退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

울지 말고 꽃을 보라

2014-07-23 04:58:16 | 韓で遊ぶ


母の情
山火事はなかなか衰えなかった。春の日照りがひどかったせいか一度起こった火の勢いはなかなか抑えられなかった。それに、暗闇がすっかり山を覆ってしまい風まで吹いたため村の人は赤く沸きあがる火を呆然と見ているだけだった。なぜ、誰のせいで山火事が起こったのか問い正す気力さえなかった。みな火がこれ以上広がらないことだけを懇切に祈るだけだった。
山火事は翌日の午後遅くまで続いた。遅ればせながら消防署から出動しなかったならば山火事は3,4日も続いたかもしれなかった。
翌日、村の何人かの人は火の消えた山に上がった。真っ黒に燃えてしまった山のあちこちでまだ消えないで黒い煙が広がっていた。いつも澄んで美しかったお日様までも真っ黒に燃えて煙たいにおいを吸って上った。山全体を赤く埋めていたつつじと青い空を自由に飛んでいた鳥はみなどこへ行ったのかどこにも見えなかった。燃え残った木の姿がまた凄惨だった。人の死もあのように凄惨であるだろうかと思った。
山に上がった村の人の心は惨憺たるものだった。みな祖先に合わせる顔がなかった。草1本なく真っ黒に燃えてしまった山も山だが祖先の居られる墓まで燃えてしまったのではないか心配だった。
ところが、水一滴もない乾いた谷を過ぎた時だった。メスの雉一羽が火に焼かれたまま座って死んでいる姿が村の人々の目に入った。
「おお、このメス雉ちょいと見ろや。」
「この連れ合いはどこへ行ったものやら、、、。」
「本当にかわいそうだ。」
村の人は胸が痛いあまり一言ずつ口を開いた。
あまりにも心が痛いせいだったのだろうか。誰かが持っていた背負子を支える棒で注意深く雉をポンと押して横たえてやった。
するとメス雉の懐から子供たちが出てきてぱらぱらと散らばった。その死の炎の中で雉の子供たちは死なないで生きていたのでした。
村の人は驚かずにはいられず粛然とした感じになりました。それは雉が子供を守るために火に焼け死にながらも子供を懐に抱いていたということが明らかだったからでした。
コメント
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