母
僕は非売品のレコードを持っている。恩師の山田耕筰先生の肉声モノローグの他に2曲収められている。1曲は有名な「からたちの花、」それにこれぞ先生の最高傑作の歌曲「バラの花に心を込めて」が収められている。
このレコードは先生ご自身の最後の指揮によって作られたそうな。
山田耕筰と言うと我々小中学生のころは、音楽室に行くと世界の有名な作曲家の写真と同じように、先生の写真を見ることができた。
僕はご縁があって山田先生の下で、2年間勉強させていただいた。作曲家だから音楽を習うと思うのが普通だが、そんなテクニック的な事はほとんど教わらなかった。
哲学や宗教の分野だと思うが、歌が依拠してきたるところ、すなわち人の心と歌の関係などをよく話された。
先生の教えによると、歌の原点は霊的なもので、魂の法悦境までその境地は引きあげられなくてはならない。すなわち歌作りの原点はそのあたりにあり、そーゆー事を心がけて作曲する必要があるというのである。
この次元の話になると、教科書的な話ではなく、哲学や宗教に関心を持っていないとついていけない話である。先生はご自身コントロールがきかない暴れ馬だと言われたが、それは言葉上ではなく経験以上の話である。
そんなシッチャカメッチャカに思える先生もお母さんについては特別なものを持っておられた。暴れ馬の故郷は母だったのである。それが証拠にわずか1分ほどのモノローグの中に母と言う言葉が4回も出てくる。先生の心が休まる故郷は先生を産み育てられたお母さんだったのである。
わずか1分間の話の中に4回も母を登場させると言うのは、単なる母への追慕だけでは無い。先生にとってお母さんは神様だったのだ。
>
僕は非売品のレコードを持っている。恩師の山田耕筰先生の肉声モノローグの他に2曲収められている。1曲は有名な「からたちの花、」それにこれぞ先生の最高傑作の歌曲「バラの花に心を込めて」が収められている。
このレコードは先生ご自身の最後の指揮によって作られたそうな。
山田耕筰と言うと我々小中学生のころは、音楽室に行くと世界の有名な作曲家の写真と同じように、先生の写真を見ることができた。
僕はご縁があって山田先生の下で、2年間勉強させていただいた。作曲家だから音楽を習うと思うのが普通だが、そんなテクニック的な事はほとんど教わらなかった。
哲学や宗教の分野だと思うが、歌が依拠してきたるところ、すなわち人の心と歌の関係などをよく話された。
先生の教えによると、歌の原点は霊的なもので、魂の法悦境までその境地は引きあげられなくてはならない。すなわち歌作りの原点はそのあたりにあり、そーゆー事を心がけて作曲する必要があるというのである。
この次元の話になると、教科書的な話ではなく、哲学や宗教に関心を持っていないとついていけない話である。先生はご自身コントロールがきかない暴れ馬だと言われたが、それは言葉上ではなく経験以上の話である。
そんなシッチャカメッチャカに思える先生もお母さんについては特別なものを持っておられた。暴れ馬の故郷は母だったのである。それが証拠にわずか1分ほどのモノローグの中に母と言う言葉が4回も出てくる。先生の心が休まる故郷は先生を産み育てられたお母さんだったのである。
わずか1分間の話の中に4回も母を登場させると言うのは、単なる母への追慕だけでは無い。先生にとってお母さんは神様だったのだ。
>