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平成30年「1級建築士試験問題」ブログ解説 「No.4」

2018-11-05 09:40:22 | ビジネス・教育学習
◇今年(平成30年)の「1級建築士試験・建築法規」の問題解説の続きです。
◇問題文については、公益財団法人 建築技術教育普及センターのH.P.をご参照ください。
◇参考までに、該当アドレスを下記に記載しますので、ご参照ください。
◇二級建築士試験、木造建築士試験と同様に、問題文と正答肢表が公開されています。

〔No.7 〕特殊建築物の内装制限に関する問題です。
正答 1
1.適合しない。令128条の4第1項三号、令115条の3第三号、令128条の5第3項:飲食店は法別表第1(4)に該当し(令115条の3第三号)、地階に設ける場
 合は、面積に関係なく内装制限の対象であり(令128条の4第1項三号)、令128条の5第3項に基づき、令128条の5第1項二号で、準不燃材料以上としてい
 るので、難燃材料では適合しない。
2.適合する。令128条の4第1項表、同2項、同3項、令115条の3第三号、令128条の5第4項:耐火建築物の物品販売業を営む店舗で内装制限の対象とな
 るのは3階以上の部分の合計が1,000㎡以上のものなので、2階建ての店舗は、その他の一般建築物での内装制限対象(令128条の4第2項、同3項)とな 
 り、その仕上げは、令128条の5第4項により、難燃材料で仕上げればよい。
3.適合する。令128条の4第2項かっこ書き、令115条の3第二号:図書館は、法別表1(3)項の学校等に該当し(令115条の3第二号)、内装制限の対象外と
 なる。難燃材料で、もちろん適合する。
4.適合する。令128条の4第1項表(1)項、令128条の5第1項一号:客席が400㎡以上の耐火建築物の劇場は、内装制限対象の特殊建築物であるが、2階建
 ての場合、居室の仕上げは難燃材料でよい。準不燃以上が要求されるのは、3階以上の居室の天井部分である。

講評:この問題の趣旨は、令128条の4第一号の表に該当する特殊建築物であるか否か、同二号、三号に該当する場合の内装制限の措置、学校等の用途
 の建築物への適用除外ではないでしょうか。これらの判断を基に、令128条の5の措置の適用判断を求めているのではないかと思います。また注意す
 べき事項に、令128条の5第1項一号かっこ書きで、3階以上の階に居室を有する場合、天井の仕上げは「準不燃材料」を要求しています。設問3だけが
 3階以上で、この条文に適合かと思わせて、図書館(学校等)という事で、内装制限の対象外建築物としています。うっかりすれば、引っかかりそうな
 問題です。今年の2級建築士試験でも、この部分を突く出題がされていまして、病院の3階部分の「壁」仕上げの要求仕様で準不燃材料を要求し「天
 井」を記載していないのです。問題文には「壁」としているのです。狭い条文の中で判断可能な問題ですので、日頃から内装制限の条文に慣れてい
 れば、難しくはないと推察しています。

〔No.8〕避難施設等に関する問題です。
正答 2
1.正しい。令121条1項五号、同2項:その階の床面積の合計(設問は60㎡×4戸=240㎡)が、2項の緩和条件(100㎡は200㎡に読み替える)を適用して
 も、基準以上であり、2方向非難を必要とする建築物である。なお、耐火構造は準耐火構造以上であり、緩和規定適用として差し支えない。
2.誤り。令121条1項六号、同かっこ書き、令123条2項(屋外避難階段の構造):かっこ書きで2方向非難の規定の適用除外のものを規定しているが、そ
 の階の床面積の合計が、100㎡を超えないものであり、300㎡の事務室を6階に有する設問の建築物は、2方向非難の対象となり、2以上の直通階段を設
 けなければならない。
3.正しい。令121条1項二号、令122条2項:1,500㎡を超える物品販売業を営む店舗においては、2方向非難を必要とし、3階以上を物品販売業を営む店
 舗の用途に供するものは、これを避難階段又は特別避難階段とする必要がある。
4.正しい。令122条1項ただし書き:15階以上の階に通ずるものは、原則、特別避難階段とする必要があるが、設問のように防火区画され、住戸の床
 面積の合計が200㎡ごとに防火区画されているものは、特別避難階段としなくてもよい。

講評: 2方向非難(令121条)に関する問題は、非常によく出題されます。二級建築士試験でも、毎年、設問のどこかに入ってきますし、一級では、昨年
 同様に、令121条に関する設問が、並びました。そのくらい、建築士試験では重要な条項であることが理解できますし、これも、日頃から慣れておく
 必要があると思います。特に、令121条2項の緩和条項は、数値を覚えるのは大変ですが、法令集を見て、一瞬で即断できる力は必要だと思います。
 付け加えて、令122条の「避難階段」と「特別避難階段」の設置基準の違いの認識が必要ではないでしょうか?

学科Ⅲ「建築法規」問題集
http://www.jaeic.or.jp/shiken/1k/1k-mondai.files/1k-mondai-h30-gakka3.pdf
学科の正答肢
http://www.jaeic.or.jp/shiken/1k/1k-mondai.files/1k-gakka-gokakukijyun-h30.pdf

2018年11月5日 by SHRS(シュルズ)「1級建築士、建築基準適合判定資格者」
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