鹿児島の知覧町のもっと先に坊津という町がある。
そこはふだんあまり(というか全く)いかないが、夏になるととても恋しく感じる海がある。
私は両親とも奄美大島の出身なので、綺麗な海の話をよく聞かされた。
特に父親は大人になるまで住んでいたので泳ぎも上手かった。
どんなところだろうとテレビに映る南の海を見て「こんなかな」とよく思ったりした。
たまたま友達と坊津に海水浴へ行った夏。入口までは結構がっかりしていた。
なぜかというとあまりに何もないからだ。
「ここが観光地なんだろうか」これが本音だった。都城から車で4時間近くはかかったのに後悔すらしていた。
それは海に出るまでの気持ちだった。
海を見た瞬間、「なにこれぇ!!!!」と大声で笑った。
奄美大島か沖縄か!というような南の海がずっと広がっていたのだった。
どこまでも浅瀬で透き通った海がほんとに綺麗だった。
入ってみると宮崎の海と違って、首まで入っても足のつま先まで綺麗に見える。
潜ってみた。(私は素潜りなんて一度もしたことがなかった。)
潜りたくてどんどん進んで、耳が痛くなるまで進んだ。
真っ青なコバルトブルーのルリスズメがたくさん泳いでいた。
こんな目の前で、熱帯魚が泳いでいる海が本土にあるなんて思わなかった。
それからしばらくして、熱帯魚を買うことにした。
もちろんルリスズメだ。
いろいろ調べて準備に1ヶ月くらいかかったかもしれない。
あの坊津は今どうなったいるだろう。
やっぱり遠いのでなかなか行けない。
でも、「きっとこれがまともな海なんだ」と思う場所だった。