
なんとなくふと思いついてじいちゃんのお墓に行く。
息子はせっせと草むしりをする。
昨日誰かが来たのだな。
まだ花が綺麗だった。
自分の花を足した。
墓の敷地の隅に誰からも弔われることのない迷う魂の分のお線香を一本刺す。
息子が「お母さんそれは何のため?」という。
「世の中にはお墓もなければ誰にも見つからずになくなって、身寄りもなく無縁仏となって彷徨う魂もある。その魂に向けて心ばかりのお線香をこの一族としてお供えすることでお母さんとしてではなくて一族の徳を積むことになる。徳は貯金をすることができる。お母さんだけが徳を積むためではなくて、航史やお前が子どもを持ったらその子のところへお母さんが貯めた徳が引き出されるように心づくしということをしているの。これは強制ではないけどね。」
そういうと「へえ・・・」っと言っていた。
じいちゃんとばあちゃんに色々と不真面目な自分の反省を述べる。
そして帰ることにする。
その時、向こう三軒両隣のお墓に向かって「じいちゃんとばあちゃんがお世話になります」とお辞儀をして帰る。
息子も隣でやる。
「ここはじいちゃんちだからね」という。
体はなくなっても私達のじいちゃんとばあちゃんに変わりはない。
振り返るとじいちゃんちは花がモリモリだった。