそちらで記念撮影をなさっていた。
道々の花もきれい。ヨツバヒヨドリとかトリアシショウマ、ニッコウキスゲとか。しばらくすると樹林帯の中のごつごつした石の多い急な下りが続き、慎重に下りたら30分くらいかかった。秋に来た時、観光客がこちらを歩いていたが、登りきったのかしら?
ロープウェイ駅からの道との合流点で、運転してくださった方は宿舎の方にロードサービスのために待機するというので戻られ、私たちは熊穴沢の避難小屋を目指した。下りがあり、帰りは登らないとならないのねと話す。
←木々の間から見えるマチガ沢の雪渓
避難小屋に着いたが、中はアブがいるし、窓は開けられないので、蒸し暑いから外で休憩。水分補給は30分に一回程度は取った。
避難小屋を出ると、はるか向こうまで木々の間の登山道を人々が延々と登っているのが見える。結構急だ。
前に帰りに通った時は、ロープウェイの最終便に間に合わなくなると困るということで皆必死に歩いて下りだったこともあり、あまり印象がなかったのだ。取ってつけたような鎖場もあるが、ほとんどは鎖やロープを使わずに登れる。しかし、蒸し暑いしまだ樹林帯だというのに汗びっしょり。
ところどころの大きな岩のところでは人々が岩の上で休んでいたが、暑そう。風が通るのかもしれない。
天狗の留り場に着く。ナナカマドの木が目印だ。
さらに暑さに喘ぎながら、天神ザンゲ岩に着く。女の子の軽装の一団が、ペットボトル一本だけで登っていて、あきれてしまう。肩の小屋で何か買えるよねと言いながら、頑張って登ると言っていた。かなり無謀だ。
雪渓が見え、肩の小屋のあたりの鉄塔が見えてきた。しかしそのあたりもまだ10時前だというのに、日差しは強く暑い。時折吹く風は雪渓の涼しさを運んでくるが。
ジョウシュウオニアザミ ニッコウキスゲ モウセンゴケ
しばらく行くと、雪渓から流れ出た水が小さなせせらぎとなって足元を濡らしていた。水たまりの水がいくらか冷たいので、タオルを浸して、首に巻いた。
そこから雪渓の横の方(ちょっと離れていて、ロープが張られていたがそばに行く人も見られた)の階段状の広場を淡々と歩くと、ひょっこり肩の小屋の前に出た。万太郎山方面の斜面にはニッコウキスゲが咲いているのが見渡せた。自生しているのですね。
まだトイレが並んでいなかったので、私たち女性二人はトイレに寄ったが、その間に遅れてきたメンバーは男性の目の前を素通りしてそのままトマの耳へと向かってしまったらしい。
私は慌てて追いかけたのだが、ごろごろ石の続く人の連なる登山道ではなかなか追いつけなかった。やっと相手が気づいてくれて、トマの耳に着いた。間もなく、ほかの二人も追いつき、順番待ちして記念撮影。何しろ狭い頂上にハイカーがひしめいているのだった。
肩の小屋広場あたりのお花畑を行くハイカー
トマの耳 どこのどなたか、後ろ姿が映りました。 三角点 マチガ沢雪渓
山頂からの眺望も素晴らしかったが、遠くの山々は残念ながら少しかすんでいた。山頂あたりにはウスユキソウ、ニッコウキスゲ、オンタデ?ヨツバシオガマ、ヒメイワカガミなどの花が見られた。
オキの耳への登山道
ミネウスユキソウ(左上)とホソバウスユキソウ ハクサンフウロ
コメツツジ ハクサンシャクナゲ
そこからオキの耳までの道筋にも人々が列をなしていた。私たちもその一員に。道々終わりかけのコメツツジとか何種類かのウスユキソウ、ハクサンフウロの鮮やかなピンクの花、カラマツソウ、白山シャクナゲの小さめの花、ウラジロヨウラクの可憐なピンクの花などの他、頂上直下には高嶺バラなども見られた。左側の万太郎谷だろうか、草原の谷は誰かがブログでスイスアルプスのようだと表現していたが、私もまさに写真で見るアルプスの風情だなと見とれてしまった。
オキの耳も狭くて、下に戻り、その先の一の倉岳に続く道のノゾキの大分手前に少し広めの場所があったので、そこに縦に並ぶ形で座って昼食にした。上級者以外はノゾキの先は危険だから行かないようにと物の本には書かれている。確かに、このあたりでもうっかりリュックなど落としたら、どこまでも落ちて行きそう。人間もしかり。
ミヤマカラマツソウ ミヤマダイコンソウ
ウツボグサ ミズギク
タカネバラ ウラジオヨウラク ヨツバシオガマの群落
そのあたりからは、2本の雪渓がきれいに見える。左が一の倉沢と右がマチガ沢の雪渓のようだ。
11時半だった。新潟側から吹き上げてくる風が冷たくひんやり。しばらくすると霧も吹きあげてきて、新潟側は何も見えなくなった。私たちは2食目のおにぎり弁当を頂いた。おかずのピーナツ味噌が甘くておいしい。あまり疲れで食欲がなかったので、チーズとチーカマは食べなかったがきゅうりの漬物はいただいた。疲れていたせいか、朝ほどしょっぱく感じなかった。おにぎり2個は多いかなと思ったが、体力消耗してはいけないので、普段よりはよく噛んで2個とも頂いた。お腹は重くなったが、リュックは水もたくさん飲んだので、少し軽くなった。
面白かったのは目の前に広がるお花畑に虫がたくさん群がっていて、弁当にたかりに来たら嫌だなと思ったのだが、彼らは花の蜜に夢中で、こちらには見向きもしなかったこと。赤とんぼや蝶がたくさん狭い尾根に飛び交っていて、こんなに高い(と言っても2千メートルないのだけれど)のに、すごいなと思って見とれていた。
ノゾキ方面の岩場
霧や雷雨も予想されたので、レインウェアは外せなかったし、万一の救急用品などで、結構な重さだったから、肩と腰が痛くなりかけていた。ノゾキまで行って見たい気もしていたが、雷雨にでもなると困るから、急いで引き返した。
肩の小屋まで来るとまた日差しが強くなった。トイレ休憩を取り、下り始める。小屋でサイダーを買っている人がたくさんいた。コーヒーなどもお安いらしかったが、保険で帰りの交通費が出るのに時間制限がある。のんびりはできなかった。
下山道は人の列が続き、スピードは出せない。昼過ぎだが、登ってくる人もいるが小屋泊まりかしらね。まあ、速足だったら十分戻れるけれど。しかし一番暑い時間帯だし、午後はいつも雷の可能性がある。
あれだけ登ってきたので、下りもつらい。ちょっと高度が下がっただけで蒸し暑くなってきた。ごつごつした岩場が苦手な方もいて、時間がかかる。
一人ベテランの方が油断して滑って腰と腕を打った。岩場だったので心配したが歩くのには支障がなかったので良かった。
ここで、一人が用意なさった瞬間冷却剤をパンチしたら、確かに急に冷たくなって、しばらく冷やした。お持ちになった方もさっき突き指したとかで、自分のは大きすぎるとおっしゃるので、私が用意した小型のヒアロンをパンチしてみたが、なかなか冷えない。3回ほど思い切りよくパンチして、やっと冷えてきた。大きい方は1時間持つらしいが小型のは30分だけ。かさばるし、いつまでも当てていられないので、引き取って私は首に手ぬぐいでくるんで当てていたが、動くし、だんだん温まったので、リュックにしまった。もう少しうすべったいものができると良いですね。
瞬間冷却スプレーも熱中症対策にいろいろ出ているが、高圧ガスを使っているから40度以上のところには置かないようにと注意書きがある。それでリュックの中では熱くくなる可能性があるので、買わなかった次第だが、よその方を見ると持っていらっしゃる方もいらしたから大丈夫なのかな?
そんなこんなだったが、熊穴沢避難小屋にたどり着いた。長めの休憩をとり、再び出発。それからしばらく木陰ながらも、急な下りで渋滞していたり、登りがあったり、長い長い木道歩きがあったりして、やっとロープウェイ駅が見えてきた。最後の水を私は飲み干し(というか正確には氷が少し残っていたが)て、ロープウェイ駅で買えるだろうと思っていた。
昨年の紅葉の時期とは違って時間も早いし、広場のところにはそんなに列が何十にもなっていなかったので、想像していたよりは並んでいる人は少ないわと、思っていたが、かんかん照りの広場に来てみたら、長い列が冬場のスキーのレストランの方まで続いていて折り返していた。あーあ、1時間は待たないとならないみたい!しかし下りのルートを歩く元気はなく、列に加わった。
自販機が見えたので、友人が買いに行ってくれたのだが、そこは全く作動していなくて(節電のためかしらね)、友人が大回りして、ロープウェイ乗場の方に行ってくれたのだが、ほとんどが売り切れ。冷たいので残っていたというミルクティーの缶一つを持ってきてくれたので、みんなの空のペットボトルに分けた。暖かいコーヒーはまだ売れ残っていたらしいが。皆飲み物を買いたがっていたのに、我慢している人たちが大勢いたので、氷の箱に入れた飲み物を並んでいる横で売ったら、飛ぶように売れるはずだが、まったく販売意欲がないロープウェイ会社だなと、皆で話した。
レストランで手が洗えるという情報で、私たちは代わりばんこに手を洗いにいって、私は手ぬぐいを濡らして、首に巻きなおした。
後でそこの水は飲めるらしいという話をしている人がいたので、かわるがわる水を汲みに行った。実は後ろに並んでいたおじ様方がソフトクリームをおいしそうに召し上がっていて、私たちは横目でうらやましく見ていた。
男性がなかなか帰ってこないので、どうしちゃったのかしら?と皆でいろいろ想像をたくましくしていたのだが、まさかソフトクリームを人数分買ってくるなんてありえないよね、と私は話したのだが、しばらくしたら、その方がソフトクリームを4本かかえて、歩いていらっしゃるのが見えた。ウァーォ!奇跡?!
ありがとうございます。ソフトクリームを遠慮なくいただきました。冷たくてお味もおいしかった。
入道雲 すっかり雲に覆われて谷川岳頂上付近
そうこうするうちに思ったよりは順調に進んで1時間はかからないでロープウェイに乗ることができた。
バスの発車時間をみて、しばらく時間があり、更衣室もあったのに、疲れすぎていたせいか、着替えることも思いつかず、バスのところに並んで待った。時間になってバスが来て、無事に座ることができた。このバス、手を上げたり、あらかじめ言っておくと希望のところに止まっていただけるとのこと。私たちは終点の上毛高原に出た。私は間もなく熟睡。
上毛高原では、新幹線の一番早く来る列車に乗ることにした。どこか温泉に入りたかったが、想定外でバスの時間とか日帰り温泉とか調べていなかったので、直行することにした。弁当屋は見あたらず、売店にもおにぎりとかサンドイッチとかは売り切れ。
新幹線たにがわでは、売店でだるま弁当を販売していると放送があった。それで皆の注文を取りまとめている間に売り切れ。なんとたった10個しかなかったという。それなら10個限りを放送すればよいのに。思わず強い口調で抗議したが、若い販売員が一人で責任を持たされているらしい。車掌は、車内販売は販売店にお任せでタッチしていないのだそうだ。何かあきれてしまった。10個では近くの車両の人しか買えない。高崎駅に止まるのだから、電話注文して、高崎で積み込めばいいのにね。こちらもまったく営業力のない会社だ。
新幹線で熟睡しようと思っていたが、結局眠れず、あっという間に東京駅へ。あまりの暑さに食事して帰るのも面倒になり、皆自宅に直行することになった。
私と友人は最寄駅で半額寿司弁当を買って帰った。
帰宅して、それらを食べ、シャワーを浴びたら、もう一度風呂を沸かして入りなおそうという気力もなく、ブログもかけずに、速攻で寝てしまった。
どうしたら山の前の日に寝られるようになるのかしら?困った問題だ。