企業のコンプライアンス状況を重視する通関制度が整備されるとともに、関税法における加算税制度が定着期を迎えています。が、企業の意識がその動きに対応しているのか、少し気になっています。
輸入者にとって、税関による税務調査(事後調査)はそれなりに身構えて迎えることですが、上場企業のような輸入者では、① 輸入取引きの契約担当 ②輸出者から送付されたインボイスにより通関業者に輸入通関を依頼する担当 ③ 輸出者との間の決済をおこなう経理担当 がそれぞれ異なることや、どれかの担当が異なることはまま有ります。
事例1
どのような申告をして通関したかは税関の調査官は承知していますから、税務調査では経理帳票や契約書などの取引書類とでそごが無いかは、調査のイロハです。
調査で、インボイス金額より決済金額が多額であることが見つかったとします。つまり、外形的には過少申告ですので、一般的な従価税率品なら当初納税額は過少になっています。
このように、当然一致しているはずのインボイスと決済額が違うのは異常なことで、そこには何か事情があるはずですが、この事情には色んなケースがあります。
輸入後に為替や相場の変動で輸出入者が話合って決済額をアップしたということもあるでしょうし、輸出者が本当に間違ってインボイスを低価で送ってきたので、通関担当が何もチェックせずに通関にまわして、経理はインボイスをチェックせずに輸出者が請求してきた額で決済したというような、社内の内部管理ができてないようなことがあるかもしれません。
もし、輸入契約100、輸入インボイス・通関80、決済100という事実が明らかになった場合、税関から低価申告で重加算税の対象と指摘されたとすると、輸入者の一義的な反応は「悪気は無いのに!」と言うものではないでしょうか?
おさらいをすると、関税法第12条の4 では、「隠ぺい又は仮装し・・に基づいて納税申告していたときは・・・重加算税を課す」と規定しています。
つまり、何らかの仮装・隠ぺいが有ることが前提ですが、先ほどの事例のように80のインボイスで通関した事実は、契約・決済100であるにも係わらず、関税定率法第4条の課税価格算出のために提出している現実支払価格を証明するインボイスの内容を仮装したと認定されると考えられます。
もし、悪気があれば立派な脱税を意図した行為ですから弁護の余地はありません。
ただし、悪気がなければ免罪符になってペナルテイは無いと考えるのは甘い発想といわれる余地がありそうです。また、悪気は無いことをどのように立証するのでしょうか?
事例のようなことがあれば、いち早く、その原因を突き止め改善策を講じて再発防止策を実施することを税関に説明して理解を得ることが重要と考えられますが、多くの企業は、このような動きをしないのではないでしょうか?
例は違うかもしれませんが、私たちが悪気はなしにスピード違反をしたり、一時停止をせずの時に、ついうっかりとか、悪気は無かったとか、急いでいたということは免罪符にはならないですが、業務として輸入をしている企業なら、今回のような事例が生じないよう明確な業務手順により社内管理を徹底しておくことが必要です。
よく息子から、謝って済んだら警察いらんなんて言われましたが、悪気はないということを免罪符にするのはコンプライアンス重視の社会では通用しないと思っておいたほうがよさそうです。
なお、先の事例は、悪気は無かったとしても、関税法116条の重過失による虚偽申告罪として行政処分の対象になることもありえますが、このことは次号で取上げる予定です。
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写真は、デトロイトのGM本社ビルです。
輸入者にとって、税関による税務調査(事後調査)はそれなりに身構えて迎えることですが、上場企業のような輸入者では、① 輸入取引きの契約担当 ②輸出者から送付されたインボイスにより通関業者に輸入通関を依頼する担当 ③ 輸出者との間の決済をおこなう経理担当 がそれぞれ異なることや、どれかの担当が異なることはまま有ります。
事例1
どのような申告をして通関したかは税関の調査官は承知していますから、税務調査では経理帳票や契約書などの取引書類とでそごが無いかは、調査のイロハです。
調査で、インボイス金額より決済金額が多額であることが見つかったとします。つまり、外形的には過少申告ですので、一般的な従価税率品なら当初納税額は過少になっています。
このように、当然一致しているはずのインボイスと決済額が違うのは異常なことで、そこには何か事情があるはずですが、この事情には色んなケースがあります。
輸入後に為替や相場の変動で輸出入者が話合って決済額をアップしたということもあるでしょうし、輸出者が本当に間違ってインボイスを低価で送ってきたので、通関担当が何もチェックせずに通関にまわして、経理はインボイスをチェックせずに輸出者が請求してきた額で決済したというような、社内の内部管理ができてないようなことがあるかもしれません。
もし、輸入契約100、輸入インボイス・通関80、決済100という事実が明らかになった場合、税関から低価申告で重加算税の対象と指摘されたとすると、輸入者の一義的な反応は「悪気は無いのに!」と言うものではないでしょうか?
おさらいをすると、関税法第12条の4 では、「隠ぺい又は仮装し・・に基づいて納税申告していたときは・・・重加算税を課す」と規定しています。
つまり、何らかの仮装・隠ぺいが有ることが前提ですが、先ほどの事例のように80のインボイスで通関した事実は、契約・決済100であるにも係わらず、関税定率法第4条の課税価格算出のために提出している現実支払価格を証明するインボイスの内容を仮装したと認定されると考えられます。
もし、悪気があれば立派な脱税を意図した行為ですから弁護の余地はありません。
ただし、悪気がなければ免罪符になってペナルテイは無いと考えるのは甘い発想といわれる余地がありそうです。また、悪気は無いことをどのように立証するのでしょうか?
事例のようなことがあれば、いち早く、その原因を突き止め改善策を講じて再発防止策を実施することを税関に説明して理解を得ることが重要と考えられますが、多くの企業は、このような動きをしないのではないでしょうか?
例は違うかもしれませんが、私たちが悪気はなしにスピード違反をしたり、一時停止をせずの時に、ついうっかりとか、悪気は無かったとか、急いでいたということは免罪符にはならないですが、業務として輸入をしている企業なら、今回のような事例が生じないよう明確な業務手順により社内管理を徹底しておくことが必要です。
よく息子から、謝って済んだら警察いらんなんて言われましたが、悪気はないということを免罪符にするのはコンプライアンス重視の社会では通用しないと思っておいたほうがよさそうです。
なお、先の事例は、悪気は無かったとしても、関税法116条の重過失による虚偽申告罪として行政処分の対象になることもありえますが、このことは次号で取上げる予定です。
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写真は、デトロイトのGM本社ビルです。
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