古本屋で立ち読みしているとどうしても前にテレビで見た「仁」の原作が見たくて最後のところだけ何冊か読んだ。
原作は違っていた。
やっぱりな。でも何を言わんとしているのかよりわかる感じだった。
テレビで見たとき、辛さが異様に残る終わり方であんまり辛くて考え込んでしまった。
あのとき丁度、私は全盲の友達と歴史の研究をしている先生のところへよく遊びに行っていたときだった。
目が見えない彼はいろんなことを知りたがる。
歴史が好きで、音声認識ソフトを使っていろんな本を読んでいた。
私は歴史の研究をしている先生がいるから一度先生の本を読んでみてと彼に渡した。
それを音訳ボランティアに読んでもらって彼は先生に会いに行きたいと言った。
早速先生に引き合わせると二人は意気投合した。
先生が「まきさんはねえ、彼女はホントなんというか武士の子なんですよ。いや、ホントに。なぜかというとね彼女が持って来た自分の家のものもねえ興味深くて、ひいおばあさんでしたかねえ。この人がまたいろいろあった人でねえ。大事な資料をわからなくて本の間に挟んでたりして彼女が持ってこなかったら古本屋に持って行かれるところだったりしてねえ。あわてて資料館におさめたりしてね。あれもレプリカを作っとかないとなあと思ってるんですがね。彼女は西郷家の末裔ですが末裔は色々いるんですけど教えを伝授されている人はその中でもたぶんわずかだと思うんですよね。おばあさんおじいさんがまたそれを大事にしていたってことなんですねえ。」
ムツゴロウさんのような先生の話を聞いて友人は私に「自分の先祖についてどう思ってるの?」といった。
私は「私達の先祖は西南で負けてしまった。だけど残った信念が勝ったのだしそれで目的は成仏したと思います。それから、いっしょに戦ってくださった皆さんはたくさん死んでその家族まで傷つけてしまっているんですけど、殺してもいるんです。殺されもしたけれど、殺してもいる。その上に私は生きていてそういう重なりがたくさんある一箇所で私は転生したのだなと思います。ご先祖は殺されもしたけど殺してもいることを普段忘れてもかまわないけど気がついていることがすごく大事なことを誰かにささやかれているんだと思います。それは私のご先祖がそこを知っていて欲しいという思いで私の心にDNAのように遺伝しているのかなにかかもしれないですけど」
ただ彼は少し笑いながら
「すごいね」
とだけ言った。
「仁」を見たとき思った。
殺してもいるけれど殺されてもいる。そこには感情がある。悲しいこともあったけど悲しませてもいる。恨んでいる人もいるだろうけど、恨まれてもいる。
そんなこんなの大じいさん達だった。偉大であって普通の人であって。
そんな流れがいろいろあって今がある。
私が見ている景色は、昔私のおじいさん達が見ていた景色。人はそんな風に繰り返すんだとまた思い出した。
原作は違っていた。
やっぱりな。でも何を言わんとしているのかよりわかる感じだった。
テレビで見たとき、辛さが異様に残る終わり方であんまり辛くて考え込んでしまった。
あのとき丁度、私は全盲の友達と歴史の研究をしている先生のところへよく遊びに行っていたときだった。
目が見えない彼はいろんなことを知りたがる。
歴史が好きで、音声認識ソフトを使っていろんな本を読んでいた。
私は歴史の研究をしている先生がいるから一度先生の本を読んでみてと彼に渡した。
それを音訳ボランティアに読んでもらって彼は先生に会いに行きたいと言った。
早速先生に引き合わせると二人は意気投合した。
先生が「まきさんはねえ、彼女はホントなんというか武士の子なんですよ。いや、ホントに。なぜかというとね彼女が持って来た自分の家のものもねえ興味深くて、ひいおばあさんでしたかねえ。この人がまたいろいろあった人でねえ。大事な資料をわからなくて本の間に挟んでたりして彼女が持ってこなかったら古本屋に持って行かれるところだったりしてねえ。あわてて資料館におさめたりしてね。あれもレプリカを作っとかないとなあと思ってるんですがね。彼女は西郷家の末裔ですが末裔は色々いるんですけど教えを伝授されている人はその中でもたぶんわずかだと思うんですよね。おばあさんおじいさんがまたそれを大事にしていたってことなんですねえ。」
ムツゴロウさんのような先生の話を聞いて友人は私に「自分の先祖についてどう思ってるの?」といった。
私は「私達の先祖は西南で負けてしまった。だけど残った信念が勝ったのだしそれで目的は成仏したと思います。それから、いっしょに戦ってくださった皆さんはたくさん死んでその家族まで傷つけてしまっているんですけど、殺してもいるんです。殺されもしたけれど、殺してもいる。その上に私は生きていてそういう重なりがたくさんある一箇所で私は転生したのだなと思います。ご先祖は殺されもしたけど殺してもいることを普段忘れてもかまわないけど気がついていることがすごく大事なことを誰かにささやかれているんだと思います。それは私のご先祖がそこを知っていて欲しいという思いで私の心にDNAのように遺伝しているのかなにかかもしれないですけど」
ただ彼は少し笑いながら
「すごいね」
とだけ言った。
「仁」を見たとき思った。
殺してもいるけれど殺されてもいる。そこには感情がある。悲しいこともあったけど悲しませてもいる。恨んでいる人もいるだろうけど、恨まれてもいる。
そんなこんなの大じいさん達だった。偉大であって普通の人であって。
そんな流れがいろいろあって今がある。
私が見ている景色は、昔私のおじいさん達が見ていた景色。人はそんな風に繰り返すんだとまた思い出した。
この前のランチの時さ、オーナーさんがマッキの顔みて眼力が西郷家だねっていったよね。
あの人は知ってたんだね。
うちのじいさんのね。
それで知ってるの。