泣かないで花を見なさい
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/ea/9f9765fb3417af5947463c51cb97d98d.jpg)
白ひげのかもめの夢
東海岸のある波止場近くに素敵な白いひげの長くのびた白ひげかもめが一羽住んでいました。彼は外のかもめとは違う考えが多く、やりたいこともたくさんあるかもめでした。よく言えば、夜も寝ないで自分のやらなければならないことを最後までやりぬくまじめなかもめだということもできるし、悪く言うと自分の身の程もわからない、欲の過ぎたかもめだということもできた。
しかし、東海岸に暮らすかもめの中で白ひげかもめを嫌いなものは誰もいなかった。白ひげかもめが波止場に出てくると、「あら、白いひげのおじいさん、いらっしゃい。」とみなぞろぞろ集まってきた。なぜなら、白ひげかもめは誰かが困難なことに陥っているとだまって見ない振りをして過ぎることをしなかったからだ。どうかしておいしい食べ物が手に入ると「みんな、こっちに来てこれを食べなさい。」と必ず幼いかもめを呼んだ。
それだけではなく、幼いかもめがえさを見つけることができずに波止場の片隅に力なく倒れているとすぐにえさを探して食べさせるかもめがまさに白ひげかもめだった。
ところがそんな彼にもただひとつだけ欠点があった。それは、外のかもめとは違って多くの使いようのない考えをするということだった。
「海の水はなぜこんなに多いのだろうか。こんなに多いのになぜ山にあふれないのか。だけど、しょっぱいのは何でまたこんなにしょっぱいのだ。何で水平線というものがあるんだ。いったい水平線の向こうには何があるのだろう。かもめは魚のように海の中で生きることはできないのだろうか。あの雪嶽山には何がいるのか。かもめはなぜ山に行って暮らすことができないのか。俺も一度、人がたくさん集まって暮らすというソウルへ行って暮らしてみたら、、、」
白ひげカモメのこんな考えは終わりがなかった。だからそうなのか、彼は幼いカモメたちに小言もまた多かった。
「これは真っ黒に油がついているじゃないか。こんなもの食べるな。腹を壊す。」
「これっぽちのイカの足1本を互いに食べようと争うとは、チッチッ、またこんなことをしたら俺が黙っていないぞ。わかったか。」
「ビニールのかけらや木片を食べたらだめだ。間違ったらのどや砂肝がふさがって死ぬこともある。」
「これ、足に紐とか縄のようなものがかからないように注意しろって。足に綱が巻かれると後で血が通わなくなって足が切断されることになるぞ。」
白ひげカモメは幼いかもめに会う度にいつもこんな小言を並べた。
はじめは彼の小言がいやで彼のそばに行かないカモメが多かった。だが、後になると彼の小言を聞くのがいやだというカモメは特にいなかった。実際に彼の話を聞かないでその言葉の通りに行動して怪我をしたり死んだカモメの数が増えて、大部分が彼の言葉によく従った。
しかし、事故はなくならなかった。白ひげカモメは幼いカモメが事故で死ぬ度に心が痛く耐えることができなかった。
「人間の危険から逃げることができる、カモメだけが心置きなく暮らせる、そんな世の中を作れないだろうか。」
白ひげカモメはカモメが事故にあう度にいつもそんな考えをしていましたが、それはひとえに虚しい夢であるだけ、外に考えが浮かばなかった。ただ、幼いカモメを訪ねて注意しろと小言を言うしかなかった。
そんなある日のことだった。白ひげカモメは友達について東海岸の真ん中にあるソルロムという島に遊びに行ってみた。
「人でごった返して危険な波止場を離れ、静かな島に一度いってみよう。」
親しい友達である白眉毛カモメと黄色くちばしカモメがそんなことを言うとすぐに友達に従った。
ソルソムは青い松の木でぐるっと囲まれた本当に美しいところでした。松の枝の間からちらちら見える青い海がとても美しかった。ところどころに人々が集まって暮らす村があるけれども、漁船が一箇所に集まる波止場よりは一段ときれいで危険もまた少なかった。
白ひげカモメは楽しくなって波に足をつけては、またつけた。月の光のようなきれいな砂の上を歩いて、また歩いた。ソルソムの最も高い岩のうえに座って遠く水平線を眺めてまた眺めた。
白ひげカモメは限りなく幸福だった。
「海は誰がつくたんだろう。」
白ひげカモメはあまりにも幸福なので自分でも知らないうちにこのようにつぶやいた。すると横にいた白眉毛カモメが言った。
「それは、神様が作ったんだろう。」
「なら、島は誰が作ったんだ。」
「それももちろん神様だ。」
「そうか、そしたら、私たちも神様に島ひとつ作ってくれと言ったらだめか。」
白ひげカモメがそう言うなり今度は黄色く血がしかも目がケラケラ笑い出しました。
「ははは、お前は今も、そんなとんでもない考えをするだめな癖を治せないなあ。もう、どうかしっかりしてくれ。幼いカモメの目に恥ずかしくもないのか。」
白ひげカモメは黄色くちばしカモメの言葉にかまうことなく遠く水平線ばかり眺めていました。
白ひげカモメはカモメだけが暮らすことのできる美しい島をひとつほしいと思った。幼いカモメが心置きなく遊んでも何の危険もない、そんな島があったならばどんなにいいかという考えにそのままじっとしていることができなかった。
「そうだ、神様に一度頼んでみるんだ。人にだけ島を作ってやらないで、我々カモメにも島をひとつ作ってくれと頼むんだ。」
白ひげカモメは夕焼けの水平線を眺めながら神様に切実に祈りを上げた。
「神様、我々カモメが平和に暮らせる島をひとつ作ってください。人が暮らすところは私たちカモメが暮らすにはあまりにも危険です。いくらか前には油をいっぱいに積んだ輸送船が海で沈没したために海がすっかり油だらけになったのを神様もよく知っているじゃないですか。油に落ちて死んだカモメが1,2羽ではありません。」
白ひげカモメの懇切な祈りにも神様からは何の答えもありませんでした。それでも白ひげカモメの祈りは続きました。
「神様、本当にそのように知らない振りをするのですか。何か言葉を一言でもください。」
一ヶ月経っても、1年たっても、2年たっても神様は何の答えもくれなかった。
白ひげカモメは本当に悲しかった。沈黙する神が恨めしかった。
そんなある新年の朝だった。白ひげカモメは東海の水平線の上に上る赤い日を眺めながら両手を合わせ祈りをしていたがはっとこんな考えが浮かんだ。
「そうだ、神様に頼んでばかりいるのではなく、自分が自分の力で島をひとつ作るんだ。海辺の砂をくわえて来て海を埋めるんだ。」
白ひげカモメはその日からすぐに砂で海を埋める仕事を始めた。
「カモメたちよ。我々みな一緒に力を合わせて海を埋めよう。海を埋めて私たちカモメだけの暮らす美しい島をひとつ作ってみよう。」
白ひげカモメが他のカモメにこのように叫んでも彼の言葉に耳を傾けるカモメは誰もいなかった。
「お前、本当におかしいぞ、どうかしっかりしてくれ。」
白眉毛カモメも黄色くちばしカモメもただ笑って嘲弄するだけでした。ですが白ひげカモメは友達がどんなにからかって笑っても気にしませんでした。10年が過ぎても20年が過ぎても決してあきらめませんでした。
今も、東海岸の海辺に行けば砂を口にくわえて海を埋める白いひげカモメ1羽を見ることができます。
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白ひげのかもめの夢
東海岸のある波止場近くに素敵な白いひげの長くのびた白ひげかもめが一羽住んでいました。彼は外のかもめとは違う考えが多く、やりたいこともたくさんあるかもめでした。よく言えば、夜も寝ないで自分のやらなければならないことを最後までやりぬくまじめなかもめだということもできるし、悪く言うと自分の身の程もわからない、欲の過ぎたかもめだということもできた。
しかし、東海岸に暮らすかもめの中で白ひげかもめを嫌いなものは誰もいなかった。白ひげかもめが波止場に出てくると、「あら、白いひげのおじいさん、いらっしゃい。」とみなぞろぞろ集まってきた。なぜなら、白ひげかもめは誰かが困難なことに陥っているとだまって見ない振りをして過ぎることをしなかったからだ。どうかしておいしい食べ物が手に入ると「みんな、こっちに来てこれを食べなさい。」と必ず幼いかもめを呼んだ。
それだけではなく、幼いかもめがえさを見つけることができずに波止場の片隅に力なく倒れているとすぐにえさを探して食べさせるかもめがまさに白ひげかもめだった。
ところがそんな彼にもただひとつだけ欠点があった。それは、外のかもめとは違って多くの使いようのない考えをするということだった。
「海の水はなぜこんなに多いのだろうか。こんなに多いのになぜ山にあふれないのか。だけど、しょっぱいのは何でまたこんなにしょっぱいのだ。何で水平線というものがあるんだ。いったい水平線の向こうには何があるのだろう。かもめは魚のように海の中で生きることはできないのだろうか。あの雪嶽山には何がいるのか。かもめはなぜ山に行って暮らすことができないのか。俺も一度、人がたくさん集まって暮らすというソウルへ行って暮らしてみたら、、、」
白ひげカモメのこんな考えは終わりがなかった。だからそうなのか、彼は幼いカモメたちに小言もまた多かった。
「これは真っ黒に油がついているじゃないか。こんなもの食べるな。腹を壊す。」
「これっぽちのイカの足1本を互いに食べようと争うとは、チッチッ、またこんなことをしたら俺が黙っていないぞ。わかったか。」
「ビニールのかけらや木片を食べたらだめだ。間違ったらのどや砂肝がふさがって死ぬこともある。」
「これ、足に紐とか縄のようなものがかからないように注意しろって。足に綱が巻かれると後で血が通わなくなって足が切断されることになるぞ。」
白ひげカモメは幼いかもめに会う度にいつもこんな小言を並べた。
はじめは彼の小言がいやで彼のそばに行かないカモメが多かった。だが、後になると彼の小言を聞くのがいやだというカモメは特にいなかった。実際に彼の話を聞かないでその言葉の通りに行動して怪我をしたり死んだカモメの数が増えて、大部分が彼の言葉によく従った。
しかし、事故はなくならなかった。白ひげカモメは幼いカモメが事故で死ぬ度に心が痛く耐えることができなかった。
「人間の危険から逃げることができる、カモメだけが心置きなく暮らせる、そんな世の中を作れないだろうか。」
白ひげカモメはカモメが事故にあう度にいつもそんな考えをしていましたが、それはひとえに虚しい夢であるだけ、外に考えが浮かばなかった。ただ、幼いカモメを訪ねて注意しろと小言を言うしかなかった。
そんなある日のことだった。白ひげカモメは友達について東海岸の真ん中にあるソルロムという島に遊びに行ってみた。
「人でごった返して危険な波止場を離れ、静かな島に一度いってみよう。」
親しい友達である白眉毛カモメと黄色くちばしカモメがそんなことを言うとすぐに友達に従った。
ソルソムは青い松の木でぐるっと囲まれた本当に美しいところでした。松の枝の間からちらちら見える青い海がとても美しかった。ところどころに人々が集まって暮らす村があるけれども、漁船が一箇所に集まる波止場よりは一段ときれいで危険もまた少なかった。
白ひげカモメは楽しくなって波に足をつけては、またつけた。月の光のようなきれいな砂の上を歩いて、また歩いた。ソルソムの最も高い岩のうえに座って遠く水平線を眺めてまた眺めた。
白ひげカモメは限りなく幸福だった。
「海は誰がつくたんだろう。」
白ひげカモメはあまりにも幸福なので自分でも知らないうちにこのようにつぶやいた。すると横にいた白眉毛カモメが言った。
「それは、神様が作ったんだろう。」
「なら、島は誰が作ったんだ。」
「それももちろん神様だ。」
「そうか、そしたら、私たちも神様に島ひとつ作ってくれと言ったらだめか。」
白ひげカモメがそう言うなり今度は黄色く血がしかも目がケラケラ笑い出しました。
「ははは、お前は今も、そんなとんでもない考えをするだめな癖を治せないなあ。もう、どうかしっかりしてくれ。幼いカモメの目に恥ずかしくもないのか。」
白ひげカモメは黄色くちばしカモメの言葉にかまうことなく遠く水平線ばかり眺めていました。
白ひげカモメはカモメだけが暮らすことのできる美しい島をひとつほしいと思った。幼いカモメが心置きなく遊んでも何の危険もない、そんな島があったならばどんなにいいかという考えにそのままじっとしていることができなかった。
「そうだ、神様に一度頼んでみるんだ。人にだけ島を作ってやらないで、我々カモメにも島をひとつ作ってくれと頼むんだ。」
白ひげカモメは夕焼けの水平線を眺めながら神様に切実に祈りを上げた。
「神様、我々カモメが平和に暮らせる島をひとつ作ってください。人が暮らすところは私たちカモメが暮らすにはあまりにも危険です。いくらか前には油をいっぱいに積んだ輸送船が海で沈没したために海がすっかり油だらけになったのを神様もよく知っているじゃないですか。油に落ちて死んだカモメが1,2羽ではありません。」
白ひげカモメの懇切な祈りにも神様からは何の答えもありませんでした。それでも白ひげカモメの祈りは続きました。
「神様、本当にそのように知らない振りをするのですか。何か言葉を一言でもください。」
一ヶ月経っても、1年たっても、2年たっても神様は何の答えもくれなかった。
白ひげカモメは本当に悲しかった。沈黙する神が恨めしかった。
そんなある新年の朝だった。白ひげカモメは東海の水平線の上に上る赤い日を眺めながら両手を合わせ祈りをしていたがはっとこんな考えが浮かんだ。
「そうだ、神様に頼んでばかりいるのではなく、自分が自分の力で島をひとつ作るんだ。海辺の砂をくわえて来て海を埋めるんだ。」
白ひげカモメはその日からすぐに砂で海を埋める仕事を始めた。
「カモメたちよ。我々みな一緒に力を合わせて海を埋めよう。海を埋めて私たちカモメだけの暮らす美しい島をひとつ作ってみよう。」
白ひげカモメが他のカモメにこのように叫んでも彼の言葉に耳を傾けるカモメは誰もいなかった。
「お前、本当におかしいぞ、どうかしっかりしてくれ。」
白眉毛カモメも黄色くちばしカモメもただ笑って嘲弄するだけでした。ですが白ひげカモメは友達がどんなにからかって笑っても気にしませんでした。10年が過ぎても20年が過ぎても決してあきらめませんでした。
今も、東海岸の海辺に行けば砂を口にくわえて海を埋める白いひげカモメ1羽を見ることができます。