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失敗には成功の香がある
私は失敗です。私は花梨のように醜い。涙を絞るように流しもし、地を叩いて慟哭することもします。もちろん酒、タバコもやります。ただの一日でも酒を飲まないと眠ることができません。
ある時には心があまりにも悲しくてアパートの屋上まで上がってさっと飛び降りてしまおうかという思いをしたりもします。また、ある時は走ってくる地下鉄に体をさっと投げ出したい衝動に駆られぶるっと震えたりもします。少し前に南山タワーに上ってソウルを眺めていたらそのまま窓を破って体を投げ出したいと思いました。
私は失敗である自分自身を見ることもいやです。本当に一日一日が耐えることのできない日々です。そもそも、私自身が私自身を愛することができません。世の中に自分自身を愛することができない者が、他の誰かを愛することができるでしょうか。まず、自分自身が自分自身の価値を見つけてこそ、他人も価値があるのではないですか。
自分にも、他人にも価値のない私はある日死ぬことを固く心に決めました。どうやって死ぬか何日間か考えて世の中を騒がすことはいやだし、ただ一人で静かに腐っていこうと心に決めました。
私は自分の顔のように醜い花梨になって、どこかの応接室の片隅に押しやられ静かに腐り始めました。
腐るということは大きな苦痛でした。自分の体の一部が一日一日と腐ることはもしかしたら死ぬことよりも大きな苦痛かもしれません。
ですが私ははじめに決心したとおり自分が死んでいくことに全力を尽くしました。「ひつ粒の麦が腐らなければその実は採ることができない」という聖書の言葉のような考えもしませんでした。ただ、自分の霊魂さえも一日も早く腐って消える日だけを祈っていました。
ですが、人は本当に不思議です。腐っていく私から本当によい香が出るんですね。
「えー、この花梨すごくいいわ。どこで買ったの。冬には買うのも難しいのに。私こんなほのかな香が好きだわ。」
本当に意外な言葉でした。腐っていく私からいい香が出るとは。
私はその時ふと、亡くなった父のこと簿を思い出しました。
「おまえなぁ、失敗をあまり恐れてはいけない。失敗からは成功の香が出るものなんだ。」